鈴木力英先生にはじめてお目にかかったのは、小生が地理学教室での卒論に着手した1986年の春。1985年にまとめられた南関東大気環境調査報告(気象庁)についてのシンポジウムだったと記憶している。筑波大学修士論文の成果をお話くださり、手法(多点の地上風ベクトルを成分分解し多変量解析で風系場を類型化)のダイナミックさ、簡明さに引き込まれた小生は、その後1週間くらいで卒論構想を固めてしまった。手法のパクリではないか、といううしろめたさを感じつつも、データ処理作業は順調に進み、50pの卒業論文、修士時代の関連する口頭発表につながったほか、ここでマスターした技法のいくつかは修士論文にも生かされることとなった。
震災前に一度、研究室にお電話いただいた。当時指導していた学生たちとの研究(低炭素都市とヒートアイランド)を、小生が日本地理学会で講演した直後だったか。嬉々として、その気候学的意義と有用性を力説され、大いに勇気づけられた。
先日突然訃報を受け取り、先生との出会いがなければ、今日の小生もなかったと、改めて30年前のことを思い返している。
鈴木先生のご冥福をお祈り申し上げます。
参考にさせていただいた鈴木先生のご研究に関する論文
Rikie Suzuki (1989) A climatological study on surface airflow patterns in central Japan, 筑波大学博士論文(理学)
鈴木力英・河村武(1989)中部日本における地上の気流パターンの季節性およびその総観規模の気圧場との関係.地理学評論,62A,375-388.
鈴木力英・河村武(1987)夏型気圧配置時の中部日本における地上風系の特徴.天気,34,715-722.(鈴木先生の修士論文をベースとしている)
小生が参考にして書いた論文
一ノ瀬俊明・松尾友矩(1990)東京湾埋立計画の大気環境アセスメント ~出現風系の統計学的推定を用いて~. 衛生工学研究論文集,26,79-90
一ノ瀬俊明(1989)東京湾埋立計画の大気環境アセスメント~出現風系の統計学的推定を用いて~. 東京大学修士論文,pp. 99+
一ノ瀬俊明(1987)夏型気圧配置下における日本各地の地上風系. 東京大学理学部卒業論文,pp. 50+
http://www.jamstec.go.jp/res/ress/rikie/
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます