櫻谷は生涯に二度、獅子図を集中製作した。三十代と五十代前半である。この作品は後期のもの。前期の作品に観られる獰猛さと威圧感は払拭され、威厳をたたえつつ内省的で言い知れぬ哀感すら感じさせる。
晩年に向かい画壇から離れ独り好きな絵を描くようになった櫻谷の自画像のようにも見えた。卓越した技を持ちながら世評など気にせず自分の行く道を貫いた彼の生き方を尊敬したい。作品の完成度とその生き方から私は櫻谷を二十世紀の若冲と呼ぶことにした。
晩年に向かい画壇から離れ独り好きな絵を描くようになった櫻谷の自画像のようにも見えた。卓越した技を持ちながら世評など気にせず自分の行く道を貫いた彼の生き方を尊敬したい。作品の完成度とその生き方から私は櫻谷を二十世紀の若冲と呼ぶことにした。