古い書類を処分する作業は数年前にほぼ終わっていて、そのおりに発掘したドイツ留学時の日記(散文的)を電子化する作業がまだだった。今のうちに済ませておこう。
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<その1>
デンツリンゲン(Denzlingen:N48°04′30″、E7°54′10″、海抜250m)は人口2万人の小さな町である。家から最寄りの鉄道駅までは徒歩20分(約1.5km)、ショッピングセンターまでは徒歩5分、最寄りのバス停および幼稚園までは徒歩3分である。駅の周りには店も多いが、家のある住宅団地の外側は一面の田園地帯となっている。
家は5階建ての1階で、90㎡の3DK+バルコニー+バスルーム(トイレ付)+シャワールームという構成だ。日本からの船便の到着は通関に手間取って10日遅れ。手荷物はコンピューターを優先したので着替えも2着しかない。洗濯も毎日だ。
子供の幼稚園入園手続き、地元銀行口座(家賃や公共料金など)の開設、町役場での住民登録(ドイツ語でやってみた)、車の購入、格安国際電話(コールバック式)の手続き、公共交通網の調査などなど、スタートアップのミッションは目白押しである。購入したゴルフは左ハンドルで、F1と同じく右手でシフト。右側通行には思ったより短時間(ほぼ1日)で慣れた。
大学のあるフライブルク(Freiburg)の中心市街地まではバスで30分。朝夕以外は本数も少なく、車がなければ極めて不便。小生は約50km圏であればほぼすべての公共交通機関に乗れるエコパス(レギオカルテ:1ヶ月64マルク)があるので問題ないが、自家用車が使えるようになるまでの2週間はかみさんがブチ切れ寸前。「不便だ、つまらない、かえりたい。」の連発。
大学からいただいた個室は日本でいえば助教授クラスのサイズ。1人で広々使える。そこへ持参した3台のラップトップと、貸していただいたUNIXのワークステーション(デスクトップ)を設置した。不調は特にないようだ。ネットワークは即座につながったが大学のメアド取得には2週間を要し、その間はtelnetで東大先端研(前職)のサーバーに入り、すべてのメールに英語で返信するしかないイライラな状態だった。持ち込んだラップトップコンピュータ3台も、ハードとソフトのすみずみまで調べてセットアップ。時間を気にせずじっくりできるのはこんなチャンスにしかない。
3か月の短期ビザを1年の長期ビザに切り替えるべく、郡の外国人登録局へ5回足を運んだが、結局発行されたのは88日目とギリギリだった。このまま不法滞在になるのかとひやひや。