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情報公開・個人情報保護審査会 平成22年度(独情)答申第51号 特定団地特定号棟耐震診断結果…

2011年03月02日 | 確認検査員の氏名/建築士の氏名
諮問庁:独立行政法人都市再生機構
諮問日:平成21年6月9日(平成21年(独情)諮問第42号)
答申日:平成23年3月2日(平成22年度(独情)答申第51号)
事件名:特定団地特定号棟耐震診断結果(X方向)報告「再評価」の一部開示決定に関する件

答 申 書


第1 審査会の結論
「特定財団法人との業務委託契約書「平成11年度耐震診断住棟の耐震性再評価業務の業務委託仕様書に記されている成果物①耐震診断詳細検討報告書②その他詳細検討に要した資料」」(以下「本件請求文書」という。)の開示請求につき,「特定号棟(A,B棟)耐震診断結果報告『再評価』」の文書(以下「本件対象文書」という。)を特定し,その一部を不開示とした決定については,本件対象文書を特定したことは妥当であるが,別紙に掲げる部分を開示すべきである。

第2 異議申立人の主張の要旨
1 異議申立ての趣旨
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく本件請求文書の開示請求に対し,平成21年1月19日付け,ひ501-113号により独立行政法人都市再生機構(以下「機構」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2 異議申立ての理由
異議申立人の主張する異議申立ての理由は,異議申立書及び意見書によると,おおむね以下のとおりである。

(1)異議申立書
本件対象文書は,機構が特定財団法人と締結した「平成11年度耐震診断済住棟(β<0.5)の耐震性再評価業務」(以下「業務委託」という。)に基づく成果物のすべてか。耐震診断の検討に要した資料が開示されていない。原処分の取消しを求める。

(2)意見書
ア 本件対象文書が特定財団法人と締結した業務委託に基づく成果品であるならば,本件対象文書には特定財団法人の名称が記されていないということはあり得ない。

イ 諮問庁は,建物の基礎,柱,梁,床,壁等の骨組みの種別,位置,大きさなどを示した図面や柱や壁の配筋状態,強度などの躯体データ(以下「建物の骨組みのデータ」という。)が含まれている部分を不開示としているが,承服できない。
建物の骨組みのデータが公開されない限り,耐震問題を科学的に検証することは不可能である。特定財団法人と締結した業務委託に基づく成果物の全面開示を改めて要求する。

ウ 平成21年(独情)諮問第41号ないし同第46号に至る一連の意見書提出は,耐震不足を理由として住棟除却を決定し,詳しい説明もしないまま,一方的に住民に立ち退きを迫っている機構に対し,特定団地の住民が行っているものである。平成21年3月17日付けで通知のあった平成21年(独情)諮問第8号ないし同第20号に至る一連の諮問に対する意見書と関連したものである。
平成18年4月,機構は,特定団地特定号棟の住民に「お知らせ」を配布し,特定号棟の耐震診断結果を示して,「平成21年度までに耐震改修等を実施」するとしていた。それなのに,なぜ,用途廃止=除却となったのか。特定団地の住民は,住民説明会等で耐震診断の内容や耐震化方策等に関しても詳しい説明を求めてきた。しかし,今日に至るまで,納得いく説明を聞いてない。
今回の情報開示請求に対する機構の態度は,国民の知る権利と独立行政法人の責務を規定した法1条の理念に照らしたとき,決して認められるものではないことは明らかである。各請求者の情報開示請求に真しに対応されることを希求する。

(3)補充理由説明書に対する意見書
機構が特定財団法人と締結した業務委託に基づく成果物について,本件対象文書以外は存在しないと説明するが,到底首肯できない。
当該業務委託の仕様書には,当該業務委託の成果物として,「報告書」及び「その他詳細検討に要した資料」が記載されていることから,成果物は,それぞれ存在するはずである。
本件対象文書の表紙が,受託した特定財団法人ではなく機構の組織の名称となっていることについての説明も首肯できない。本件対象文書が当該業務委託に基づく成果物であるならば,その作成責任の所在を明らかにすべきであるが,本件対象文書には当該業務委託を受託した特定財団法人の名称はなく,本件対象文書が特定財団法人との当該業務委託に基づく成果物である確証が得られない。
一連の情報公開請求により,本件対象文書と全く同様の文書の提供を受けたが,その表紙には本件対象文書にない記載が見られるが,納得いく説明を求める。

