以前、人から「TSものはウケない」と言われて、そのときは納得していたけれど、主人公(または主人公にごく近い立場の登場人物)の性別が突然変わってしまって……という話は、物語の定番ネタの1つで、70年代の少女マンガでも不良少年がいきなり正しい性は女性と判明したとかいうのはありました。幼少時に一緒に遊んだ少年が実は髪が短くて元気な女の子だったことが後に再会して判明する……というのは王道中の王道。「バ美肉」という言葉が生まれるくらいVチューバーとかSNSで自分の性別を偽るのは珍しくありません。
異世界転生ついでに性転換するパターンが散見される昨今のファンタジーも、そのバリエーションの1つですが、性が変わったことによる違和感・戸惑い・利益や不利益などギャップが活かされていないと単なる異性コスプレ程度に読めることがままあります。そのTS設定は必要だった?と。
とりあえず、好きで女性アバターを使っているものやら「男の娘」ものは除いてリストアップしてみました。
■現実世界/脳移植
『ボクの初体験』 弓月光(1975)
自殺したモテない男の遺体が病死した若い妻を蘇生しようとするマッドサイエンティストに回収され、気がつけば、その彼女の身体に脳移植されていた。自分が美少女になったのを幸い、自分をバカにしていた女子生徒たちに復讐してやろうと画策するのだが……。
非合法の脳移植から始まる、スラップスティック・コメディにして転生やり直し系復讐譚の原型。
■現実世界/憑依
『現代にTS転生したけど馴染めないから旅に出た』 漆間鰯太郎(2020)
事故死したサラリーマンが同じタイミングで自殺した少女に憑依する形で転生。少女は死んでしまったし、自分も死んでしまった。なら、今ここにいる少女は誰なんだ? 男でも少女でもない、第三の人格を世に生み出すために配信者活動を始めるのだが……。
YouTuberを主人公にしたロードムービー小説の名作。誰でもなくなってしまった自分の再定義と、その手段としてのネット配信。その中での姉との絆の構築、バイク旅の中で知り合った人々やネットで見守る視聴者との交流。そして、単純に配信そのものの面白さがしっかりかみ合ってます。別作品で姉妹の百合展開も語られています。
■異世界/ゲーム世界転生
『賢者の弟子を名乗る賢者』 りゅうせんひろつぐ(2012)
VRゲーム中に寝落ちした男がゲームそのままの世界に転生。ところがメインキャラの老賢者ではなく、サブキャラの美少女アバターの方で転生していた。能力的には遜色ないのだが見た目が見た目なので自分の弟子を名乗ることにしたのだが、どうやらこの世界にはかつてのプレイヤー仲間が健在らしいと判明し……。
ゲームの時のスキルやアイテムはほぼそのままに、ゲームそっくりの世界に転生したらなぜかサブキャラのアバターだった……というのも、このあたりが最先端かも。
『悪役令嬢転生おじさん』 上山道郎(2020)
交通事故に遭った52歳の公務員が、気がついたら乙女ゲームの世界に転生していて、しかも高飛車な悪役令嬢グレイスになってしまっていたのだ……。
悪役令嬢転生ものというのが流行っているらしいと知ったマンガ家が、よく知らないけど自分だったらこんな話になるだろう……と描いたマンガをSNSにアップしたら思いのほか好評で、とんとん拍子に連載が決まってしまったという作品。よく知らないと言いつつ、実に的確にジャンルのツボをとらえているあたり、さすがプロの技です。
■異世界転生/憑依
『ザ・ハイディアン・ゲーマーズ』 孤ノ間和歩(1985)
人間界と妖精たちの世界トワイライトランドは表裏一体の世界。普通の少年であった轟渡は、その対となる存在の巫女テクラが力を使い果たして眠りについてしまったため、精神置換によって彼女に憑依させられてしまう。少女の身体に戸惑う渡だが、テクラにはトワイライトランドの崩壊を救うという使命があった……。
