北極探検へと向かう帆走汽船「北斗丸」の船上には、給仕として乗り込んだ少年・小川寛の姿があった。
北極には、まだ人類が足を踏み入れたことのない秘密境があるという。それを探し求めていた、寛少年の大祖父である小川保大尉の乗り込んだ巡洋艦「畝傍」も、祖父である小川重行大佐の「多聞丸」も、北氷洋で姿を消していた。北海の秘密を解き明かすことは小川一族の悲願でもあったのだ。
しかし、日本より先に秘密境を手に入れようと、A国やB国は戦艦を中心にした大艦隊を送り込もうとしていた。
危うし! 日本の探検隊!
神業というべき日本の造船技術が生み出した、新戦艦「高千穂」は果たして間に合うのだろうか!?
昭和初期の少年少女向け小説を、かなづかいを現代風に直し、今風のイラストをつけたらまだまだいけるんでない?……というコンセプトのパール文庫。他にも海野十三の『海底大陸』やら菊池寛訳の『小公子』とかが並んでいます。
この『新戦艦高千穂』も男勝りのパイロットでありながら可憐な少女でもある勝山一枝をヒロインに、航空戦艦の大活躍と極地探検という魅力的なプロットです。でも、日本良い国強い国、世界に冠たる神の國♪……みたいな調子で、白人は傲慢で乱暴者、それを正して世界に平和をもたらすのは日本の使命!……という話がヒットしたらそれはそれで怖いですね。それに今となっては、「誰も行ったことの無い秘密境の存在をどうしてみんな確信してるのだろう?」とかツッコミどころも少なくなく、この際、超訳でも良かったんじゃないかと思わないでもありません。
『喧嘩をしても、なぐられるとすぐに鼻血を出して悲鳴をあげるような者は、とても勝てやしない。どんなになぐられても、それをこらえて相手をなぐりかえす者が、最後の勝利者である』
戦艦は防御力だと言いつつ、アウトレンジから敵をたたきつぶす新戦艦。やっぱり火力じゃん。
肝心の極地探検はというと「北極秘密境を見つけるまでの苦しみと冒険は、到底諸君には知ってもらうことは出来ないだろう」とあっさり省略。秘境探検小説というよりは、仮想戦記といったほうが近いかな。
【新戦艦高千穂】【平田晋策】【市川実希】【パール文庫】【少年向け海洋軍事国家主義小説】【平賀造船中将】【植芝武道】
北極には、まだ人類が足を踏み入れたことのない秘密境があるという。それを探し求めていた、寛少年の大祖父である小川保大尉の乗り込んだ巡洋艦「畝傍」も、祖父である小川重行大佐の「多聞丸」も、北氷洋で姿を消していた。北海の秘密を解き明かすことは小川一族の悲願でもあったのだ。
しかし、日本より先に秘密境を手に入れようと、A国やB国は戦艦を中心にした大艦隊を送り込もうとしていた。
危うし! 日本の探検隊!
神業というべき日本の造船技術が生み出した、新戦艦「高千穂」は果たして間に合うのだろうか!?
昭和初期の少年少女向け小説を、かなづかいを現代風に直し、今風のイラストをつけたらまだまだいけるんでない?……というコンセプトのパール文庫。他にも海野十三の『海底大陸』やら菊池寛訳の『小公子』とかが並んでいます。
この『新戦艦高千穂』も男勝りのパイロットでありながら可憐な少女でもある勝山一枝をヒロインに、航空戦艦の大活躍と極地探検という魅力的なプロットです。でも、日本良い国強い国、世界に冠たる神の國♪……みたいな調子で、白人は傲慢で乱暴者、それを正して世界に平和をもたらすのは日本の使命!……という話がヒットしたらそれはそれで怖いですね。それに今となっては、「誰も行ったことの無い秘密境の存在をどうしてみんな確信してるのだろう?」とかツッコミどころも少なくなく、この際、超訳でも良かったんじゃないかと思わないでもありません。
『喧嘩をしても、なぐられるとすぐに鼻血を出して悲鳴をあげるような者は、とても勝てやしない。どんなになぐられても、それをこらえて相手をなぐりかえす者が、最後の勝利者である』
戦艦は防御力だと言いつつ、アウトレンジから敵をたたきつぶす新戦艦。やっぱり火力じゃん。
肝心の極地探検はというと「北極秘密境を見つけるまでの苦しみと冒険は、到底諸君には知ってもらうことは出来ないだろう」とあっさり省略。秘境探検小説というよりは、仮想戦記といったほうが近いかな。
【新戦艦高千穂】【平田晋策】【市川実希】【パール文庫】【少年向け海洋軍事国家主義小説】【平賀造船中将】【植芝武道】