第3 諮問庁の説明の要旨
1 理由説明書
(1)本件異議申立てについて
本件異議申立ては,「特定財団法人との業務委託契約書「平成11年度耐震診断住棟の耐震性再評価業務の業務委託仕様書に記されている成果物①耐震診断詳細検討報告書②その他詳細検討に要した資料」」(本件請求文書)の開示請求に対する原処分に対して,異議申立人から,不開示とした部分の開示を求めてなされたものである。

(2)機構について
機構は,独立行政法人都市再生機構法に基づき設立された独立行政法人であり,大都市及び地域社会の中心となる都市において,市街地の整備改善及び賃貸住宅の供給の支援に関する業務を行うとともに,都市基盤整備公団(以下「公団」という。)から継承した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行っている。
特定団地特定号棟については,昭和46年に公団が建設し,賃貸住宅及び賃貸施設としてこれまで管理してきたところであるが,建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づく耐震診断を実施した結果,当該号棟については大規模地震に対する耐震性が確保されていないことが判明した。
耐震改修工事の検討を実施した結果,過分の費用を要する大規模な補修工事が必要となるにもかかわらず,工事実施後は住宅及び施設としての機能性が大きく損なわれること等から,耐震改修工事を実施せず,賃貸住宅及び賃貸施設としての用途を廃止した上で,建物を除却することが合理的と判断し,当該号棟の居住者に対してその旨を説明し,住み替えをお願いしているところである。

(3)異議申立人の主張について
本件対象文書は,機構が特定財団法人と締結した業務委託に基づく成果物のすべてか。耐震診断の検討に要した資料が開示されていない。原処分の取消しを求める。

(4)原処分の妥当性について
ア 本件対象文書について
今回請求のあった法人文書は,「特定財団法人との業務委託契約書「平成11年度耐震診断住棟の耐震性再評価業務の業務委託仕様書に記されている成果物①耐震診断詳細検討報告書②その他詳細検討に要した資料」」(本件請求文書)である。処分庁は,これに該当する文書として,本件対象文書を特定し,法9条1項の規定に基づき,建物の骨組みのデータに係る部分について,個人の権利利益を害するおそれから法5条1号に,かつ,犯罪の予防,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれから同条4号ロに該当する部分を不開示とする原処分を行った。
諮問庁は,異議申立人の異議申立て内容について検討を行った結果,原処分を維持し,不開示とすることが妥当であると判断した。
以下,本件対象文書についての不開示情報該当性を説明する。

イ 本件対象文書の不開示情報該当性について
(ア)本件対象文書の性質について
本件対象文書は,特定団地特定号棟の地震に対する安全性を検証した耐震診断結果報告書であり,当該報告書には建物の骨組みのデータが含まれている。

(イ)不開示情報該当性について
本件対象文書には,建物の骨組みのデータが示されており,壁・床の種別や厚さ等が容易に分かることにより,建物への不法な侵入を容易にすることや建物への損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから,法5条4号ロに該当すると考える。
また,本件対象文書を公にすることにより,建物への不法な侵入を容易にすることや,悪意を持った者による盗聴や盗撮などの行為が容易になることなど,居住者の安全確保や団地の管理運営に支障を及ぼし,個人の権利利益を害するおそれがあり,一方で居住者には自らの住宅に係る安全性やプライバシーが脅かされ,不安に思われるおそれもあることから,法5条1号に該当するものと考える。

