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情報公開審査会 平成16年度(行情)答申第329号 マーカット経済科学局長との間の書簡の不開示決定

2004年10月22日 | 行政文書該当性/文書の特定/理由付記
諮問庁 : 外務大臣
諮問日 : 平成16年 3月24日 (平成16年(行情)諮問第151号)
答申日 : 平成16年10月22日 (平成16年度(行情)答申第329号)
事件名 : 吉田・片山・芦田各首相とマッカーサー総司令官,ホイットニー民生局長,マーカット経済科学局長との間の書簡の不開示決定(不存在)に関する件

答 申 書


第1  審査会の結論
 吉田・片山・芦田各首相とマッカーサー総司令官,ホイットニー民生局長,マーカット経済科学局長との間の書簡(ただし,既に公開されたものを除く。)(以下「本件対象文書」という。)について,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥当である。

第2  異議申立人の主張の要旨
1  異議申立ての趣旨
 本件異議申立ての趣旨は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく本件対象文書の開示請求に対し,平成15年10月29日付け情報公開第01709号により外務大臣臨時代理国務大臣が行った不開示決定(不存在)(以下「原決定」という。)について,その取消しを求めるというものである。

2  異議申立ての理由
 異議申立人の主張する異議申立ての理由は,異議申立書及び意見書の記載によると,おおむね以下のとおりである。

(1)  平成15年10月29日付けをもって「不開示(不存在)」なる旨の最終決定の通知を頂いた。この決定に大いに不服があるので下記の諸点について説明いただきたくお願いする。
 先に外交史料館による外交文書公開が行われた際,占領初期の一部の書簡については含まれていた。それ以後のものが「不存在」となったのはどのような理由からか。

ア  原史料が破棄又は廃棄されたのか。

イ  そうだとしたら,どのような法的裏付けによって破棄又は廃棄が行われたのか。

ウ  破棄又は廃棄は何時行われたのか。

エ  外務省においては行政文書の保存について何か一定の規則があるのか。どの文書を保存し,あるいはしないかの最終決定はだれが行うのか。

 要するに日本の再建期に当たって決定的に重要な本件対象文書が簡単に「保有していない」として公開ができないということは,研究者にとっても,一納税者にとっても,全く納得のいかないことである。ここに改めて異議申立てを行う次第である。

(2)  本件に関し,克明な御説明と諸規則をいただき感謝に耐えない。その上で,なお意見書を提出するのは死児の年齢を数えるようなので空しい気がするが,今後の文書管理の上で何かのお役に立てばと思ってのことである。理由説明書の中で「(3)開示請求にいう当該書簡は,その性質からして(中略)第一区分(保存期間30年)に分類される可能性が高いものであり,現行以前の文書管理規程においては永久保存の類型の文書に分類される可能性が高く,廃棄の対象になったとは考えにくい」とある。
 しかし関係者が手を尽くして調べられたにもかかわらず,それらの書類は「不存在」であり,「(4)いずれの廃棄の記録にも該当する文書の廃棄の記録は見出せず,(中略)廃棄の記録は残っていない。」とすると,これは一つのミステリイであって,これ以上追求することは無意味と考える。
 歴史文書の評価については,政府のいわゆる「官僚」と歴史家のそれとは,異なることは当然だが,評価するにしても文書そのものが存在しないのでは仕方がない。
 異議申立人が言いたいのは諸外国(異議申立人の知っているのはアメリカだけだが)のように,文書は原則としてすべてを保存し,25~30年経ったら全部公開するようにしていただきたい。廃棄する場合は,官庁が直接当たるのではなく,第三者よりなる委員会がこれを行うことにし,係争があれば裁判所がそれを判断するのがふさわしいと考える。
 本件対象文書の内容は,米国各機関より収集した資料によって,既に特定文献に収められている。異議申立人は内容を知りたかったのではなく,第一回公開以来抱いていた疑問すなわち公開に当たって恣意(若しくは作為)が感じられることを確かめてみたかったのである。マッカーサー総司令官の往簡だけがあって吉田首相の返書がなかったり,あるいは,その逆も見受けられるなど,外務省の「公開」にはよほどの作為が加えられる印象を今日まで抱いているが,まさか現物そのものがそっくり不存在とは思わなかった。

