折にふれて

季節の話題、写真など…。
音楽とともに、折にふれてあれこれ。

病葉の中の秋

2018-08-14 | 日常の中に

連休初日、奥琵琶湖でのこと。

 

湖岸に迫る桜並木のなかに...。

 
Sony α99  Vario-Sonnar  24-70㎜/f2.8 (f/3.5,1/1250sec,ISO100)   

 

青々と繁る葉の中に病葉(わくらば)を見つけた。

逆光に照らされて、点々とオレンジ色に輝く葉を眺めながら、

「ひょっとして、今年の秋はその中に潜んでいるのではないか」と、ふと思った。

実はこの「秋が潜む」話、毎年、この時期に同じ事を書いていて、

それは、太宰治の創作ノート「ア、秋」の一節の請売りなのである。

 

もう4、5年も前のことになるだろうか、

新聞のコラム欄でその一節を読んで以来、

夏の終わりのお気に入りの話題としている。

その一節、”秋ハ夏ト同時ニヤッテ来ル”と題された文章で、

「夏の中に、秋がこっそり隠れて、もはや来ているのであるが、人は、炎熱にだまされて、それを見破ることが出来ぬ。」

太宰治一流のユーモアだが、確かに、夏から秋へと移り変わる季節はあいまいだ。

たとえば、桜が咲けば春が来たと思うし、梅雨が明ければ夏が来たと思う。

また、初雪の知らせがあれば、そろそろ冬の準備を、とも思う。

ところが、秋の到来は感覚で捉えるしかなく、

ことさら、今年のように猛暑が続くと、あいまいもなにも、

そもそも「秋がやってくるのか」などと悲観的に思ってしまう。

それで今年も、自分なりの秋を夏の風景の中に探してみたのだが、

それが「病葉」だったというわけだ。

 

しかしながら...。

本来、「病葉」は夏の季語。

病害虫の影響で変色した葉を指すものであって、秋の訪れと関連があるわけではない。

それは承知のこととして、

今年の夏、その異常な暑さゆえに

あえて、病葉に秋の訪れを重ねてみたくなったのだ。

そして、この「あはれ」な光景を感慨深く眺めながら思った。

病葉たちが散ってしまわない前に秋がやってきてほしいものだと。

 


 

折にふれて...というかなんとなくの選曲はジャーニー。

記事を書いているときは必ず、youtubeで音楽を聴いている。

そして、この時ふと心にとめたのが、

スティーブ・ペリーの伸びやかな歌声が印象的な曲。


Journey - When You Love a Woman

秋の澄んだ青空を情景として映すバラードナンバーだと感じた次第だ。 

Comments (8)