ウ 異議申立人の主張について
異議申立人は,請求した法人文書が機構に存在していないとは考えられない,請求趣旨にまともに対応することを要求すると主張するが,請求のあった法人文書を特定した上で,上記イ(イ)で述べたとおり,法5条1号及び4号ロに該当することから,当該部分を不開示とする原処分をしたものであり,異議申立人の主張は当を得ないと判断した。

(5)結論
以上のことから,諮問庁は,原処分を維持し,本件対象文書は,その一部を不開示とすることが妥当であると考える。

2 補充理由説明書
(1)原処分について
処分庁は,本件対象文書を特定した上で,法5条1号及び4号ロに該当する部分を不開示とする原処分を行った。

(2)本件対象文書の特定の妥当性及び本件対象文書の外に該当する文書が存在しないことについて
ア 本件対象文書について
異議申立人は,平成20年10月30日付けで開示した業務委託の仕様書を確認の上,当該仕様書に記載されている「(1)耐震診断詳細検討報告書」及び「(2)その他詳細検討に要した資料」の開示を求めているものである。
異議申立人が開示を求めている法人文書は,当該業務委託に基づく成果物であり,このことは,異議申立書において,開示された文書が特定財団法人との契約書に記載されている成果物のすべてかと主張していることからも明らかである。
そこで,処分庁は,当該業務委託の成果物そのものである本件対象文書を特定したところであり,本件対象文書以外に該当する文書は存在しない。
異議申立人は,当該仕様書の記載を踏まえ,異議申立書において,耐震診断の検討に要した資料も請求したが何も開示されていないと主張し,2つの法人文書が存在すると理解されているが,特定した本件対象文書以外に該当する文書がないことは既に説明しているところであり,当該仕様書と成果物の関係については,次に詳述する。

イ 仕様書の表記(①耐震診断詳細検討報告書②その他詳細検討に要した資料)と本件対象文書の内容について
当該仕様書には「6.成果物の提出」について,「次の報告書等(一式3部)を提出する。(1)耐震診断詳細検討報告書(2)その他詳細検討に要した資料」とあるが,(1)及び(2)の内容が取りまとめられ,一つの成果物として受領したものである。
本件対象文書の内容について,当該仕様書の(1)又は(2)のいずれに該当するのか,あえて区分すると,以下の目次の「2 設計図書」や「3 コンクリート強度調査結果」については,明らかに「(2)その他詳細検討に要した資料」に該当するものであり,おおむね以下の1ないし4が(2),5ないし7が(1)に該当するものと言える。

目次 
1 建物概要
2 設計図書
3 コンクリート強度調査結果
4 原耐震診断結果
5 検討内容
6 検討結果
7 考察

なお,本件対象文書の表紙下部に記載の名称が受託者である特定財団法人ではなく,公団(機構)組織となっているのは,成果物の内容について責任を負うのは公団(機構)となるため,公団(機構)が本件対象文書の表紙の書式を定め,受託者である特定財団法人へ指示して作成させたためである。

第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

① 平成21年6月9日   諮問の受理
② 同日          諮問庁から理由説明書を収受
③ 同年7月7日      異議申立人から意見書を収受
④ 平成22年4月26日  本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年8月25日     諮問庁から補充理由説明書を収受
⑥ 同年9月7日      異議申立人から意見書を収受
⑦ 平成23年2月8日   審議
⑧ 同月28日       審議

第5 審査会の判断の理由
1 本件対象文書について
本件開示請求は,「特定財団法人との業務委託契約書「平成11年度耐震診断住棟の耐震性再評価業務の業務委託仕様書に記されている成果物①耐震診断詳細検討報告書②その他詳細検討に要した資料」」(本件請求文書)の開示を求めたものである。
処分庁は,本件対象文書を特定し,法5条1号及び4号ロの不開示情報に該当する部分を不開示とする原処分を行った。
異議申立人は,不開示部分の開示を求めるとともに,本件対象文書として特定されたものの外にも本件請求文書があるはずであると主張している。
これに対し,諮問庁は,原処分は妥当であるとしていることから,本件対象文書の見分結果を踏まえ,以下,本件対象文書の特定の妥当性及び不開示とされた部分の不開示情報該当性について検討する。