第3  諮問庁の説明の要旨
1  経緯
 外務省は,異議申立人による平成14年10月30日付けの開示請求,「吉田・片山・芦田各首相とマッカーサー総司令官,ホイットニー民政局長,マーカット経済科学局長との間で交わされた書簡。ただしすでに公開されているものを除く。」に対し,対象となる行政文書を保有していないためとして,不存在を理由に不開示とする原決定を行った(平成15年10月29日付け情報公開第01709号)。
 これに対し,異議申立人は,「不存在」となったのは,どのような理由からかとして,「ア,原史料が破棄又は廃棄されたのか,イ,そうだとしたら,どのような法的裏付けによって破棄又は廃棄が行われたのか,ウ,破棄又は廃棄は何時行われたのか,エ,貴省においては行政文書の保存について何か一定の規則があるのか,どの文書を保存し,あるいはしないのか最終決定は誰が行うのか,要するに日本の再建期に当たって決定的に重要な前記の行政文書が簡単に「保有していない」として公開できないということは研究者にとっても一納税者にとっても全く納得のいかないこと」であるとして,本件異議申立てを行ったものである。

2  理由
(1)  外務省が行った検索の経緯
ア  本件開示請求を受け,外務省は,同請求の対象である書簡について,次のような検索を行った。

イ  本件開示請求の対象である書簡は,昭和20年代前半から後半の数年間において作成されたものであると推定される(マッカーサー及びホイットニーは昭和26年(1951年)4月に各々連合国最高司令官及び連合国総司令部(GHQ)民政局長の職を退任しており,マーカットも昭和27年(1952年)に連合国総司令部(GHQ)経済科学局長の職を退任している。)。

ウ  外務省においては,連合国最高司令官(連合国要人を含む。)と内閣総理大臣(政府要人を含む。)の間の往復書簡については,第2回,第6回及び第7回の外交記録公開において30件ほどを審査の上で公開の決定を行い,外交史料館で公開している(「外交記録公開」制度については,下記(3)参照)。

エ  これら以外に,本件開示請求の対象文書を外務省がなお保有しているとすれば,第一に,外務省の文書管理に係る規程に従い,主管課から官房総務課に移管された文書(以下「記録文書等」という。)に存在すると考えられる。これらの記録文書等の多くは,昭和6年に制定され昭和36年に一部改正された当時の「外務省文書編さん規程」等に従い,編纂し直されたファイル(以下「青ファイル」という。)として存在し,外交記録公開は,主にこの青ファイルを対象にして審査を行ってきた。今回,改めて,当該年代(昭和20年代前半から後半の数年間)に対応する青ファイルに属する行政文書(既に外交記録公開で審査され,公開の対象となったもの,及び審査の結果非公開となったもの,並びにいまだ審査の対象になっていないもの)を検索したが,該当する対象文書は発見されなかった。
 さらに,記録文書等のうち,青ファイルに編さんし直されていないファイルについても,当該年代(昭和20年代前半から後半の数年間)に対応するファイルを検索したが,該当する対象文書は発見されなかった。

オ  第二に,何らかの理由で,いまだ官房総務課に移管されず,主管課にて保管されている行政文書ファイル等に該当する行政文書が存在する可能性もあり,北米局を中心に検索したが,該当する対象文書は発見されなかった。

(2)  外務省の文書管理について
ア  外務省の文書管理(保存,廃棄等)は,訓令として定められた文書管理に係る規程に基づいて行われている。

イ  文書管理規程の変遷
 外務省の文書管理に係る規程は,大きく分けて,(イ)昭和6年5月18日に制定され,昭和36年に一部改正された「外務省文書編さん規程」及び「外務省記録及び記録文書保管,保存,廃棄規程」,(ロ)昭和55年に6月18日に制定された「外務本省主管文書,記録文書管理規程」(その後累次にわたり改正),(ハ)平成13年3月31日制定の「外務省文書管理規程」(平成15年1月14日改正)の三つの時代に区分される。

