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情報公開・個人情報保護審査会 平成21年度(行情)答申第157号 司法試験委員会の議事内容の録音…

2009年07月27日 | 行政文書該当性/文書の特定/理由付記
諮問庁 : 法務大臣
諮問日 : 平成20年 7月23日(平成20年(行情)諮問第440号)
答申日 : 平成21年 7月27日(平成21年度(行情)答申第157号)
事件名 : 司法試験委員会の議事内容の録音テープ等の不開示決定に関する件

答 申 書

第1  審査会の結論
 別紙に掲げる13文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)のうち文書1ないし8,12及び13につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当であり,また,文書9ないし11につき,行政文書に該当しないとして不開示とした決定については,当該文書は行政文書に該当すると認められるが,諮問庁がそのすべてを不開示とすべきとしていることは,妥当である。

第2  異議申立人の主張の要旨
(略)


第3  諮問庁の説明の要旨
(略)


第4  調査審議の経過
 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

①  平成20年7月23日  諮問書の受理
②  同日  諮問庁から理由説明書を収受
③  同年10月2日  異議申立人から意見書を収受
④  平成21年2月26日  本件対象文書の見分及び審議
⑤  同年3月5日  審議
⑥  同月12日  審議
⑦  同年4月9日  審議
⑧  同年5月21日  諮問庁の職員(法務省大臣官房人事課付ほか)からの口頭説明の聴取
⑨  同年6月25日  審議
⑩  同年7月23日  審議

第5  審査会の判断の理由
1  本件対象文書について
 本件対象文書は,第11回ないし第17回の司法試験委員会会議(以下「本件各会議」という。)の内容を録音したもの(文書1,3,5,7,9ないし11)(以下「本件ミニディスク」という。)及び第11回ないし第16回の司法試験委員会会議の発言者名の分かる議事を記録した文書(文書2,4,6,8,12及び13)(以下「発言者名記録文書」という。)であるところ,処分庁は,文書1ないし8,12及び13については不存在を理由として,文書9ないし11については行政文書に該当しないとしていずれも不開示決定を行っている。
 さらに,諮問庁は,本件ミニディスクについては,仮に行政文書に該当するとしても,そのうち文書9ないし11については法5条5号及び6号に該当する旨,及び文書1,3,5及び7については既に消去しており,物理的にも不存在である旨説明する。また,発言者名記録文書については,そもそも作成されておらず,物理的に不存在である旨説明する。
 これに対して異議申立人は,原処分の取消訴訟に係る東京地裁判決及び東京高裁判決は,文書9ないし11の行政文書該当性は認めつつも,不開示事由に該当するとして請求を棄却しており,裁判所において本件ミニディスクは行政文書に該当すると判断されていること,また,文書1,3,5及び7については開示請求日と文書の消去の時期が重なっており極めて不自然であること,及び発言者名記録文書については作成されているはずである旨主張しているので,以下,本件ミニディスクの行政文書該当性,文書9ないし11を除く本件対象文書の保有の有無等について検討する。

2  司法試験委員会会議及びその記録について
 諮問庁の説明によると,司法試験委員会の会議及びその記録について,以下のような経緯が認められる。
 司法試験委員会が会議を開催したときは,議事要旨を作成し,これを公開する(議事細則5条2項本文)。ただし,司法試験法12条2項2号 (法務大臣からの諮問事項)及び3号 (法務大臣への意見具申事項)に掲げる事項について審議したときは,議事録を作成し (顕名による,原則として逐語体のもの),これを公開する (議事細則5条2項ただし書)。
 本件各会議の案件は,いずれも司法試験法12条2項1号及び4号に該当する案件であるから,本件各会議の議事については,議事細則5条2項本文に基づき,議事要旨が作成・公開される。
 議事要旨は,顕名による逐語的な記録の必要がないため,議事要旨の作成に当たっては,当初から発言者の名前を明示せず,司法試験委員会の会議における発言についても逐語的に記録するのではなく,その要旨のみを記載する方法により作成される。
 また,法務省のウェブサイトにおいて,議事要旨は公開されていることが認められる。

