折にふれて

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桃の節句によせて 「雛人形」考 続き

2017-03-05 | 折にふれて

前回に引き続き、「雛人形」考。

お内裏様とお雛様 ふたり並んですまし顔...

内裏(だいり)とは御所のこと、つまりはやんごとなき方々の結婚式の模様であることは容易に察しがつく。

そこで、配役のメンバー紹介とともに、

その奥深さというか、リアリティへの「妙なこだわり」を紹介する。

 

まずは雛段のすぐ近くに控えるのが、ご存じ三人官女。

それぞれに、さかずき、長柄の銚子、短い銚子の

酒器を携えた接待係の女官たち。

ちなみに真ん中で三方に載せたさかずきを持つ女性は

お歯黒、すなわち既婚女性なんだとか。

「だからなんだ?」なのだが、

このような役づくりが「妙なこだわり」を感じる由縁で、このような例がこの先、随所にある。

 

次に並ぶのが、一般的には五人囃子。

役どころとしては元服前の少年たちによる能楽の演奏と謡い。

持ち物は、太鼓、大太鼓、小鼓、笛、扇子で、

扇子を持つ子がボーカル担当ということになっている。

ところが、である。

「一般的に」と紹介したが、実は「うちの五人」の持ち物は、

横笛、たて笛、火焔太鼓、笙の笛に鼓となっている。

彼らは正確には五楽人と呼ばれ五人囃子と区別されている。

また、演奏するのは能楽ではなく雅楽なんだとか。

この使い分けも「こだわり」のひとつ。

  

続いて控えるのが、ふたりの随身(ずいじん)で、今風に表現するならSP、いわゆるボディガードである。

左大臣、右大臣と呼ばれたりもするが、実はこれは誤りらしい。

左大臣、右大臣はかなりの高位であって、随身を兼務することはないからだとか。

赤い装束をまとった随身(写真)が若者でお内裏様の警護を、

また、黒い装束をまとった随身は年配者でお雛様の警護をそれぞれ担当するらしい。

ちなみにこの職務形態、若い随身をお雛様の警護にあたらせないのは、「まちがい」があってはならない

との配慮からだとか。

確かに...。

映画「ボディガード」で、ケヴィン・コスナーとホイットニー・ヒューストンが恋に落ちたことを思うと当然の「こだわり」かもしれない。

 

そして、最下段に控える三人組が仕丁(しちょう)といって、宮中の雑用係。

帽子掛けや立ち傘、沓台など出かけるときの用意をしていたり、

ほうきやちりとり、熊手など掃除用具を持った仕丁もあるらしい。

また、彼らは市中の民が駆り出されたもので、

怒り上戸、泣き上戸、笑い上戸など喜怒哀楽の表情、

市民感情丸出しの仕丁が実は一般的らしい。

 

さて、今は飾って楽しむ雛人形だが、

元はといえば平安時代に貴族の子女の中で流行った人形ごっこが起源だという。

現代なら、リカちゃん人形。つまりは、遊ぶことを目的としたものであったらしい。

それならば...。

題して、「桃の節句楽団」

いたずらが過ぎたが、五楽人に女性ボーカルを加えた様子に

思わず、こんな人たちを思い出してしまった。

 

恋の季節   ピンキーとキラーズ 

 

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