2 文書の特定の妥当性について
(1)諮問庁は,文書の特定について,次のとおり説明する。
異議申立人は,本件業務委託の仕様書には,当該業務委託の成果物として,「耐震診断詳細検討報告書」及び「その他詳細検討に要した資料」と記載されていることから,当該業務委託の成果物は2種類あって,本件対象文書の外にも文書が存在するものと理解しているが,本件業務委託に係る成果物は,「耐震診断詳細検討報告書」及び「その他詳細検討に要した資料」の内容が一つに取りまとめられたもので,これを当該業務委託に係る成果物として受領したものである。なお,本件対象文書を当該委託契約の仕様書に記載されている成果物の種別で区分けすると,目次の「5検討内容」ないし「7考察」部分が「耐震診断詳細検討報告書」に,目次の「1建物概要」ないし「4原耐震診断結果」部分が「その他詳細検討に要した資料」にそれぞれ該当する。

(2)本件対象文書が「耐震診断詳細検討報告書」及び「その他詳細検討に要した資料」が一つに取りまとめられたものであるとの諮問庁の説明に,特段不自然,不合理な点はなく,処分庁が本件対象文書を特定したことは妥当であると認められる。

3 不開示情報該当性について
(1)本件対象文書の性質について
本件対象文書は,当該建物の地震に対する安全性を検証した耐震診断結果報告書であり,本件対象文書には建物の骨組みのデータが含まれている。

(2)不開示情報該当性について
ア 当審査会において本件対象文書を見分したところ,不開示部分(別紙に掲げる部分を除く。)には,建物の骨組みのデータが記載されていることが認められる。

(ア)諮問庁は,次のように説明する。
本件対象文書には,建物の骨組みのデータが示されており,壁・床の種別や厚さ等が容易に分かることにより,建物への不法な侵入を容易にすることや建物への損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあることから,法5条4号ロに該当する。
また,本件対象文書を公にすると,建物への不法侵入を容易にし,悪意を持った者による盗聴や盗撮などの行為が容易になることなど,居住者の安全確保や団地の管理運営に支障を及ぼし,個人の権利利益を害するおそれがあり,一方で居住者には自らの住宅に係る安全性やプライバシーが脅かされ,不安に思われるおそれもあることから,法5条1号に該当する。

(イ)本件不開示部分は,建物の骨組みのデータが示されており,壁,床の種別や厚さ等が容易に分かることから,これを公にすると,建物への不法侵入又は損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって,当該不開示部分は,法5条4号ロに該当すると認められ,同条1号該当性を判断するまでもなく,不開示としたことは,妥当である。

イ 上記ア以外の不開示部分について
当審査会において本件対象文書を見分したところ,表紙を含めた5枚目及び6枚目の不開示部分には,建築士事務所,工事及び図面の名称,一級建築士の名前及び登録番号,縮尺,図面番号,月日,機構の役職及び組織の名称,機構の管理職職員の印影並びに凡例が記載されており,当該部分が不開示とされていることが認められる。

(ア)一級建築士の名前及び登録番号
当該部分は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別できるものではあるが,一級建築士名簿には,氏名及び登録番号が記載され,国,都道府県及び都道府県ごとに置かれている建築士協会において,一級建築士名簿は閲覧に供されていることから,当該情報は同号ただし書イに該当し,また,これらを公にしても,建物への不法侵入又は損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められないことから,同条4号ロにも該当せず,開示すべきである。

(イ)機構の管理職職員の印影
当審査会事務局職員をして諮問庁に,当該印影について確認させたところ,諮問庁は,当該印影は,管理職にある職員に職務上使用するために配布されているもので,当該管理職個人のものではないと説明する。
当該印影は,法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別できるものではあるが,管理職にある職員に職務上使用するために配布されているものであることを踏まえると,当該印影は,同号ただし書ハに該当し,また,これを公にしても,建物への不法侵入又は損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められないことから,同条4号ロにも該当せず,開示すべきである。