ウ  文書の保存及び廃棄手続
①  昭和6年5月18日に制定され,昭和36年に一部改正された「外務省記録及び記録文書保管,保存,廃棄規程」は,第2章「保存及び廃棄」で保存期限を定め,文書の保存期限の区分決定(第一類文書 永久保存,第二類文書 10年保存,第三類文書 5年保存,第四類文書 1年保存)は主管局部課長が関係局部課長と協議の上これを行うこととしていた。また,記録文書等については,文書課長が関係局部課長と協議の上,官房長の決裁を受け保存を廃止することができるなどとしていた。

②  昭和55年外務省訓令第6号として制定された「外務本省主管文書,記録文書管理規程」は,13条で,文書の保存期限は,件名基準に定められる保存期限又は別に定める文書保存廃棄類別基準に従い,主管局部課(室)長が関係局部課(室)長と協議の上,永久,10年,5年,1年(1年以内の期限を含む)のいずれかの期限に決定しなければならないとしていた。また,永久保存文書以外の記録文書等で,その保存期限が満了したものについては,総務課長が関係局部課(室)長と協議の上,官房長の決裁を経て廃棄するとしていた。

③  平成13年3月31日制定の現行の「外務省文書管理規程」(平成15年1月14日改正)は,その6条で,文書管理責任者(各課室等の長等)は,その管理する行政文書の保存期間を,別表に定める行政文書保存期間基準に示される最低保存期間に基づいて設定しなければならないなどとしている。保存期間の満了した行政文書に関し,14条において,文書管理責任者は,その管理する行政文書のうち保存期間が満了するものについて,別途定めるところにより,必要に応じ官房総務課長又は関係する文書管理責任者と協議し,廃棄する等の措置をとらなければならないなどとしている。また,記録文書等については,官房総務課長は,移管者と協議し,廃棄する等の措置をとることとしている。

エ  官房総務課に移管された文書の扱い
①  昭和6年5月18日に制定され,昭和36年9月13日に一部改正された「外務省文書編さん規程」においては,主管課から官房総務課に移管された「記録文書等」のうち,永久保存の第一類文書及び10年保存の第二類文書を対象に編纂を行い,分類番号,記録件名記入等の手続を行い,保存することとなっていた(これを同規程上「記録」といい,外務省では一般に「青ファイル」と言う。)。

②  外務省の外交記録公開は,主に青ファイルを対象に審査してきており,外務省において第2回,第6回及び第7回の外交記録公開で公開した連合国最高司令官(連合国要人を含む。)と内閣総理大臣(政府要人を含む。)の間の往復書簡に係る一連の文書も,この青ファイルに属しているものである。

③  しかしながら,当時記録文書等に属する文書には,青ファイルに編さんされなかったものが存在し,昭和55年外務省訓令第6号として制定された「外務本省主管文書,記録文書管理規程」では,この青ファイルへの編さん手続は廃止され,官房総務課に移管されたファイルは,所属文書の件名を記したインデックスを付してそのまま保管する制度に移行されたため,上記「外務本省主管文書,記録文書管理規程」制定以前に官房総務課に移管されたファイル所属の文書には,青ファイルに未編纂のファイルが数万件存在している(上記のように,今回の開示請求に際しての検索では,これら青ファイルに未編さんのファイルも対象にした。)。

(3)  外交記録公開について
ア  「外交記録公開」制度
 外務省の「外交記録公開」制度は,昭和50年に,学界,国会等における戦後外交記録公開の要望に応え,欧米主要国に倣って,原則として30年を経過した外交記録を一般に公開することを外務省として決定したものである。公開の基本原則は,戦後外交記録のうち,原則として30年を経たものは案件ごとに審査を行い,一部の例外を除いて秘密指定を解除し,一般公開するものである。昭和51年から平成15年までに18回にわたって,記録ファイル約1万2千件を審査し,そのうち1万1518件を原則としてマイクロフィルムの形で,外交史料館において閲覧に供している。

