孤高のハダカの王様 // 北米と欧州スキーツアー //

カナダ・バンクーバーと時々アジア
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Mission Impossible

2006-08-22 15:07:33 | 業界の向こう側
独身の晩も3晩目だけどまたしても残業、なにもできずにウチに帰る。
つまらん。

ま、仕事の話でもひとつ。

昨日大学一年生50人が3週間の短期留学を終えてきこくするはずだった。
はずだった、、、

このうちひとりの女の子が行方不明になり帰国できなかった。

そうだね、この帰国できなかった子、仮に聖子ちゃん(仮名)は前晩仲良しの10人ぐらいとかなりハードに飲んでいたとのこと。

4AM頃、飲み会もお開きになり一緒に寝ようねって約束していた田原くん(仮名)と田原くん(仮名)の部屋で寝ることにする。
田原くん(仮名)は部屋に着くと5分もせずに寝てしまう。部屋の外ではみんなの声がまだ聞こえるので飲んでいるのか確認しようと部屋の外へ出てみる。

ガッシャーン! (オートロックのドアが閉まる)

聖子ちゃん(仮名)は田原くん(仮名)の部屋に入るのを諦め、自分の部屋に帰ろうとするが何故か自分の部屋にも鍵がかかり入れなかった。

仕方なしに近藤くん(仮名)の部屋で仲間達が飲んでいるのがわかったのでそこへ行き、近藤くん(仮名)のベッドを借りて眠りにつく。


8:30AM 留学生達50人が出発する時間になるが聖子ちゃん(仮名)だけがいない。
聖子ちゃん(仮名)の女友達の明菜ちゃん(仮名)、今日子ちゃん(仮名)が寮の女子部屋を見てくれるが見つからない。

9:30AM 聖子ちゃん(仮名)を残し留学生を乗せたバスが出発する。これ以上聖子ちゃん(仮名)の為にバスの出発を遅らせると全員が飛行機に乗り遅れてしまう。

11:30AM 聖子ちゃん(仮名)発見される。
眠りから覚めた聖子ちゃん(仮名)は近藤くん(仮名)たちがいないのに気づき”しまった”と思う。

他の部屋の様子を見ながら自分の部屋へ戻る。他の部屋も当然誰もいない、荷物もない、みんな行ってしまったことがわかる。
自室へ戻ると張り紙がされている、「学生センターへ至急きなさい」。
聖子ちゃん(仮名)が学生センターへ行き、先生、旅行社により安否が確認される。

学校から空港までは約4時間。
飛行機の出発時間は15:05、間に合うか、間に合わないかギリギリである。
考えている時間はない、航空券とパスポートを確認してガイドと一緒にバス、フェリー、タクシーを乗り継いで空港へ向かう。


場面はバンクーバーオフィスへ。

11:55am Karl出社。
なにやら慌しいオフィス、何かが起こっているのは間違いないが気づかないフリ。
が、通用する訳もなく今日のミッション(使命)を頂戴する。

☆☆☆「J○○15便の出発を遅らせろ」☆☆☆

このミッションを聞いて開口一番「こんなバカは乗せなくていいですよ、自分にも親にもこの事実をしっかり伝えて受け止めさせ、ホテル代、飛行機代、その他で30万くらいしっかり請求しなくちゃだめでしょう」と吠える。

ま、個人の思いもあるけれど会社の都合もあるということでとりあえず女の子を飛行機に乗せるべくミッションがスタートする。

問題1 彼女が航空券もパスポートも持っている。

問題2 15:05出発と言うことは、チェックインカウンターは14:00頃には閉まってしまう。

問題3 正攻法で「遅れてるんで待って下さい」なんて言ったら絶対駄目。

問題4 嘘やあと味の悪い方法で飛行機を遅らせると罪になるのはもちろん、バンクーバーで旅行業の仕事はやっていけない。

問題5 日○○空(J○○)の事務所のおばちゃんはみんな怖い。

問題は山積みだ。



空港へ向かうタクシーの中で作戦を練る。
「J○○15便に爆弾を仕掛けた」と言う案も浮かんだが今日は使うのを辞めておこう、また別の機会に。

13:30 空港到着。
学生49人チェックインカウンターへの長蛇の列に並んでいる。
冷静に列を観察する。
この状況だと学生達がチェックインするまで1時間はかかる、学生達がチェックインを終えるころには15:00を超えるはず、まずは静観を決め込む。

