桜を求めて琵琶湖へ向かったものの
ものの見事に期待が外れた...というくだりは前々回書いた。
天候不順による開花時期の遅れと
どっしりと居座った低気圧による悪天候によるものだったが、
一方でその悪天候はまた違った雰囲気の琵琶湖を見せてくれた。
題して、「春霞(はるがすみ)の風景」。まずは、奥琵琶湖の海津から。
開花前の桜越しに湖岸を眺めたものだが
ほとんど手つかずで残された風景が霞がかった琵琶湖に浮き上がっていた。
このあたりの桜並木はかなり有名らしく、
観光船で湖上から桜を眺めるという趣向もあるそうだ。
さらに、長浜市水鳥ステーション付近から。
いつもだったら近くに見える竹生島もほとんど霞の中。
一面の霞の中で、かろうじて見える葛籠尾崎が湖面と空を分けていた。
ところで、「春霞」と表現したが、霞は気象用語ではないそうだ。
視界が遮ぎられる現象を気象用語で分類すると、霧、靄(もや)、煙霧となる。
霧とは視界1Km未満のものを指し、靄は少し薄くて視界1Kmから10Km未満のものだとか。
いずれも空気中の水蒸気が温度低下から飽和し、細かな水粒となって空気中に浮遊するもので
つまりは地上に現れた雲のようなものらしい。
一方で煙霧は、原因が特定できないもので、煙やほこり、砂などに起因するもので
黄砂やスモッグによる視界不良も含まれるそうだ。
それなら霞とは何か。
「霧や靄などにより遠くの景色がかすんで見える様子を文学的表現したもの」...で、
さらにいうと「春の季語」でもあるとのこと、なるほどである。
さて、風景を愛でながらも、霞のわけをいちいち無粋に解説する必要があるのか...ということになるのだが、
長い宮仕えでしみついた習性、どうかご容赦を。
まだ能書きを...と言われそうだが、
霧や靄はmist、fog。さらに煙霧はhaze。
「それならば」と折にふれての選曲は「Purple haze(紫の煙)」
The Jimi Hendrix Experience - Purple Haze (Live at the Atlanta Pop Festival)
「伝説のギタリスト」ジミ・ヘンドリックスの代表曲だが、
私が洋楽を聴きだしたころ、それまでは日本のグループサウンズしか知らない高校生にとって
かなり衝撃的なギタープレイだった。
1970年に27歳で早世したが、実は私が彼を知ったのも亡くなった後のことだった。
ずいぶんと彼の曲を聴いたが、生前の彼を知らないという点では、私にとっても文字通り「伝説」の人である。