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折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

伊吹 荒ぶる神の山 By空倶楽部

2020-12-29 | 琵琶湖 余呉 湖国

「9」のつく日は空倶楽部の日。

     ※詳しくは、発起人 かず某さん chacha○さん まで


 

部屋のカーテンを開けた瞬間、

思いもよらぬ光景に目を奪われた。

窓の外には今までに見たことのない猛々しい伊吹山が

迫りくるようにそびえ立っていたからだ。

 

 滋賀県長浜市 2020.12.20 7:13am   Sony α7R3  F2.8G/70-200㎜ (200㎜ , f/5.6 , 1/320sec , ISO100)

 

まだ薄暗い夜明けの空に

赤く染まる雲を従え、霧と雪をまとった

武骨な岩肌が「ぬっ!」と現れる。

「神が棲む山だ!」

ファインダーを覗き込みながら内心呟いていた。

 

ところで...。

神と言えばこんな話を聞いたことがある。

ヤマトタケルの話だ。

ヤマトタケルノミコト(日本武尊または倭建命)は

古事記や日本書紀など古代史に登場する英雄で

熊襲(くまそ)や東国蝦夷(えみし)を征伐し

国を平定したことで知られている。

そのヤマトタケルが最後の戦いとして伊吹山の神に挑んだ。

数々の敵を打ち破った慢心からか、素手で立ち向かったとのことだが

荒ぶる山の神が降らせた雹(ひょう)に打たれ気を失ってしまう。

その後、熱病にも冒されたヤマトタケルは

居醒めの清水(醒ヶ井の湧き水)で病を癒し

大和へと帰還しようとしたが

能煩野(のぼの:三重県亀山市)であえなく落命。

死の間際、遠のく意識の中で故郷大和を詠んだ歌が

 倭は国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる 倭し麗し

 やまとはくにのまほろば たたなづくあおかき やまごもれる やまとしうるわし

 

ヤマトタケルは大和朝廷による日本統一を象徴化した人物だろう。

東奔西走の活躍はおよそ一人だけの功績とは思えないし、

そもそもヤマトタケルの存在すらも怪しいと思える。

おそらくは諸国を平らげた大和古代人の強さへの自信が

ヤマトタケルの伝説を生み出したのだろうが、

一方で、その英雄の命を奪うほどの荒々しさを

ある時に見た伊吹の姿に映したのかもしれない。

そうだとするなら、それは冬の伊吹だったのではないだろうか。

古代人も畏れた何者にも屈しない自然の驚異と気高さ。

この朝の伊吹に「神」を感じずにはいられなかったのである。