3  本件ミニディスクの行政文書該当性について
(1)  行政文書該当性について
 法における「行政文書」とは,法2条2項において,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているものをいうと規定されている。
 諮問庁の説明によれば,本件ミニディスクは,司法試験委員会の庶務を担当する法務省大臣官房人事課の職員が本件各会議の議事要旨の作成を命じられて,その用に供するため職務上作成した文書であることが明らかである。そこで,本件ミニディスクが,当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものであるか否かについて検討する。

(2)  組織共用性について
 「組織的に用いる」とは,その作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく,組織としての共用文書の実質を備えた状態,すなわち,当該行政機関の組織において,業務上必要なものとして,利用され,又は保存されている状態のものを意味すると解するのが相当である(以下,このような状態にある文書を「組織共用文書」という。)。
 そして,作成又は取得された文書が,どのような状態にあれば組織的に用いるものであるかについては,当該文書の作成又は取得の状況,利用の状況,保存又は廃棄の状況などを総合的に考慮して実質的な判断を行うのが相当である。

(3)  本件ミニディスクの組織共用性について

ア  本件ミニディスクの性質及び取得の状況
 本件ミニディスクは,司法試験委員会の庶務を担当する法務省大臣官房人事課において本件各会議の議事要旨の起案を命じられた事務取扱者が,議事要旨の作成の用に供するために,本件各会議に出席して録音したものであることが認められる。
 司法試験委員会においては,議事細則の定めにより,会議そのものは公開せず,議事録又は議事要旨の形で議事の内容を公開することとされている(議事細則5条1項及び2項)。
 これは,司法試験の出題内容や成績判定の基準など,司法試験の秘密にわたる事項が公になることにより,司法試験の円滑かつ適正な実施が妨げられることのないようにするとともに,会議の場における発言の正確さや措辞の適切さを気にする余り,各委員の発言が消極・低調に流れてしまうことを防止し,議論が自由かつ活発に行われるようにすることによって,司法試験委員会の意思決定を適正なものにするために,上記のような議事内容の公開方法をとっているものと解される。
 このため,司法試験委員会の会議の様子が録音され,その録音された内容が公になるとするならば,会議を非公開とし,議事録又は議事要旨の形でのみ議事内容を公開することとした趣旨に反することは明らかであるから,司法試験委員会の許可なく会議の内容を録音することは,同委員会によって禁止されていると解するのが相当である。
 しかしながら,同委員会の庶務を担当する職員が会議内容をミニディスクに録音することについては,各委員を含む会議の出席者が反対の意思を表明していなかったことが認められることから,議事録又は議事要旨の内容の正確性を期すために,議事内容を録音しておくことの必要性を認め,録音された内容がみだりに他にもれて会議非公開の趣旨を損なうことのないように録音物の適正な管理が行われることを前提として,司法試験委員会が庶務担当の人事課職員に限り,会議の録音を許可したものと解される。

イ  管理,保存等の状況
 本件ミニディスクの適正な管理については,国家公務員法100条の事務取扱者個人の守秘義務等に基づく管理によっても他への漏えいを防止することが可能であるが,紛失等の危険性等を考えると,そのような個人的な管理にすべてをゆだねるのではなく,司法試験委員会の庶務担当部署としての人事課が,組織として適正に管理,保存及び廃棄を行うことが期待されていると考えるのが自然である。このように考えると,本件ミニディスクは,現に人事課において組織的な管理等が行われているものであるか,少なくともそのような管理等が行われるべきものとして司法試験委員会からゆだねられているものと解するのが相当である。

ウ  利用の状況
 既に公表されている第15回会議,第16回会議及び第17回会議の議事要旨は,非常に詳細な議事要旨であることが認められ,このように詳細かつ正確な議事要旨を作成することは,本件ミニディスクに依存することなしには極めて困難であるといわざるを得ない。仮に本件において議事要旨を作成すべき事務取扱者に急病等の差し支えが生じていたならば,当然に他の職員が本件ミニディスクを利用して議事要旨の作成を代行していたであろうと考えられるが,本件ミニディスクの利用が職員間の個人的な信頼関係に依存するようなことでは,庶務担当部署としての人事課の責任が果たせるものとは到底考えられず,現に人事課において組織的な利用が行われているものであるか,少なくともそのような利用が行われるべきものと解するのが相当である。

