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古都探索日記

奈良や京都の散策日記

J.S.バッハ クラヴィア練習曲集第3部 コラール編曲

2016-10-19 12:16:43 | My favorite things 私の好きなもの
 1739年に出版されたこのパイプオルガン曲集は前奏曲BWV552-1)、21のコラールBWV669-689)、4つのデュエットBWV802-805)、フーガ(BWV552-2)からなるが、後年の音楽者によつて別々に分類され作品番号が連番になっていない。練習曲といってもタイトルページの序文からは研鑚を積んだ上級者だけが演奏を許される難曲である。

 コラール編曲はその構成からキリスト教の教理について非常に多く論じられてきたというが私がそれらを理解するのは到底不可能である。

 しかし大半のオルガン作品が作曲されたバッハがまだ出世欲と野心に満ちていたヴァイマール時代の作品と比較すると大きな違いがあることは私にも感じとることができると思う。1740年ごろからバッハは内に自己の内面に志向するようになり、この後、ゴールドベルグ変奏曲、音楽の捧げ物、フーガの技法と崇高な作品群が創られていく。私のような素人でもその高い精神性を感じることができるのである。バッハのコラールオルガン曲の最高作と言えるのではないか?

 この作品を聴いていると表現のしようが無い穏やかな心地になってくる。画像はデューラーの「祈る手」1508年ごろ。日頃両手を合わせて祈ることなどほとんど無い私であるが、この曲を聴くことが私の祈りであると思う。

 下をクリックしてください。作品の21曲のなかのひとつ(BWV676)です。

 オルガンコラール「いと高きところの神にのみ栄光あれ」を聴く。
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フツーに死ぬ

2016-07-18 19:43:48 | My favorite things 私の好きなもの
 再びヨーコさんの”言葉”から引用。ヨーコさんの愛猫「フネ」が癌の宣告を受けてから看取るまでのヨーコさんの心情がテーマ。画像は絵本の一部。

 高級なペット用の缶詰を買い与えてからの場面を紹介。

 小さな皿にスプーン一さじをとりわけてフネの鼻さきに持っていった。
 匂いをかいでフネは一さじ分食べた。
 私は勇んでもう一さじを入れた。フネは口を閉じたまま私の目を見た。

 「ねぇ、食べな」と私は言った。

 フネは私の目を見ながら舌を出して白身を一回だけなめた。
 私の声に一生懸命こたえようとしている。
 お前こんないい子だったのか、知らんかった。

 ガンだガンだと大さわぎしないで、ただじっと静かにしている。
 何と偉いものだろう。

 (このあと画像の部分につながる)


 ヨーコさんは小さな猫が生き物の宿命である死をそのまま受け入れている気高さに心を動かされ、フネのように静かにフツーに死んで行きたいと願う。

 私もいつ「その時」が来てもおかしくない齢を迎えた。その時はジタバタしないで静かに自分の定めに従いたい。
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あーつかれた

2016-07-15 17:06:06 | My favorite things 私の好きなもの
 ヨーコさんの”言葉”それが何ぼのことだ より傑作を一話紹介「あーつかれた」。画像をクリックしてください。

 美人として生まれてこなかった女性達の苦悩と奮闘をユーモアを込めて描く。絵は北村裕花さん。

 美人じゃないと思っているたくさんの同志よ、
 私たちはいばらの道を歩いてきた。

 ある同志は言った。
 「私たち税金を安くしてもらいたい。
 美しい人が優遇されて、物心共に
 非常に得るところが多い。
 同じ税金を払うのは不公平ではないか」

 と机をたたいた。

(以降この調子で綴られる)
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ヨーコさんの”言葉”

2016-07-13 16:19:18 | My favorite things 私の好きなもの
 NHK教育TVが日曜午前8時55分(日曜美術館の直前)に放映するこの朗読番組はとても面白い。作者は絵本作家、エッセイストの佐野洋子さん(1938-2010)。

 絵本のようなイラストとともにごく普通の人の日常の機微が女性らしい感性を通して少し斜めな視点から、シニカルかつユーモラスに語られていく。好評らしく二冊の絵本となって発刊された。
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バッハ フーガの技法

2015-08-26 15:00:45 | My favorite things 私の好きなもの
 バッハ最晩年の大作「フーガの技法」bwv1080 はバッハのポリフォニー音楽の集大成といわれ、様々なフーガの技法が体系的に提示されている。崇高かつ神々しさに満ちた音楽である。こう述べると難解で近寄りがたいと思われるが実は楽しさに満ちた作品と私は感じている。その楽しさを具現したのがグレン・グールドのパイプオルガンによる演奏だと思う。中でも一番のお気に入りはコントラプンクトゥス4、聴いているとウキウキしてくるような歓びをかんじる。

 グールドのオルガン演奏を聴く。左をクリックしてまずお聴きください。

 ディキシーランドジャズを一人だけで賑やかに演奏しているようなグールドの技巧にまず驚かされる。次にこの曲を頭の中で組み立てたバッハの凄さに圧倒される。ただ音楽を創るというだけでなくポリフォニーに潜む永久不変の法則を探究する数学者あるいは物理学者のようなバッハの側面を感じとることができ、それでいて大変楽しいのである。

 画像はオルガンに向かうグールド。
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