参加させていただいて感じた事などをつらつらと書いてみようかなと思います。
その前に。
私がルビーを迎えた後、犬を学ぶ場としてチャーリードッグスクールを選んだ理由の一つは、動物愛護、動物の福祉に沿った内容のスクールであったから、というのが大きな理由です。
チャーリードッグスクールのトレーナーである
チャーリーママさんの本家ブログを読めば、その精神が根底に流れている事がわかります。だから私はチャーリードッグスクールを選びました。
また、犬ではなく飼い主が変わらなければならないということを、臆する事なく、また媚びることなく、ブログ訪問者やお散歩トレーニング参加者である私達に伝え続けて下さった事に、大きな感謝と信頼を寄せているからでもあります。
飼い主として求められることは厳しい事もあるけれど、厳しいと感じる原因は自分の中にあるということ・・・自分の中にひっかかる原因=問題があるのですよね。そういうものと対峙する事は今でもあって、きつくなくはない^^;作業ですが、そういうところにこそ学ぶべきことがあるということに気づいている方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。
だから、大好きな犬(猫)という存在を幸せにする為に自分が変わる事を少しずつでもがんばる。がんばるんだけれどもすぐにガラッと変われる訳もなく^^;、またすぐに大きな目標に到達できる訳でもない。
そうなんだけれども、小さな一歩一歩を寛容に見守ってもらえる。そんな環境を提供して頂ける場だからこそ、時に考え、時に笑い、喜怒哀楽を共にしながら私はチャーリードッグスクールで学び続けていられるのだろうなと感じています。
そんなチャーリードッグスクール2013年夏の座学。
そこで必ず出るお話しが、「犬の成長過程」についてのお話しです。
「犬の成長過程」についての話がなぜ大切かというと、犬という動物がどんな動物であるかを知っておくと、何か(問題と人間側が思いやすいことが)あった時に
「ああ、今そういうステージにいるんだな」
と納得して落ち着いて対応できるからです。
ここで、本当は大きな問題でもない事を『問題』だと勘違いしてしまい、あたふたしてして犬を不安にさせてしまったり、(犬の)脅えからの行動を「攻撃」と捉えてしまったりという、犬と飼い主の齟齬が生まれない様にするためにも、犬の成長段階を知るのはとても大切なんですね。
犬にも思春期があるので、一時的に脅えやすくなったりして攻撃的に見える行動をとったり、ヤサグレたり^^;することがありますが、その裏にある感情は”攻撃”ではなく、不安とか脅えとか、勘違いとか^^;そういう物であるという事。(脅えているのにそれを叱るのはおかしいですよね?)そしてもちろん”支配性”でもないということ。
この犬の”支配性”に関しての考え方は、支配性理論、リーダー論、パック理論などと呼ばれます。
例えば、
「吠えたりうなったりなどの人が困るような行動は、犬が自分を飼い主よりもリーダーだと思っているからだ」
とか、他には
・「犬をソファやベッドに上げたり人間の目線よりも上に上げたりすると犬がつけ上がるので^^;そういう事はしない」
・「リードを引っ張りながら前を歩くのは犬が自分をリーダーだと思っているから」
・「引っ張りっこ遊びでは必ず飼い主が勝つこと。なぜなら犬が自分の方が強い=リーダーだと思い込むから」
などなど、分かりやすい例だけでもこんなにあります。
けれどもこの支配性理論、実は10数年も前にこれを否定する論文が発表されています。
参考までに、L・デイヴィッド・メック博士がカナダで13年に渡って行った研究について、
(引用ここから)-------------------------------------------
中でも重要な発見は、オオカミは群れで暮らさず、優位を維持するためにほかのオオカミと戦うアルファ(階級第1位)のオスなどいないというものだ。
(中略)
何よりもオオカミは人間の様に家族単位で暮らす。父母と子供のいる家族だ。
(中略)
オオカミはアルファが率いる群れで暮らすと誰もが考えたのは、オオカミの社会生活に関する研究のほとんどが、人間に飼育されているオオカミで行われてきたからだ。囚われた環境にあるオオカミの群れは、ほぼすべてが自然にできた家族ではない。なんの関係もないのに人間の手でいっしょにされた集団なので、平和に暮らす方法を考え出さなければならない。オオカミが行き着いた答えは、通常1組のアルファのつがいにしか繁殖が許されない、社会的階級制という特殊な形態だった。野生では、血のつながりのないオオカミが何匹も強制的にひとつの群れにされることなどないので、このような現象は起こらない。
-------------------------------------------(引用終わり)
メック博士のこの論文は1999年に発表されました。
これはつまりは、自然なオオカミの群れには階級制度はない=支配性理論が当てはまらない、という事です。
であれば、オオカミの子孫である犬についても考えを改める必要があるはずですよね。
また、犬の飼い主さんやトレーナーが『支配性理論』を持ち出す時の問題の一つとして、犬を支配するため^^;の方法がリードショックや叩いて怯えさせる、要求を一切きかない、などの虐 待(=動物愛護、動物の福祉に反していますよね。)とも思われる方法が取られることが多いからです。
そしてそういった犬の心や体を傷つける方法は、飼い主さんの心もまた傷つけます。
”あんなかわいそうな事をしてしまった”と、後悔の涙を流される飼い主さんが後を絶ちません。
だから、もしもこの記事を読んだ方の中に、トレーナーさんから言われてリードショックや罰を与えたりしているけれど、本当は辛くて仕方がない、という方がいらしたら、その気持ちを大切にして、別のトレーナーさんを探して下さい。
「痛そう。辛そう。かわいそう」という飼い主さんの素直な気持ちを大切にしてくれるトレーナーさんを探してください。
傷ついている飼い主さんの気持ちを汲める人でなければ、犬の気持ちも汲めないのではないでしょうか。犬と人との幸せな生活を応援できないのではないでしょうか。
犬は、痛みも恐怖も感じる感情の動物です。そんな動物に虐 待とも思える方法で精神や身体に傷を追わせてはいけないはずですよね。
脅えや恐怖、混乱は、吠える、咬むなどの、気持ちとは正反対とも思える行動として表れたりします。
ということは逆に言えば、吠えたり噛んだりするということは、犬は困っている、というふうに言えるかもしれません。そんな困っている犬に更に痛みなどを加える方法が人道的であると言えるでしょうか。
心ある人であれば、なんとかして犬をその混乱から救い出してあげたいと思うのではないでしょうか。
ただ、犬は人間の言葉を理解はしないので、人間の方法で叱っても叱りを叱りとは理解できないのではないかと思います。だから、叱らない、罰しない方法で犬と向き合ってみませんか?
犬を叱らない、罰しないで導く方法はちゃんとあります。
古典的条件付けされた飼い主さんの声や言葉、また飼い主さんの存在自体で、いきり立った犬の気持ちを安定に導く事ができます。
長くなりそうなので、一旦ここで区切ります。^^;