ずーっとずーっと”積ん読”だった本^^;
『ザ・カルチャークラッシュ - ヒト文化とイヌ文化の衝突 動物の学習理論と行動科学に基づいたトレーニングのすすめ』
を読んだので、忘れないうちに感想を書いておこうと思います。
読み終えて、
「4年前に読んでもわからなかったかもしれないなあ」
というのが素直な感想でした。
学習心理学用語や(古典・オペラント条件付け、正負の強化・弱化など等)そしてクリッカートレーニング的用語が文章にさらっと盛り込まれているので、それをある程度理解できている今だからこそ、読んで良かったなと思いました。
個人的には思いのほかツッコミどころ満載の本だったのですが^^;4年前の私ではどこをどう突っ込んだらいいのかさえわからなかったかもしれません。
なので、「あ、ここは今の自分の考えと違うな、ここは凄く共感できるな、これって本当はこういう意味かな?」というように、現在の自分の感覚と照らし合わせて、じゃあ自分だったらどうする(したい)だろう?ということまで考えながら読むことができて楽しかったです。
この本の中によく出てくる「般化」という言葉。
「家の中で出来る事が外では出来ない」
くらいの理解でしかありませんでした。
でも勉強が進むにつれ、
例えば、
「飼い主以外の人とのお散歩ではリードを引っぱらないのに、飼い主さんがお散歩するとリードを引くのはなぜか」
などという時に、犬が般化が苦手であることや、『条件付け』という言葉が私の頭の中には浮かぶようになりました。
犬がリードを引くのは、決して犬が飼い主さんをナメている、というのではないですよね。
犬にナメられる、犬にバカにされている。
『支配性理論』から来る考え方ですが、未だに多いのではないでしょうか。
『支配性理論』とは、
「犬の困った行動は、犬が人を支配しようとしているからなので、犬を従わせるために人が犬を支配しなければならない」
という考え方を指しますが、
この本(2004年発行)の中でも、この考え方は華麗に^^;否定されていました。
”犬の学習の過程”を学ぶことを放棄して、”支配性”の一言で片付けようとしている、(p.24)と。
本当にそう思います。
ルビーを迎えた頃の自分がそうだったのでよくわかります。
巷に溢れる手っ取り早そうな(でも犬の気持ちを全く無視=人間の中の支配性ですね)方法に飛びつくのではなく、犬の学習の過程、そして、犬という動物のことをもっと学ぶべきだったなあと。その方がどんなに暮らしが楽に、そして楽しくなるか、今の私にはわかります。
犬と人は違う生きもので、もちろん、どちらが賢いとかそういう事でもないはずです。
人間が出来て犬が出来ない事もありますが、犬が出来て人間が出来ない事も沢山ありますもんね。人間と犬は同じ環境の中に住んでいても違う世界に生きている、という感じなのではないかなあなんて思います。
ですが、どうしても私達人間は、犬に人間仕様の色々な物事を当てはめて考えようとしてしまいます。平たく言えば、”擬人化”という事になるでしょうか。そういう意味で、犬に対する人間側の思い込みの記述などもとても面白かったです。
思い込みと言えば、かの有名な^^;ゴーン星人のストーリーは読んでいて切なくなってしまいました。
そうやって犬達は、私達人間に理解されないまま精神的に捨てられたり、命を取られたりしているのだろうな・・・と。
ゴーン星人のお話しの他にも、色々と印象的なお話があったのですが、個人的に特に印象に残った文章をご紹介します。
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(p.165)
”犬は安全か危険かの判断ができても、善悪は区別できない(中略)
ただし、犬が道徳をわきまえていないからと言って、そのためにイヌの賢さや価値観が損なわれることはけしてない。”
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良い悪い、というのは人間世界において人間が作り出した基準であって、犬にはそんな概念はないのですよね。そんな犬を見て、私達人間は”良い子”とか”悪い子”とか、簡単に口にするけれど、よく考えてみるとなんて一方的な視点なんだろうと思います。
さらに言うと、善悪の区別がつかない犬を人間が叱って(しかも人間仕様の叱りで叱って)も、
犬が”悪い事をしたから叱られた”などと思うはずがないですよね。大声で叱られたり、リードショックを入れられたりしたら、ただただ怖い、危険、と感じるはずです。
犬は善悪の判断ができないけれど、でもそんな犬に私たちはどういう訳か惹かれてしまう・・・。
そういうところが犬という動物の不思議な魅力なんではないかなあ。そしてそんな犬達に、幸せな犬生を与えてあげたい、そう思う沢山の人と、これからも犬について一緒に勉強していけたらいいなと、そんな事を思いました。
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