(ウ)建築士事務所,工事及び図面の名称,縮尺,図面番号,月日,機構の役職及び組織の名称並びに凡例
これらの情報は,図面の設計を行った建築士事務所,機構が発注した工事及び図面の意匠を示す名称,図面の縮尺,連番として付されている図面の番号,月日,機構の役職及び組織の名称並びに図面内で用いられている記号等を説明している内容であり,法5条1号に規定する個人に関する情報に該当せず,また,これらを公にしても,建物への不法侵入又は損壊行為を容易にするなど,犯罪の予防,鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められないことから,同条1号及び4号ロのいずれにも該当せず,開示すべきである。

4 異議申立人のその他の主張について
(1)本件対象文書の作成名義
ア 異議申立人は,本件対象文書には,受託者である特定財団法人の名前はどこにも明記されておらず,そうしたことはあり得ないと主張する。
当審査会事務局職員をして諮問庁に,本件対象文書の作成名義について確認させたところ,諮問庁は,本件対象文書の内容についての対外的な責任を公団(機構)が負うことを踏まえ,本件対象文書の表紙についても,公団が受託者に指示して作成させ,公団の名称が記載された本件対象文書を成果物として受領したものであり,作成名義については,一般的な取決めはないと説明する。

イ 本件対象文書は,機構と特定財団法人との間で締結された業務委託契約の成果物であり,作成名義も含めその内容は,発注者の指示又は契約当事者間で定められるものであることから,異議申立人の主張は認められない。

(2)別途の情報公開請求により取得した文書との関係
ア 異議申立人は,補充理由説明書に対する意見書で,本件対象文書と別途の情報公開請求により取得した文書との関係について諮問庁に説明を求めている。
当審査会事務局職員をして諮問庁に,異議申立人が別途の情報公開請求により取得した文書について確認させたところ,諮問庁は,本件対象文書は,特定団地特定号棟の地震に対する安全性を検証した当初の耐震診断結果報告書で,異議申立人が別途の情報公開請求により取得した文書は,本件対象文書である当初の耐震診断結果報告書を基に改めて作成した再評価時点の耐震診断結果報告書であり,当該文書は本件対象文書ではないと説明する。

イ 諮問庁から異議申立人が別途の情報公開請求により取得した文書の提示を受け確認したところ,当該文書の表紙を含めた3枚目及び4枚目には「再評価時」と記載されており,上記諮問庁の説明のとおり,当該文書は,本件対象文書を基に再評価時点で新たに取りまとめたもので,本件対象文書そのものではないことが認められた。異議申立人は,当該文書と本件対象文書とが相違することについての説明を求めているが,当該主張は,本件対象文書の特定の適否及び不開示情報該当性に係るものと言えず,その主張は認められない。

(3)異議申立人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

5 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから,本件請求文書の開示請求につき,本件対象文書を特定し,その一部を法5条1号及び4号ロに該当するとして不開示とした決定については,機構において,本件対象文書の外に開示請求の対象として特定すべき文書を保有しているものとは認められないので,本件対象文書を特定したことは妥当であり,別紙に掲げる部分は,同条1号及び4号ロのいずれにも該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は,同条4号ロに該当すると認められるので,同条1号について判断するまでもなく不開示とすることが妥当であると判断した。

(第5部会)
委員 戸澤和彦,委員 久保茂樹,委員 新美育文

別紙
開示すべき部分

1.表紙を含め5枚目及び6枚目の右下部分
建築士事務所,工事及び図面の名称,一級建築士の名前及び登録番号,縮尺,図面番号,月日,機構の役職及び組織の名称並びに機構の管理職職員の印影

 2.表紙を含め5枚目及び6枚目の図面中

図面の名称及び凡例

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