今年に入って1ヶ月も経って居ないのに2人の御世話に成った人の訃報を聞いた。一人は長崎県の諫早市の田中さん 昨年の沖縄九州移動時に初めて交信して戴き 其の殆んどの場所で交信していただき長崎の「夕日が丘そとめ」では早朝態々会いに来ていただいた。其の日は「如何しても重要な会議が有るので本当は日中ゆっくりとお逢いしたかったのですが」と初対面では有ったがにこやかに話掛けられた。
私が移動運用時には人が変わると(無線運用中の訪問は御容赦下さい。)言っていた事を御存知で、運用の妨げに成ってはいけないと5時前に道の駅に来ていた様子であった。私も私以外の自動車が夜明け前から駐車場に停まっている事は知っていたが田中さんが来ているとは思っていなかったので夜が明けかかって発電機を回そうと思い外に出た処で声が掛かった。
だいぶん前から来られていた様子で私が起きるのを待っていた様子で恐縮した事を覚えている。背広姿で私より少し先輩の感じで最初は学校の先生かな?と思った反して私は短パンにランニングシャツ(これまた表現が古いが)髭茫々で顔も洗っていない寝惚け顔だった。しかしながら同じ趣味の無線仲間、垣根など無く色んな話をさせていただいた。
後で解った事だが田中さんのQSLカードを拝見すると沢山の無線機に囲まれた部屋で無線を楽しんでいる様子が良く解る。話の中で無線に対する情熱を強く感じた。別れ際に長崎の観光名所と佐賀県の玄海町に至る道順など丁寧に教えて戴き大変御世話に成った。別れる時「今回は台風の影響で熊本県の移動運用が計画どうり出来なかったので再度、九州は挑戦する」と話すと「其の時は是非寄ってくれ」と再会を約束して御別れしたのだが・・・・・・
移動から帰った頃、長崎名物の「カステラ」が我家に届き美味しく御馳走に成ったので昨年の年末、北海道のアイスクリームをお返しに送ったのだが正月明けに長崎から電話が入り御礼と同時に田中さんの訃報を聞こうとは想像だにしなかった。奥様は田中さんの車の助手席で私の移動運用等を聞いていた様子で縁も所縁も無い徳島からの贈り物に何だろうと思った様子だったらしい(送り状にはコールサインを書かなかったので)ただ田中さんが退職したら私の様に全国を2人で回ろうと良く話をしていたので多分、無線での知り合いの私と思い付いたが電話までには少し躊躇が有った様子、無線での交信は8月13日の夜に長時間のQSOをし其の時は元気そうな様子だったのだが其の後、体調不良に成り精密検査の為、入院したが其の後に天国に召されたらしい 電話の向うの奥様の涙声にどう御慰めして良いのか解らなかった。
もう一人は同じ町内会の奥さん 私達夫婦がこの地に来た時、この地では常会と言われる組織が有り(地区の親睦組織)入会して右も左も解らぬ私達によく声を掛けて下さった優しい人だ 特に年数回ある行事では婦人部は中心的な存在、私の家内は24歳から出席、親以上の年代の人との交際の中で何かと御世話に成った様子、家内は日曜は出勤なので私に「御世話に成った人なので必ず行って下さいね」と託けて出て行った。寒い日で集まった人達も大変だったが御世話する人も大変だったと思うが故人の人徳か早朝から人が集まって思い出話をしていた。御2人の御冥福を心より御祈りしたい。
私も退職して63歳に成ったが最近自分の死に付いて色々考える事が有る 最近の平均寿命を考えても20年は無いだろう それどころか明日をも解らない。子供の頃は「死ぬとどうなるか?」などと子供ながらに想像して恐怖に慄いていたがこの歳に成ると「死は無」と思っているし、其の時期も死に方も自分では決められない ただ思う事は折角生まれてきたので悔いの残らぬ老後を過したいと思う事だ。だだどんなに幸福な人でも「悔いの無い人生」などは有る筈が無いと思うので「出来るだけ」と付け加えたい。
退職後の楽しみに何を遣ろうかと考えたとき最終的に「全国行脚」を思い付いた私は子供の頃より地理、歴史は大好きで有ったのでまだ見たことの無い各地を回ろうと思い付いた。同じ遣るなら前人の遣っていない事を実行しようと思い付き自動車の車中泊をする場所での移動運用を始めたが、これ等は既に何人も実行している事だったので自分なりに特徴を持たないといけないと考え「運用パターンや交信局数に拘った」その結果、旅行を楽しむ事より無線中心の旅に成ってしまったが後悔はしていない。最近一番思う事は何か遣りたい事が有れば「即、実行」である。歳を重ねる程、実現のチャンスが少なく成る 健康、経済的問題を含め「思い立ったが吉日」その意味での最近の私の目標は「全世界、全市,全郡、全行政区、全町、全村、の交信と全都道府県からの移動運用」である。全国広しと言えども此れを達成している人は数人位しか居ないのでは?私の知る限りでは可能性の有るのはJA1IOAさんしか知らない。私も元気で有れば沖縄県の与那原町との交信と、残り8箇所の移動運用で完成する 此れを達成するまでは死ぬ事は出来ないし仕事を辞めた私にとって自己主張と生存証明をする手段は残念ながらアマチュア無線の世界しか無い。