山手線の品川、田町間にできる新駅の名前、「高輪ゲートウェイ」が物議を呼んでいる。
公募にもかかわらず、その順位が130位と低かったものが選ばれているから、
まずは、その選考基準のあいまいさが問題なのだと思う。
確かにそれもある。
しかし、それよりも、なんとなくレトロ感が漂う山手線に「ゲートウェイ」というカタカナ名の駅ができることに、
違和感を覚えた向きが多かったのではないかとも感じている。
今ある山手線駅は昔ながらの地名をそのまま使っているものがほとんどだ。
すでに使われた地名との混同を避けるなら、
新大久保や西日暮里のように、元からある駅名と区別する配慮もできたはずで、
現に、「新品川」や「しながわ新都心」との候補もあったようだ。
それが、あえて玄関を意味する「ゲートウェイ」と名づけられたのは、
現在、新駅に隣接するJR所有の土地に、都心最後の大規模開発といわれる街づくりが進められていて、
その開発に対するJR側の思い入れが、「ゲートウェイありきの駅名選考に反映されたのでは」との見方が一般的だ。
いずれにしても、その駅名はともかく、どんな駅ができて、どう賑わうのか、
そして、どんな撮影スポットが新たに生まれるのか、興味は尽きない。
さて。
カタカナ駅名といえば、この駅の場合はどうだったのか。
RICOH GR DIGITAL Ⅲ F4.5,3.2sec,ISO-100
天王洲アイル。
品川に隣接する天王洲に「小島(Isle)」を意味する駅名が誕生したのが平成4年。
空港へ向かうモノレール路線に、さらには高層ビルが林立する新しい街にできた駅だったことから、
その名前に違和感を覚えた人はほとんどいなかったのか、駅名をめぐる物議は記憶にない。
それどころか、当時のトレンディ・ドラマのロケ地としてよく使われたことを思うと、
「アイル」という、どことなく洗練された響きを、多くが憧れをもって受け入れたのではないか、とさえ思っている。
それから30年近くの時が経ち、開業当時の賑わいはすでに薄れているものの、
冬の夜、運河越しに眺める「小島」の灯りは、まだまだ心を惹きつける魅力を失っていないと感じた次第だ。
「彩」 スティーリー・ダン
すでに40年以上は経っているが、今聴いても色褪せない、都会的なセンス溢れる曲のひとつだと思う。
Steely Dan - Aja