憑依型TS異世界転移百合もの。かわいらしい絵柄で展開するファンタジー系エロマンガの先駆けです。
■異世界転生/転生
『ギルドのチートな受付嬢』 夏にコタツ(2013)
神さまのミスで死んでしまった男がお詫びにとチートし放題の転生をしたのだけれど、これまた神さまのミスで剣と魔法の世界でエルフの女性として転生してしまう……。
ギルドの受付のおねえさんがいちばん強いのだ!話です。
だいたいこのあたりでファンタジー作品における「冒険者ギルド」という存在が定着し、その窓口であるギルドスタッフを主役にした話が登場し始めると思って良いと思います。「だいたい」の話ですが。
『その無限の先へ』 二ツ樹五輪(2014)
その世界では、別に現代日本に限らなければ転生者は珍しくも何ともないのだが、転生者である彼にとって最大の問題は前世が女性であり、今も女性としての意識が強くて男の身体に馴染めないということだった。この状況をなんとかできる方法があるのではないかと、誰も詳しくは知らない迷宮都市に向けて、家族も婚約者も捨てて旅立ったのだけれど……。
おかしな連中ばかり集まってくる冒険者のパーティーが無限に続くとも言われているダンジョンに挑む物語。みんなおかしいのだけれど、誰も彼もが負けず嫌いってとこがポイントなのだ。
『ヴェルシュタイン公爵の再誕〜オジサマとか聞いてない。〜』 藤原都斗(2016)
演技には自信があるけれど今ひとつ人気の出ない女優が、気がついたら見知らぬ屋敷で悪役顔のイケオジ、冷酷非道のヴェルシュタイン公爵になっていた。前後の状況も分からないまま、演技力だけで乗り切ろうとするのだが……。
TS転生は別に男が女になるものばかりではなく、女が男になるものもちゃんとあります。
『転生前は男だったので逆ハーレムはお断りしております 』森下りんご(2019)
海で死んだはずの青年が、異世界で男爵令嬢として転生していた。可愛い女の子に生まれたが、意識の根本は男。男に嫁ぐことは考えられないし、この貧しい世界で清貧な修道院暮らしで独身を貫くのも無理!と、幼い頃から領地の産業振興に励んでいたのだが……。
いわゆるTS転生で、殖産チートものなんだけれど、キャラが面白く、テンポが良いのですね。お約束の部分は途中過程を大きく端折ってジャンプ。そして途中からの学園編。
『私の心はおじさんである』嶋野夕陽 (2022)
友人も恋人もいない孤独な毎日を過ごしていた43歳のサラリーマン、山岸遥は気がつけば異世界にいた。死んだ覚えも何もないのだが、その身体は見事なプロポーションのダークエルフの美女になっていたのだ。
その能力はまさにチートな、肉弾戦も強い、魔力無尽蔵の魔法使い。けれども、臆病でお人好しで対人関係が苦手なおじさんの心が足枷になって、異世界の片隅で冒険者になって日雇い暮らしで生きていこう……くらいのつもりになっていたのだが……。
鋼の肉体に圧倒的な魔法力という現人神のような能力を持ちながらもウジウジしていた最強美少女ダークエルフ(心はおじさん)が、同期で冒険者登録した少年少女たちに誘われるままパーティを組み、自分の世界を広げていく物語です。
■近未来世界/脳移植
『ミミクリー・ガールズ』 ひたき(2022)
テクノロジーの進化によって兵士のサイボーグ化が進んだ時代。作戦中負傷したクリス・アームストロング大尉は気がついたらボディが美少女にされていた。大統領の息女というVIP少女の護衛という特殊任務にちょうどいいからと、4体の少女型素体からなる即席部隊が投入されることになったのだ……。
1名を除いて中身3人がおっさん、じいさんという見た目詐欺の美少女アクション。
■現実社会/逆行転生
『逆行転生したおじさん、性別も逆転したけどバーチャルYouTuberの親分をめざす!』 ブーブママ(2020)
