じゅんなおひと

スポーツジャーナリストもどき

2月19日 大阪桐蔭 大商学園

2017-02-19 08:50:08 | 高校サッカー

※守備

大阪桐蔭:自分たちより強いフィジカルを誇る相手に無失点で凌ぎきったのは、最終ラインを中心に一人一人が最後まで集中を切らさなかったから。一方で相手が来ないと決めつけ余裕持ちすぎたプレーでしばし危なくなった場面もあり、組織でしっかり守ったとまでは言えない側面もあり、そこが課題として残ったと思います。CB南里さん3のボールを奪いに行く勝負所をしっかり捉えた嗅覚、攻守に走り勝った右SB野村さん6の強さ、同様に1対1で強さを見せた途中出場の1年生右MF杉山さん15あたりが光りましたし、後半など時間がたつにつれ、相手の個々の強さにも慣れ、1対1で勝てる選手が増えていたようにも感じました。PK戦で相手の二人目を止めたGK川崎さん1のファインセーブも光りました。

大商学園:CB林さん10などが相手を自軍のGKに近づけないように巧みに体を入れたプレーなど、オフザボールでの動きがチーム全体で見ても光りました。何より相手がマイボールと決めつけて見えた場面でも、最後までしつこく追いかけ回したことからも感じた走る姿勢が光りました。フィジカルの強さでピンチを防ぐシーンが目立って見えましたが、相手にカウンターを食らった際に、やや奥に入られすぎているかな?と感じたのがじゃっかん気になりました。

 

※攻撃

大阪桐蔭:相手との力関係からか特に前半、攻撃はどうしてもカウンターが主になってましたが、その中でもGKからのつなぎの意識も見せてましたし、時間がたつにつれ攻撃する時間帯が長くなっていたように思います。それでもゴールに至らなかったのは個々の強さの差、シュートの決断を瞬時に出来なかったこと。自分たちがどうするかで精一杯で相手を見極めることが出来ておらず、相手の穴を突くことが出来なかったこと。などが挙げられると思います。そうした意味では右SB野村さん6が前半ミドルレンジでボールを奪ってすぐさまミドルシュートポスト直撃で相手に怖さを与えた瞬時の決断力は光りました。他、杉山さんは強さだけでなく緩急と柔らかいボールタッチがありましたし、1年生FW中尾さん26は目に見える効果は出せずも最後まで献身的に前線で走り回ってもスタミナが目に見えて衰えることはありませんでした。単にスタミナが豊富なだけでなく、走りどころと抜きどころを心得ているから最後まで走り切れたのかなと、最後PKで決めれば優勝決定というプレッシャーのかかる場面で、相手をずらす緩急を見せたあたりに、そうした強かさみたいなものを感じました。1年生でPKの5人目を任されるのも頷けるプレーだったと思います。

大商学園:特に前半、力任せにオラオラいくも倒しきれず後半以降は時間がたつにつれ手詰まりに。これまではおそらくそれで押し切れたのだと思いますが、力だけでいけなかった時にどうするかという点で課題が残ったと思います。無得点に終わった要因として、再三にわたりオフサイドをとられていたことから、やや点をとる気持ちにはやってしまっていたかなと思います。前半は二列目の選手などが次から次へと押し寄せる波状攻撃に迫力がありましたが、時間がたつにつれいけなくなってしまったのは、強強強で行き過ぎたツケがきたのかも知れませんね。今後は攻撃にいかに緩急をつけていくかなのかも知れません。水江さん9,1年生の林さん11の2トップのスピードが印象に残りました。水江さんは加えて勝負所を捉える嗅覚も感じました。いわゆる点取り屋の匂いを感じました。

 

大阪桐蔭:試合開始前のピッチ練習、試合前のかけ声いずれも相手に後れをとっており、ここ2年歯が立たなかった全国準V校相手に気後れしている雰囲気さえ感じる。それが相手の猛攻を凌いだことにより自信がついたのか、後半から延長にかけて大阪桐蔭が先にかけ声あげるようになり、ピッチにも先に入るように。完全に流れを掴んで試合が終了しましたので、PKも大阪桐蔭が勝つ流れの中で行われてるようにさえ映りました。言い方を変えれば、ここまで勝つ流れが出来ていながら引き分けにしか持ち込めなかったのがそのまま相手との強さの差を物語っているとも言えると思います。いくら流れを掴んでもフィジカルの差はいかんともしがたいものがありました。今後もっともっと個々のフィジカルの強さと最後まで諦めず、そして決めつけずボール奪取、保持にこだわる意識を上げていく必要があると思います。後、特に前線の選手など消耗の激しい展開になったため、多くの運動量が求められる選手を代えてあげる必要があったように思いましたが前半の負傷交代以外に交代なし。時間がたつにつれ組織が機能してましたから代える必要なしと判断したのかも知れませんが、もし代えることが出来なかったのであれば、今後選手層を分厚くすることも当然必要になってくると思います。2列目から前はすべて下級生が占める布陣でしたが、その中で最終ラインの2年生は本当によく頑張ったと思います。この上級生たちの頑張りが、劣勢を打開する突破口になったと、見ていて感じました。上手い下級生がたくさんいるときこそ、上級生の強さが必要不可欠になってきます。噛み合えば、大きな結果を出せるかも知れませんね。

 

大商学園:負けて尚強し、の感さえ漂う負け方だったと思います。こちらも下級生が最低5人はいた布陣でしたが、それを感じさせない強さがありました。この日は力で押し切れず手詰まりになり、チームの雰囲気もなんとなく重苦しく見える。接戦の経験のなさが敗因になったように見える。とはいえ、試合後の凜とした姿をみてると、インターハイ予選の頃には今よりグレードアップした同校の姿が観れそうな気がしました。ここ数年、意識の高さを感じる同校ですが、それは今季も変わらないと感じました。

 

今日で大阪の女子の高校サッカー新人戦が終わりましたが、状況は大阪の高校野球に似てますね。大商学園が差し詰め野球で言うところの履正社。いわば今季も野球の履正社のごとく大阪の女子の高校サッカーの盟主。それに対抗できるのは現状、野球同様大阪桐蔭のみ。ただし大阪桐蔭は女子の高校サッカー界の履正社である大商学園以外の学校にもやられる危険性が5割と言ってもいいくらいの確率である。大商学園がこければ昨年同様大阪学芸に追手門学院、それに加えて今期は桜宮も虎視眈々とてっぺんを窺う。そんな図式でまずは、今季の大阪の女子の高校サッカーが始まったと思います。