エ  組織共用性の有無について
 以上のような本件録音物の性質及び取得の状況,これらから推認される本件ミニディスクの管理及び利用の状況等を総合的に考慮すれば,本件ミニディスクは,司法試験委員会会議の議事要旨の作成・公開という業務に必要なものとして,同委員会の庶務担当部署である人事課において利用及び保存される電磁的記録であり,行政文書の要件である「組織的に用いる」ものに該当するというべきである。
 したがって,本件ミニディスクは,法2条2項に規定する「行政文書」に該当すると認められる。

4  文書9ないし11を除く本件対象文書の保有の有無について
(1)  本件ミニディスクのうち文書1,3,5及び7について

ア  諮問庁は,口頭説明において,標記文書の保有の有無について以下のとおり説明する。
 会議の内容の録音体についての保管や消去時期については,何ら定めも監督者からの指示もなく,議事要旨の作成及び決裁の過程において事務取扱者の上司が確認,修正する際には各人の記憶と手控えに基づいて行うため,本件ミニディスクを再生して確認等はしていない。
 議事要旨の起案後,各委員が議事要旨の内容を確認しているのは,発言の一字一句がそのとおりであったかを確認しているものではなく,主に発言の趣旨や議論の流れに誤りがないかなどを確認している。本件議事要旨の作成は,発言の一言一句を再現することではなく,司法試験委員会会議における議論の概要を公表することが目的であり,各委員から,「発言の趣旨のとおり表記を修正してもらいたい」というような意見があれば,各委員の意見とおりに修正しているものであって,各委員の修正意見に対して,録音内容を確認する必要はない。また,ミニディスクは,司法試験委員会の庶務担当である人事課において消耗品として同課の職員間で共用されており,再利用を前提に使用しているため,次の使用者が使用するにあたり,前の録音が残っているのは望ましくないことから,事務取扱者は,議事要旨の起案が終了次第(会議開催日からおおむね1週間後),通常,自らの判断により,ミニディスクに録音された内容を適宜消去している。

イ  上記諮問庁の説明について検討すると,一般に,会議の議事要旨を作成する際には,会議出席者に対して議事要旨案の内容を確認するまでは会議の録音内容を保存しておくことが通例と考えられるが,議事要旨作成の在り方は各会議体にゆだねられているものである上,司法試験委員会の会議については,事務取扱者の上司は自らの記憶と手控えにより議事要旨案の内容を確認し,また,各委員から修正意見があれば当該意見のとおりに修正するため,録音内容を確認する必要はないとのことであるから,議事要旨の起案が終了し次第録音物は消去されるという同委員会の議事要旨作成の在り方が,特に不合理であるとまでは認められない。

ウ  また,文書1及び3に係る開示請求受付日は平成16年11月22日(同年10月7日の会議開催日から45日後,同年11月9日の会議開催日から13日後),文書5及び7に係る開示請求受付日は同年12月17日(同年11月26日の会議開催日から21日後,同年12月10日の会議開催日から7日後)である。
 これに対して,事務取扱者が起案を終了し本件ミニディスクの録音内容を消去したのは,各会議開催日からおおむね1週間後とのことであり,文書7については開示請求受付日が平成16年12月17日であるのに対し,録音内容の消去時期が同年12月中旬頃と近接しているため,開示請求時点で録音内容が消去されていたことについては疑問なしとしないが,同時点において録音内容は消去されていた旨の諮問庁の説明を否定し,同時点においてこれらの文書が存在していたと認めるまでの資料はない。

エ  以上のことから,本件ミニディスクのうち文書1,3,5及び7は,議事要旨の起案終了次第消去したため存在しないとする諮問庁の説明は不合理とまでは言えず,また,これを覆すに足る事情も認められないことから,是認せざるを得ない。