アイドルライブの視聴中に落雷事故で死んだおじさんは、悪魔と契約して人生をやり直すことにしたのだが、その目的は黎明期からインターネットの世界に足場を築いてバーチャルYouTuberの親分をめざすというものだった。しかし、準備万端整えすぎ、1人でなんでもできすぎたおじさんはどこかの企業のヤラセと思われてまったく人気が出なかった……。
配信者ものであると同時に現代歴史改変もの。「謎の親分」を気取って周囲との連絡を絶ち、孤高に生きる親分と悪魔、気づかずにニアピンを繰り返す友人知人とのスラップスティック・コメディ。配信者ものというと現実のYoutuberとかVtuberと同じようなことしかやらない作品が多い中、この作品に登場する各種企画のオリジナリティはダントツ。早く時代が追いついて欲しい作品。
『令和の化学者・鷹司耀子の帝都転生』雨堤俊次(2022)
令和の日本で高分子化学者として生きていた男が、気がつけば明治時代に転生していた。幸運なことに生まれた家は五摂家の1つである鷹司公爵家で、社会的影響力がかなり大きく、この明治の世に120年以上も未来のプラスチック化学を持ち込むにはこの上ないポジションだった。想定外だったのは、彼が転生したのは公爵令嬢であったことだが、性別の違いなどは高分子屋にとっては些末事である。
かくして鷹司耀子はわずか4歳にして合成繊維「66ナイロン」の合成に成功。ここから日本の歴史が変わり始め、化学立国をめざして動き始めたのだが……。
明治に転生した化学者が、まだ世界の何処にもない高分子化合物を生み出していく歴史改変もの。
『美少女にTS転生したから大女優を目指す!』武藤かんぬき(2022)
でっぷり太りすぎたアラフォー男が原因不明の病で身体の自由がきかなくなるけれど、家族は誰も心配しないままの闘病生活。その死の間際でこれまでの人生を振り返れば、女に生まれていたらもう少し違った人生になっていたのではないかという可能性に思い至る。
その願いを叶えたのは神か悪魔か。気がつけば性別だけが逆転した状態で元の人生をやり直すことになるのだが、女になったから良いこともあるけれど、女になったからこそ姉妹仲が前世より悪化することもある。そして、それゆえに新たな人生の選択肢が提示されたのだが……。
異世界転生ついでに性転換するパターンが散見される昨今のファンタジーも、そのバリエーションの1つですが、性が変わったことによる違和感・戸惑い・利益や不利益などギャップが活かされていないと単なる異性コスプレ程度に読めることがままあります。そのTS設定は必要だった?と。
とりあえず、好きで女性アバターを使っているものやら「男の娘」ものは除いてリストアップしてみました。
■現実世界/脳移植
『ボクの初体験』 弓月光(1975)
自殺したモテない男の遺体が病死した若い妻を蘇生しようとするマッドサイエンティストに回収され、気がつけば、その彼女の身体に脳移植されていた。自分が美少女になったのを幸い、自分をバカにしていた女子生徒たちに復讐してやろうと画策するのだが……。
非合法の脳移植から始まる、スラップスティック・コメディにして転生やり直し系復讐譚の原型。
■現実世界/憑依
『現代にTS転生したけど馴染めないから旅に出た』 漆間鰯太郎(2020)
事故死したサラリーマンが同じタイミングで自殺した少女に憑依する形で転生。少女は死んでしまったし、自分も死んでしまった。なら、今ここにいる少女は誰なんだ? 男でも少女でもない、第三の人格を世に生み出すために配信者活動を始めるのだが……。
YouTuberを主人公にしたロードムービー小説の名作。誰でもなくなってしまった自分の再定義と、その手段としてのネット配信。その中での姉との絆の構築、バイク旅の中で知り合った人々やネットで見守る視聴者との交流。そして、単純に配信そのものの面白さがしっかりかみ合ってます。別作品で姉妹の百合展開も語られています。
■異世界/ゲーム世界転生
