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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「ガンパレード・オーケストラ 白の章」 榊涼介

2009-08-25 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
「用意された運命に逆らえ。否、と荒々しく拳を振り上げろ。存分に動き、傍若無人に振る舞え。運命をしてあわてさせ、おまえと部下たちを救え。誰も、常識的で思慮深い石田咲良なる生き物には従わんだろう」
 石田咲良はペンギンが話しかけてくるなどとは信じない。どうせ自分の内面の声に過ぎないと思っている。けれども、その助言に従うことに否はない。もはやハードボイルドに生きるか良識的に死んでいくかの二択なのだ。

 ゲームとしては面白いけれど初期バグに泣かされた『ガンパレード・オーケストラ~白の章』の小説版で、ゲームのノベライズでもないし、かといって芝村版無名世界観やCDドラマ版に直結するようなものでもなく、あくまで榊涼介解釈によるオーケストラ話です。『ガンパレード・マーチ ファンブック』を読んだ勢いで再読中です。
 本編ともいうべき榊版『ガンパレード・マーチ』が休戦に持ち込んで一区切りついたのを機会に読み直していますが、そういえば1999年12月の1ヶ月の話だったんですね。善行さんが東京であれこれ準備していた時期ですね。正月どころかクリスマスにも言及してないや。

 士官候補生として将来を有望視されていた石田咲良は、人型兵器の有効性を主張するレポートを書いたばかりに東京の陸軍士官学校から青森へ左遷。隊長として赴任した小隊は、装備劣悪にして士気最低の部隊だった……。

 新米女性士官が試行錯誤しながらダメ部隊を再生し、自分たちが生き残るだけではなく、他の人を守ることのできる部隊にするまでの物語。
 ガンパレ本編のサイドストーリーではあるけれど、もっとじっくり彼らの話を読みたいですね。

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「ロビンソン・クルーソー(上)」 ダニエル・デフォー

2009-08-25 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 夏休みに読む本といったら、『十五少年漂流記(二年間の休暇)』や『ロビンソン・クルーソー』のような漂流記が定番のような気がします。夏=海=漂流という短絡的な発想ですが。それをいうなら『コン・チキ号漂流記』も入る気がしますが、あれは正確には漂流ではなく「航海」ですからちょっと違います。それなら『エンデュアランス号漂流』の方が遙かに漂流だけれど、あまり夏に読む本ではないかもしれません。

 子供の頃、きちんとした本として最初に読んだのが『ロビンソン・クルーソー』。まだ、小学校にあがらない自分が、薄暗い納戸を手直しした部屋に置かれた机で一生懸命に読んでいた記憶がありますが、今あらためて全訳で読み返すと長い。ストーリー的にはしょったところはないけれど、やはり描写が細かい。神への信仰について自問自答している箇所も多いし、何を幾らでどれだけ買ってどれだけで売ったとかいうような帳面上の記録が細かい。それに年月がぐんぐん流れていきます。ろくな道具もないまま無人島に孤立してしまえば、テーブル1つ作るのも何週間、家畜の柵を完成させるのに何ヶ月という作業ですから仕方がありません。10年20年があっという間です。
 今でも読んで面白かったし、岩波文庫版も思ったほど読みづらくなくて良かったですね。意表を突かれたのは、いわゆる『ロビンソン・クルーソー漂流記』として児童書で知っていた部分が上巻で終わっていたこと。そうかあ、下巻はまったく違う話なんだ……。
 『ガリバー旅行記』が巨人の国と小人の国だけでなかったのと同じですね。(2009/08/25)

 ちなみに正式なタイトルは「The Life and strange surprising Adventures of Robinson Crusoe, of York, mariner, who Lived Eight-and-twenty years all alone in an uninhabited Isiand on the Coast of America, near the mouth of the great River Oroonque, having been cast on shore by shipwreck, where-in all the men perished but himself. With an Account how he was at last strangely delivered by Pirates, Written by Himself.」、大ざっぱに訳すと「船の遭難で他の船員が全滅したにもかかわらず、ただ1人生き残り、アメリカ海岸オリノコ河の河口近くの無人島で28年間たったひとりのサバイバルし、海賊に発見されて救出されるまでの一部始終を彼自身で書き記した、ヨークの船乗りであるロビンソン・クルーソーの生涯と奇しくも驚くべき冒険」くらいな感じ。省略して『ろびんそん!』。
 昨今の「ライトノベル」やら村上春樹の新刊のタイトルが長いなどと言っても、せいぜい先祖返り。『がりばー!』こと『ガリヴァー旅行記』も正確には『船医から始まり後に複数の船の船長となったレミュエル・ガリヴァーによる、世界の諸僻地への旅行記四篇』こと「Travels into Several Remote Nations of the World, in Four Parts. By Lemuel Gulliver, First a Surgeon, and then a Captain of several Ships」なんだそうですよ。あと、有名どころだと映画『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』こと「Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb」というのがあります。
 タイトルに限らず、章題がそのままあらすじのような作品もそんなに珍しくないんですけどね。(2013/05/01)

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