(2)  発言者名記録文書(文書2,4,6,8,12及び13)について
 諮問庁の説明するとおり,文書1,3,5及び7については,事務取扱者が議事要旨を起案した時点で録音内容を消去しており,文書9ないし11については,仮に開示請求がなく同様の時点で消去していたとしても,当時の司法試験委員会の出席委員は多くても男女合わせて7名と少人数であること,事務取扱者を含む複数の法務省大臣官房人事課の職員が会議の場に列席し会議の状況を記録していたこと,及び議事要旨の確認作業が会議の開催日から50日程度以内で終わっていることからすると,各出席者の記憶等によっても発言者名の特定は容易であり,別途発言者名記録文書がなければ発言者の特定ができないというほどの状況ではなかったものと認められる。
 さらに,司法試験委員会の会議について,発言者名の分かる文書を作成・保存することを義務付けた法令の規定は存在せず,会議の内容についてどの程度の文書を作成・保存しておくかは行政庁の裁量にゆだねられているものと解さざるを得ない。
 以上のことから,本件各会議について,発言者名記録文書が作成されていたとは認められない。
 したがって,法務省において,文書2,4,6,8,12及び13の発言者名記録文書を保有しているとは認められない。

5  文書9ないし11の不開示情報該当性について
 上記3で検討したとおり,本件ミニディスクは行政文書等に該当すると認められるので,そのうち,諮問庁が物理的に存在するとしている文書9ないし11の不開示情報該当性について,以下検討する。

(1)  法5条5号該当性について
 文書9ないし11は,第15回ないし第17回の司法試験委員会の会議の議事内容を録音したミニディスクであり,当審査会で見分したところ,文書9及び10には,それぞれの会議の複数の議題のうち「併行実施期間中の現行司法試験及び新司法試験の合格者に関する方針について」に関する部分のみが記録されており,文書11には,同会議の唯一の議題である「併行実施期間中の現行司法試験及び新司法試験の合格者に関する方針について」に関する部分が記録されていることが認められた。
 司法試験委員会は,司法制度改革審議会意見書の趣旨にのっとり,司法試験を実施することを含め,現行司法試験制度及び新司法試験制度の在り方等について調査審議し,法務大臣に意見を述べるものであり,司法試験法及び司法試験委員会令に基づき法務省に設けられた審議会等(国家行政組織法8条)である。したがって,文書9ないし11中に記録された情報は,国の機関の内部における審議,検討又は協議に関する情報に該当すると認められる。
 上記3(3)アに記載のとおり,司法試験委員会においては,議事細則の定めにより,会議そのものは公開せず,議事録又は議事要旨の形で議事の内容を公開することとされている。これは,司法試験の出題内容や成績判定の基準など,司法試験の秘密にわたる事項が公になることにより,司法試験の円滑かつ適正な実施が妨げられることのないようにするとともに,会議の場における発言の正確さや措辞の適切さを気にする余り,各委員の発言が消極・低調に流れてしまうことを防止し,議論が自由かつ活発に行われるようにすることによって,司法試験委員会の意思決定を適正なものにするために,上記のような議事内容の公開方法をとっているものと解される。
 本件における併行実施期間中の新司法試験の合格者数に関する議論のように社会的に強い関心を集めている話題については,その公共性の高さにかんがみ,国民に対する説明責任という観点から,むしろ当該会議の内容を公にすべきであるとも考えられる。
 しかしながら,当審査会において文書9ないし11を見分したところ,当該会議においては,委員長の議事の整理に従いつつも,各委員が自由に発言し議論を交わしており,一部には言い間違いや誤解を招くおそれがあると思われる用語もあることが認められる。また,当該文書は会議の模様を直接録音したものであることから,これを公にした場合,会議における各委員の発言内容のみならず,その声の調子や抑揚等も含め会議の状況がそのまま再現されることとなる。
 このため,文書9ないし11の録音内容が公にされることとなれば,司法試験委員会における今後の会議において,自己の発言中のささいな言い間違いや論理の乱れ等に対するいわれのないひぼう中傷等の危険をいとうあまり,各委員が発言を自制ないしちゅうちょし,自由・活発な議論が行われなくなるおそれがあると認められ,その結果,審議の対象となる事柄について冷静に自由・活発な議論を交わして,適切・妥当な結論を得ることが妨げられる事態が生ずることも十分に考えられる。特に,今後本件のような社会的に注目される案件が議題に上ったときに,上記のようなおそれがより現実的なものとなると認められる。
 したがって,文書9ないし11に記録された情報は,公にすることにより,司法試験委員会の会議における率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため,法5条5号の不開示情報に該当するものと認められる。