イ  公開プロセス
 公開までのプロセスは以下のとおりである。

①  外交記録審査室において公開予定ファイルを選定する。

②  公開予定ファイルの審査を行う(対象文書の公開の可否の判定)。

③  主管課及び関係局課による審査を行う。場合によっては,関係省庁,関係国政府等に協議する。

④  官房長を委員長とし,関係局長等を委員とする「外交記録審査委員会」において,公開方針,公開の可否,省内協議の整わない記録の扱い等について決定する。

ウ  案件の選定
 案件の選定(公開予定ファイルの選定)については,作成後30年を経過した文書について,相対的に一般の国民の方々の関心が高いと思われる案件を対象にするとの方針に基づき,外交記録審査委員会の承認を得て行ってきている。特に,連合国最高司令官(連合国要人を含む。)と内閣総理大臣(政府要人を含む。)の間の往復書簡に係る一連の文書を公開した第7回までの外交記録公開においては,サンフランシスコ平和条約締結以前の記録文書を対象に審査を行った。

エ  公開の基準
①  従来の公開基準は,「公開により(i)国の重大な利害が害される場合及び(ii)個人の利益が損なわれる場合は当該記録を公開しない。「国の重大な利益が害される場合」とは,例えば,a.国の安全,b.相手国との信頼関係,c.交渉上の利益が害される場合及びそのおそれがある場合を含む。」としていた。

②  その後,平成12年1月,法の制定等を踏まえ,「当省において作成し又は取得してから30年を経た外交記録は,原則として順次公開するものとする。ただし,法5条に掲げられる不開示情報に当たるものはその限りではない。」との新たな審査基準を定めている。

(4)  対象文書不存在の理由について
ア  本件開示請求である,「吉田・片山・芦田各首相とマッカーサー総司令官,ホイットニー民政局長,マーカット経済科学局長との間で交わされた書簡。ただしすでに公開されているものを除く。」の対象文書については,上記(1)のとおり,検索の結果,対象文書が発見されなかったものである。

イ  既に外交記録公開で審査,公開したもの以外に,対象文書が存在しない理由については,そもそも外交記録公開で審査,公開した以外の当該書簡を外務省は入手しなかったか,入手したものがあったとしても,廃棄されたかのいずれかが考えられる。

ウ  開示請求にいう当該書簡は,その性質からして,文書管理規程(平成13年3月31日制定の現行の「外務省文書管理規程」(平成15年1月14日改正))においては第一区分(保存期間30年)に分類される可能性が高いものであり,以前の文書管理規程においても,永久保存の類型の文書に分類される可能性が高く,廃棄の対象となったとは考えにくい。

エ  しかしながら,文書の廃棄については,従来,官房総務課に移管された記録文書等については廃棄の記載が義務付けられていたが,主管課で管理していたファイルについては,廃棄の記録を残すことは義務付けられていなかった。「外務省文書管理規程」に至って,主管課管理のファイルについても,廃棄した場合には,行政文書ファイル管理簿に廃棄の記載がされることとなっているが,いずれの廃棄の記録にも該当する文書の廃棄の記録は見いだせず,仮に,現行文書管理規程制定以前に主管課で廃棄されたのであれば,廃棄の記録は残っていない。

オ  したがって,以上の対象文書の検索の経緯,廃棄の記録の精査等を踏まえ,外務省としては,本件開示請求の対象文書の不存在を認定するに至ったものである。

第4  調査審議の経過
 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

①  平成16年3月24日  本件諮問の受理
②  同日  諮問庁から理由説明書を収受
③  同年6月2日  審議
④  同年9月6日  諮問庁職員(外務省大臣官房総務課情報公開室長等)からの口頭説明の聴取
⑤  同年9月29日  審議
⑥  同年10月20日  審議

