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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「群青神殿」 小川一水

2009-08-01 | 水の世界・海洋冒険SF
 海難事故の調査を海上保安庁から依頼された民間企業の海底探査艇は、沈没船の船腹に不可解な破壊孔を発見した。
 事件は解決されないまま、やがて世界中の海洋で不可解な海中からの攻撃が始まり、すべての海運が停止状態に陥ってしまう……。

というところから始まる海洋SFの傑作。ソノラマ文庫の1巻本ということで説明不足とか描写がもう少し欲しい箇所がないわけではないけれど、科学知識や人間模様を書き込んで長くすれば良いってもんじゃない!ととりあえず全肯定し、ラインスターの『青い世界の怪物』やウィンダムの『海竜めざめる』と本棚に並べておきます。まったく、化学合成生物シーリボンとニュークはゼーバスや大イカに引けをとらない海の怪物ですね。これも1時間40分で映画化したら面白くなりそうです。青い海、白い帆を張るジャンク船の向こうに軍用艦艇。蒼い海、深海に横たわる巨大な氷塊と潜水艇……。

 最初は小川一水という作家を知らず、米村孝一郎のイラストで手に取り、海洋SFということで買い、読んで面白かったのでそこから既刊の『ここほれONE-ONE!』とか『導きの星』に手を出すようになったわけです。
 海の話なのに「探鉱」のための深海長距試錘艇という設定が面白く、後に愛知万博でメタンハイドレートの現物を見て「はい、氷に火が着きました☆」と解説してくれたお姉さんに大きな拍手をしたのは私です。

 欲をいえば、パイロットの鯛島俊機と探索員の見河原こなみの描写にもう1ページ分ずつくらいは欲しかったかな……。

【群青神殿】【小川一水】【米村孝一郎】【ソノラマ文庫】【超深海移動平面】【シーリボン】【メタンハイドレート】【神鳳鉱産探鉱部】【ジャンク船】
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「少年ケニヤ」 山川惣治

2009-08-01 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 住んでいる町がケニア共和国とパートナーシップを結んで交流事業をおこなっているものですから、小学校の夏休みの宿題に「ケニアに関する本を読んで読書感想文を書く」というものがありました。そのことを夏休みが始まってから知り、学校にはいくらでもケニアに関する本があるけれど、うちにそんな本があるわけな…………ありました。
 あったんだなあ。よく持っていたなあ。でも、うちの子が読むかなあ?

 1941年、太平洋戦争が勃発し、10歳の日本人少年ワタルは商社マンとして英国植民地のケニヤに駐在していた父親と奥地ではぐれてしまう。ただ1人アフリカの大地を放浪するワタルは、やがてマサイ族の老人や白人の美少女ケートたちと知り合い、彼らを味方にして父親を捜し続けます。そして父親がコンゴの奥地で原爆を開発しているナチスの秘密基地にいることが判るのだが……。

 昭和26年から新聞連載された絵物語が角川文庫としてまとまったもの。
 こうやって見ると、諸星大二郎の絵はこの系統なんだなあという気がしましたが、少年少女が手に手を取って逃げるシーンでもつい栞と紙魚子を連想して笑ってしまいました。ごめんなさい。
 内容は明るく健全で、敵は野獣であったり悪い兵隊だったり、美少女に秘密があったりと正統派の冒険小説でした。

【少年ケニヤ】【山川惣治】【マサイ】【ナチス】【原爆】
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