古都探索日記

奈良や京都の散策日記

獅子

2017-11-27 16:32:14 | 美術
 櫻谷は生涯に二度、獅子図を集中製作した。三十代と五十代前半である。この作品は後期のもの。前期の作品に観られる獰猛さと威圧感は払拭され、威厳をたたえつつ内省的で言い知れぬ哀感すら感じさせる。

 晩年に向かい画壇から離れ独り好きな絵を描くようになった櫻谷の自画像のようにも見えた。卓越した技を持ちながら世評など気にせず自分の行く道を貫いた彼の生き方を尊敬したい。作品の完成度とその生き方から私は櫻谷を二十世紀の若冲と呼ぶことにした。
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孔雀図

2017-11-27 16:26:51 | 美術
 暮年(1929)の作品。これにも高価な絵の具が惜しみなく使われれている。動物への愛情が感じられ伊藤若冲を思わせる。
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寒月(部分)

2017-11-27 16:17:41 | 美術
 図録から拡大した部分を紹介。左は狐の見事な毛描。高い完成度。

 右は竹の幹。薄墨の上に明暗数種の群青が重ねられている。暗い青は火であぶって黒くした群青。ほかではまず見られないのではないか。
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寒月

2017-11-27 16:07:10 | 美術
 櫻谷の代表作。下弦の月に照らされた雪の竹林をエサを求めて一匹の狐が彷徨う。第六回文展に出品、最高賞を受けた。

 竹林の奥深さ、冬の夜の寒さ、冷たい月明りをその場にいるように感じる。

 西洋画の技法を取り入れ、それまでの屏風絵から一線を画す出来映えであるが夏目漱石は酷評している。しかし櫻谷はそれについて何も語っていない。
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