第5  審査会の判断の理由
1  本件対象文書について
 本件対象文書は,吉田・片山・芦田各首相とマッカーサー総司令官,ホイットニー民生局長,マーカット経済科学局長との間の書簡(ただし,既に公開されたものを除く。)であるが,諮問庁はこれを保有していないので不開示妥当としている。
 そこで,以下本件対象文書の存否について検討する。

2  本件対象文書の存否について
(1)  諮問庁は,本件対象文書の不存在について,そもそも,既に外交記録公開で公開された書簡20数件が,吉田・マッカーサー等の間でやり取りされた書簡のすべてであると断定することは,現時点では困難であると考えられるとした上で,結果的になぜ上記20数件の書簡だけを保有するところとなったかについての事実関係はつまびらかでないと説明する。
 そこで,外交記録公開で公開された書簡以外の本件対象文書が存在しない理由について,諮問庁は,そもそも外交記録公開で審査,公開した以外の当該書簡を諮問庁が入手しなかったか,入手したものがあったとしても,廃棄されたかのいずれかが考えられると推測している。しかし,文書の廃棄については,仮に,現行の文書管理規程制定以前に主管課で廃棄されたのであれば,廃棄の記録は残っていないが,本件対象文書は,その性質からして,現行の文書管理規程においては第一区分(保存期間30年)に分類される可能性が高いものであり,以前の文書管理規程においても,永久保存の類型の文書に分類される可能性が高いため,廃棄されたとは考えにくいと説明する。

(2)  さらに,当審査会が聴取を行ったところによれば,諮問庁は,本件対象文書の探索に当たっては,記録分類目録に従って整理されている青ファイルについて,連合軍の本土進駐関係のファイルを中心に,70冊(連合軍関係60冊,引揚関係10冊)ほどを集中的に探索し,青ファイル未編纂の外務省大臣官房総務課移管ファイルについては,昭和20年代のファイルを中心に50冊ほどを集中的に探索したとしている。また,いまだ同課に移管されず,主管課にて保管されている昭和20年代の行政文書ファイル等に該当する文書が存在する可能性があるとして,北米局を中心に,そのような行政文書ファイル等がないか執務室のキャビネット等を探索したが,開示請求を受けてから1年近く探索,検討した結果,結局既に公開している往復書簡以外の往復書簡は見つからなかったとしている。なお,ファイル毎の頁数は,通常,200頁から500頁程度であるとのことである。

(3)  異議申立人は,日本の再建期に当たって決定的に重要な本件対象文書が簡単に「保有していない」として公開ができないということは,文書公開に当たって諮問庁の恣意(若しくは作為)が感じられ,研究者にとっても,一納税者にとっても,納得の行かない旨主張している。しかし,外務省において本件対象文書を入手したか否かさえ明らかではなく,また,現時点での諮問庁の文書の探索,調査の方法について,諮問庁の説明以上に具体的な探索対象ファイル,探索方法を指摘できるものでもなく,したがって,関係ファイルを探索したが本件対象文書の存在を確認できなかったとする上記諮問庁の説明は,これを覆すに足る事情も見出し難いことからすれば,是認せざるを得ない。

(4)  なお,本件対象文書の重要性にかんがみると,これを保有していないとする諮問庁の説明は是認せざるを得ないとしても,国民を納得させるに十分なものとは言えず,その原因の一端が,当時の文書管理・保有の方法が適切なものでなかったことにあることは否定できない。当審査会としては,諮問庁が,今後,行政文書の保有の有無について,国民に対し十分な説明が可能となるよう,文書管理を的確に進めることを期待する。

3  本件不開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件対象文書につき,これを保有していないとして不開示とした決定については,外務省において本件対象文書を保有しているとは認められず,妥当であると判断した。

第6  答申に関与した委員
 矢崎秀一,宇賀克也,吉岡睦子


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