越前岬からの話題が続く。
10日前にここで会ったカメラマンから聞いた話だが...
越前岬の灯台の明かりはぐるっと岬の斜面も照らすそうだ。
灯台が立つ場所は標高にして120mほど。
一方で私とそのカメラマンが立っていた場所は150mを超える。
その高低差ゆえに灯台の明かりは足元の斜面を回りながら照らし
遊歩道や草むらが「走馬灯」のように浮かぶのだ、と。
ところがその時は興味を持ちながらも
帰りを急ぐあまりそのまま立ち去ってしまった。
その後、時間がたつほどにその幻想的な光景が気になってしようがない。
さらにもうひとつ。
これだけ開けた空ならきっと夜空も期待できるはずだから
灯台の明かりと夜空はどんな風景を作り出すのだろうか...と
興味が尽きないのだ。
それで、待ちに待った一週間後。
現地の好天を確かめた上で
迷うことなくロケハンに出かけたという次第だ。
福井県越前岬 2020.08.29 07:24pm Sony α7S2 FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/2.8,0.6sec,ISO3200)
陽が落ちて一時間後。
灯台が岬の斜面を照らし始めると
薄明かりの空にはひとつふたつと星がきらめきだす。
方位はほぼ西。
知っている星座は...と目を凝らすと
今にも水がこぼれそうな大きなひしゃくが見えた。
北斗七星だ。
子供の頃、星を眺めるのが好きだった。
父に買ってもらった天体望遠鏡とペンタックスで
夜空を撮り、そのネガは父が現像してくれた。
それが高じてカメラ、写真好きとなったのだが
思えばその頃以来の星空撮影だった。
当時覚えた星座や星の名前はほとんど忘れてしまっているが
図鑑を頼りにその日の写真に備忘として星座を書き込んでみた。
福井県越前岬 2020.08.29 07:48pm Sony α7S2 FE2.8 16-35 GM (16㎜ ,f/5.6,8sec,ISO3200)
暗い星座が多い中、
目立つ星と言えば北斗七星と
「うしかい座」のアルクトゥルスくらいだったが
偶然写りこんだ流れ星が地味な星空に
少しばかりの花を添えてくれた。
後で調べてみたのだが...。
秋が深まった深夜、銀河が西の空にかかり
「白鳥座」や「わし座」といったよく知られた星座が現れるようだ。
家から100キロ、二時間半の道のりは遠いが、
子供の頃、夢中になった夜空を
もう一度に眺めてみたいという気持ちは
その道のりを何とも思わないほど強くなっている。
「この年になって」と、自分ながらおかしくもあるが
それほど星空の誘惑は断ち切り難いのだ。