付け焼き刃の覚え書き

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らのべヒロイン列伝「ジブリール(マージナル・オペレーション)」

2018-04-04 | 雑談・覚え書き
○ジブリール 「マージナル・オペレーション」芝村裕吏(星海社フィクションズ)

 勤めていたデザイン会社が倒産してしまった青年アラタが、新しい職を探している内に民間軍事会社に就職してしまい、気がつけば戦乱の中央アジアでオペレーターとして、年端もいかない少年少女の兵士たちを戦場に送り出す仕事についていた。彼は多くの少年兵たちを指揮し、厳父と慕われ、イヌワシと崇められ、そして周囲からは伝説の傭兵にして悪名高いテロリスト“子供使い”と呼ばれるようになります。
 平和な世界では見出されないまま埋没していた才能が、本人の意に反して戦場という非日常空間において開花し、それによって兵隊になるしか生きる道のなかった少年少女が救われていくことになる英雄譚。

 ジブリールはアラタが指揮することになったタジキスタン人部隊の少女で、族長の孫娘ながら人身御供としてアメリカ陣営に送り出されていました。アラタの指揮で自分や仲間の少年少女たちが戦場から生還できるようになるに従って、尊敬を通り越してアラタを崇拝するに至ります。いずれは彼の第一夫人になりたいと願っているのに感情を表に出すのが苦手なこともあり、肝心のアラタからは単に「思春期の子供の扱いは難しい」と思われているだけなのが悩み。
 主人公アラタ視点で見れば、彼女は可愛くて戦っても強いけれど、扱いが難しい我が子。読者視点では一途で献身的でけなげなヒロイン。けれども第三者視点で客観的に見ると、単に「非常に焼き餅焼きで怖い女」に過ぎず、周囲からは「抜き身のナイフのような目に、暗い憎しみを讃えた女の人」「彼女の強さは技量ではない。狂信と気迫だ」とか評されてますが、気がついていないのはアラタだけというのがポイントです。ちょっとすぐに人を殺したがりすぎますよね。

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