(2)  法5条6号該当性について
 諮問庁は,文書9ないし11は,法5条6号にも該当すると主張するが,上記(1)のとおり同条5号に該当すると認められるので,同条6号該当性について判断するまでもない。

6  本件諮問時期について
 本件異議申立ては平成16年12月27日から同17年5月30日の間にそれぞれ行われているが,当審査会に諮問されたのは平成20年7月23日であり,異議申立てから諮問まで約3年から3年半が経過している。
 諮問庁は,口頭説明において,本件異議申立てと並行して原処分の取消訴訟が提起されており,平成16年1月に新設された司法試験委員会の今後の議事の公表の在り方についても影響を及ぼすものであることから,裁判の状況なども踏まえ,諮問することとしたものとしている。
 しかし,異議申立人は当該取消訴訟と並行して本件異議申立てを行っており,司法の判断とは別に簡易迅速な行政内部での判断を併せて求めているものと認められ,両制度によって自己の権利利益の救済を受ける権利は,最大限に尊重されなければならない。
 開示決定等について不服申立てがあったときは,法18条において,原則として当審査会に諮問しなければならないとされており,また,審査会は,必要があるときは,諮問庁に対し,行政文書の提示等を求めることができることとされている(情報公開・個人情報保護審査会設置法9条)。そのようないわゆるインカメラ審議等の制度が審査会の審議において設けられていることの意義に照らせば,当審査会の事実認定判断を訴訟における判断に反映させることも意味のあるところであることから,諮問庁は,裁判所による判断を待つことなく,速やかに当審査会へ諮問すべきである。
 本件諮問事件の具体的内容等を勘案すると,「簡易迅速な手続」による処理とは言い難く,諮問庁においては,開示請求権の的確な実現を図るという観点から,今後,開示決定等に対する不服申立て事件における諮問に当たって,「不服申立て事案の事務処理の迅速化について」(平成17年8月3日情報公開に関する連絡会議申合せ)に従い,迅速かつ的確に対応することが必要である。

7  異議申立人のその他の主張について
 異議申立人は,本件不開示決定について,諮問庁が具体的な理由を示していないのは行政手続法8条に違反すると主張するが,行政文書不開示決定通知書には,「開示請求に係る対象文書は,行政文書として作成又は取得していない」旨記載されており,理由付記に不備のある違法なものとは認められない。
 異議申立人は,その他種々主張するが,当審査会の上記判断を左右するものではない。

8  本件不開示決定の妥当性
 以上のことから,本件対象文書のうち文書1ないし8,12及び13につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,法務省において文書1ないし8,12及び13を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。また,本件対象文書のうち文書9ないし11につき,法2条2項の行政文書に該当しないとして不開示とした決定については,当該文書は行政文書に該当すると認められるが,諮問庁がそのすべてを法5条5号及び6号に該当することから不開示とすべきとしていることについては,当該文書は同条5号に該当すると認められるので,同条6号について判断するまでもなく,妥当であると判断した。

(第4部会)
 委員 西田美昭,委員 園 マリ,委員 藤原静雄

別紙
 文書1:第11回司法試験委員会の議事の内容を録音したテープ
 文書2:第11回司法試験委員会の発言者名の分かる議事を記録した文書
 文書3:第12回司法試験委員会の議事の内容を録音したテープ
 文書4:第12回司法試験委員会の発言者名の分かる議事を記録した文書
 文書5:第13回司法試験委員会の議事の内容を録音したもの
 文書6:第13回司法試験委員会の発言者名の分かる議事を記録した文書
 文書7:第14回司法試験委員会の議事の内容を録音したもの
 文書8:第14回司法試験委員会の発言者名の分かる議事を記録した文書
 文書9:第15回司法試験委員会の会議の内容を録音したもの
 文書10:第16回司法試験委員会の会議の内容を録音したもの
 文書11:第17回司法試験委員会の会議の内容を録音したもの
 文書12:第15回司法試験委員会の発言者名の分かる会議内容を記録した文書
 文書13:第16回司法試験委員会の発言者名の分かる会議内容を記録した文書


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