例年に比べるとすこし遅めかもしれないが、
越前海岸の水仙が見ごろを向かえていた。
Sony α99 Vario-Sonnar 24-70㎜/f2.8 (f/5.6,1/500sec,ISO400)
越前海岸の切り立った断崖にそって水仙は群生する。
そこへ冬の北陸特有の海からの強い風が吹く。
その風は、時には雨や雪をともなって容赦なく水仙に吹きつけるのだが、
大きく揺れながらも、風をものともせず凛と咲く可憐な花にこころを揺さぶられ、
自身の心情を重ねる人は少なくないはずだ。
これまで幾多の文学者がその時の心情を作品の中に書きとめているが、
ふと目を止めた石碑に刻まれた福井県出身の作家、水上勉の文章がこころに響いた。
旅は孤独を味わわせる
と同時に、かみしめる孤独から勇気を培うものだと私はかねがね思っているが、
越前岬ほど私に人生を考えさせた場所はないようである。
黒い断崖に風が吹きすさび、
その丘に、なぜ、あのような花が咲くのだろう。
黄色い水仙であった。
冬の凍て土に花が咲くのだ。
山中千尋 Live In New York ~So Long~
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