『賢者の弟子を名乗る賢者』 りゅうせんひろつぐ(2012)
VRゲーム中に寝落ちした男がゲームそのままの世界に転生。ところがメインキャラの老賢者ではなく、サブキャラの美少女アバターの方で転生していた。能力的には遜色ないのだが見た目が見た目なので自分の弟子を名乗ることにしたのだが、どうやらこの世界にはかつてのプレイヤー仲間が健在らしいと判明し……。
ゲームの時のスキルやアイテムはほぼそのままに、ゲームそっくりの世界に転生したらなぜかサブキャラのアバターだった……というのも、このあたりが最先端かも。
『悪役令嬢転生おじさん』 上山道郎(2020)
交通事故に遭った52歳の公務員が、気がついたら乙女ゲームの世界に転生していて、しかも高飛車な悪役令嬢グレイスになってしまっていたのだ……。
悪役令嬢転生ものというのが流行っているらしいと知ったマンガ家が、よく知らないけど自分だったらこんな話になるだろう……と描いたマンガをSNSにアップしたら思いのほか好評で、とんとん拍子に連載が決まってしまったという作品。よく知らないと言いつつ、実に的確にジャンルのツボをとらえているあたり、さすがプロの技です。
■異世界転生/憑依
『ザ・ハイディアン・ゲーマーズ』 孤ノ間和歩(1985)
人間界と妖精たちの世界トワイライトランドは表裏一体の世界。普通の少年であった轟渡は、その対となる存在の巫女テクラが力を使い果たして眠りについてしまったため、精神置換によって彼女に憑依させられてしまう。少女の身体に戸惑う渡だが、テクラにはトワイライトランドの崩壊を救うという使命があった……。
憑依型TS異世界転移百合もの。かわいらしい絵柄で展開するファンタジー系エロマンガの先駆けです。
■異世界転生/転生
『ギルドのチートな受付嬢』 夏にコタツ(2013)
神さまのミスで死んでしまった男がお詫びにとチートし放題の転生をしたのだけれど、これまた神さまのミスで剣と魔法の世界でエルフの女性として転生してしまう……。
ギルドの受付のおねえさんがいちばん強いのだ!話です。
だいたいこのあたりでファンタジー作品における「冒険者ギルド」という存在が定着し、その窓口であるギルドスタッフを主役にした話が登場し始めると思って良いと思います。「だいたい」の話ですが。
『その無限の先へ』 二ツ樹五輪(2014)
その世界では、別に現代日本に限らなければ転生者は珍しくも何ともないのだが、転生者である彼にとって最大の問題は前世が女性であり、今も女性としての意識が強くて男の身体に馴染めないということだった。この状況をなんとかできる方法があるのではないかと、誰も詳しくは知らない迷宮都市に向けて、家族も婚約者も捨てて旅立ったのだけれど……。
おかしな連中ばかり集まってくる冒険者のパーティーが無限に続くとも言われているダンジョンに挑む物語。みんなおかしいのだけれど、誰も彼もが負けず嫌いってとこがポイントなのだ。
『ヴェルシュタイン公爵の再誕〜オジサマとか聞いてない。〜』 藤原都斗(2016)
演技には自信があるけれど今ひとつ人気の出ない女優が、気がついたら見知らぬ屋敷で悪役顔のイケオジ、冷酷非道のヴェルシュタイン公爵になっていた。前後の状況も分からないまま、演技力だけで乗り切ろうとするのだが……。
TS転生は別に男が女になるものばかりではなく、女が男になるものもちゃんとあります。
『転生前は男だったので逆ハーレムはお断りしております 』森下りんご(2019)
海で死んだはずの青年が、異世界で男爵令嬢として転生していた。可愛い女の子に生まれたが、意識の根本は男。男に嫁ぐことは考えられないし、この貧しい世界で清貧な修道院暮らしで独身を貫くのも無理!と、幼い頃から領地の産業振興に励んでいたのだが……。
いわゆるTS転生で、殖産チートものなんだけれど、キャラが面白く、テンポが良いのですね。お約束の部分は途中過程を大きく端折ってジャンプ。そして途中からの学園編。