J○○スタッフと談笑しながら、今日の混雑具合、チェックインの進行具合を聞きだす、風向きはこっちにあることを確信する。

13:45、、、14:00、、、狙い通りにことが進む。
聖子ちゃん(仮名)も順調にこっちへ向かっている、よしよし。

14:15 生徒達のチェックインが近づく。
明菜ちゃん(仮名)、今日子ちゃん(仮名)をはじめとする聖子ちゃん(仮名)の友達にひとりづつチェックインカウンターへ進み、できるだけ時間を掛けてくれとオーダーする。
『牛歩戦術』だ。
とっても古典的だが効果がもっとも期待できる方法だ。


14:25 読んでいた時間よりも5分早く生徒達のチェックインが始まる。
しかもJ○○が「3人ずつチェックインカウンターへ行くように」と指示を出し、生徒を含む残りのパッセンジャーを片付けにかかる。
よく見るとさっきまで7つでやっていたカウンターも10コ全部開いている、J○○もいよいよ本気だ。

14:40 聖子ちゃん(仮名)が空港まで30分のところまできていることがわかる。

ギリギリだ、なんとかしなくては、、、
誰に言う、、泣きつくか、、強く言うか、、、ひっかけてみるか、、、

・・・・・・・・電話が鳴る、ボスだ。
これからくると言う、今さら、、、

14:50 ボスが来た、生徒達のチェックインが終わる、聖子ちゃん(仮名)はまだ20分はかかる。

ボスが相手ボスに直接交渉する。
「駄目だって」あっさり帰ってくる。

えーーーーっ、そんなんでいいの?おれはなんとしても聖子ちゃん(仮名)を乗せろと言われてかなりのことはやろうとここへ来たのにそんなにあっさり引いていいんですか!?

14:55 J○○ボスに「あと5分だけね」と言われる。
聖子ちゃん(仮名)はまだ15分は掛かる。

ここでいよいよKarlの出番である。先ずは泣き落とし。
「いや~18才の女の子独り残してもかわいそうじゃないですかぁ」
「ほんともうすぐそこまで来てるんですよ、すぐ来ますから」
「まだ大丈夫ですよね、まだ?」
「あとちょっとだけお願いしますよ、ちょっとだけ?」

カウンターの女性係員・あゆ(仮名)が苦笑している。
J○○ボスは無表情。

15:03 「もう閉めるぞ」J○○ボスのひと言で決まった。
うちのボスも仕方ねえなって、、、

15:15 聖子ちゃん(仮名)空港到着。
12分早ければ、、、、

さすがにバツの悪そうな神妙な顔で聖子ちゃん(仮名)は現れた。
乗り遅れたことをお母さんに電話で伝えた時は泣いていた(マジ?)。
ここからおれ達は今晩のホテルや明日の飛行機の手配で大忙しになる。


飛行機に乗る直前に明菜ちゃん(仮名)が教えてくれたことなんだけど、聖子ちゃん(仮名)は一緒に寝る約束をしてた田原くん(仮名)のカノジョらしい。
明菜ちゃん(仮名)は聖子ちゃん(仮名)が近藤くん(仮名)の部屋で寝ているのをなんとなく知っていたけれど、カレシの田原くん(仮名)のいる前で「近藤くん(仮名)の部屋で寝ているはず」とはさすがに言えず、聖子ちゃん(仮名)の発見が遅れてしまったんだと。
これを友情と取るのか、、、聖子ちゃん(仮名)、お前もいいかげんにしとけよ。




いや~気が付いたらすっげー長く書いてる。

びっくり。


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4 コメント

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以前にもこん感じな事が (ちゃーりー)
2006-08-22 22:20:35
相変わらず大変だね

以前にもこんな事が・・・

でもその時もお客さんがしでかした事だけど

長い事、旅行の仕事をしていると色々と有るね。でも、今回の事は、この聖子ちゃん個人的ミスでしょう。特に海外に行くと何が有るか分からないのだから・・・でもお客さんだから強くも言えないか。でもご苦労さまでした。
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あったね。 (Karl)
2006-08-23 15:31:23
そう言えば、こんなことあったね。あん時もびびったけどともちゃんが一緒にいてくれたから、あのふたりの部屋まで入っていけてなんとか見つけられたよね。

あー今思えばもっと説教しておけば良かったな。



旅行の仕事は嘘のような、冗談のような、馬鹿げたことがおこるので面白いよ。人命に関わらない限りね。
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結末は乗れるのかと思った。 (くみこ)
2006-08-23 21:49:12
そんなに甘くはないね。そりゃそうだ。



しかし、仮名のネーミングが

昔のアイドルなので

笑えました。

同じ年代なんだね。カオルサン。
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よかった。 (Karl)
2006-08-24 16:15:48
おっ!くみどん、わかってくれたね!

嬉しい。



秀美ちゃんとか、優ちゃんとか、野村君、なんかも出そうかと思ったんで、また別の機会に登場させてみます。

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