『私の心はおじさんである』嶋野夕陽 (2022)
友人も恋人もいない孤独な毎日を過ごしていた43歳のサラリーマン、山岸遥は気がつけば異世界にいた。死んだ覚えも何もないのだが、その身体は見事なプロポーションのダークエルフの美女になっていたのだ。
その能力はまさにチートな、肉弾戦も強い、魔力無尽蔵の魔法使い。けれども、臆病でお人好しで対人関係が苦手なおじさんの心が足枷になって、異世界の片隅で冒険者になって日雇い暮らしで生きていこう……くらいのつもりになっていたのだが……。
鋼の肉体に圧倒的な魔法力という現人神のような能力を持ちながらもウジウジしていた最強美少女ダークエルフ(心はおじさん)が、同期で冒険者登録した少年少女たちに誘われるままパーティを組み、自分の世界を広げていく物語です。
■近未来世界/脳移植
『ミミクリー・ガールズ』 ひたき(2022)
テクノロジーの進化によって兵士のサイボーグ化が進んだ時代。作戦中負傷したクリス・アームストロング大尉は気がついたらボディが美少女にされていた。大統領の息女というVIP少女の護衛という特殊任務にちょうどいいからと、4体の少女型素体からなる即席部隊が投入されることになったのだ……。
1名を除いて中身3人がおっさん、じいさんという見た目詐欺の美少女アクション。
■現実社会/逆行転生
『逆行転生したおじさん、性別も逆転したけどバーチャルYouTuberの親分をめざす!』 ブーブママ(2020)
アイドルライブの視聴中に落雷事故で死んだおじさんは、悪魔と契約して人生をやり直すことにしたのだが、その目的は黎明期からインターネットの世界に足場を築いてバーチャルYouTuberの親分をめざすというものだった。しかし、準備万端整えすぎ、1人でなんでもできすぎたおじさんはどこかの企業のヤラセと思われてまったく人気が出なかった……。
配信者ものであると同時に現代歴史改変もの。「謎の親分」を気取って周囲との連絡を絶ち、孤高に生きる親分と悪魔、気づかずにニアピンを繰り返す友人知人とのスラップスティック・コメディ。配信者ものというと現実のYoutuberとかVtuberと同じようなことしかやらない作品が多い中、この作品に登場する各種企画のオリジナリティはダントツ。早く時代が追いついて欲しい作品。
『令和の化学者・鷹司耀子の帝都転生』雨堤俊次(2022)
令和の日本で高分子化学者として生きていた男が、気がつけば明治時代に転生していた。幸運なことに生まれた家は五摂家の1つである鷹司公爵家で、社会的影響力がかなり大きく、この明治の世に120年以上も未来のプラスチック化学を持ち込むにはこの上ないポジションだった。想定外だったのは、彼が転生したのは公爵令嬢であったことだが、性別の違いなどは高分子屋にとっては些末事である。
かくして鷹司耀子はわずか4歳にして合成繊維「66ナイロン」の合成に成功。ここから日本の歴史が変わり始め、化学立国をめざして動き始めたのだが……。
明治に転生した化学者が、まだ世界の何処にもない高分子化合物を生み出していく歴史改変もの。
『美少女にTS転生したから大女優を目指す!』武藤かんぬき(2022)
でっぷり太りすぎたアラフォー男が原因不明の病で身体の自由がきかなくなるけれど、家族は誰も心配しないままの闘病生活。その死の間際でこれまでの人生を振り返れば、女に生まれていたらもう少し違った人生になっていたのではないかという可能性に思い至る。
その願いを叶えたのは神か悪魔か。気がつけば性別だけが逆転した状態で元の人生をやり直すことになるのだが、女になったから良いこともあるけれど、女になったからこそ姉妹仲が前世より悪化することもある。そして、それゆえに新たな人生の選択肢が提示されたのだが……。
(2022/08/06初稿 2024/06/06改稿)