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転変する世界の理解の補助具 辞典・事典・工具 その2ー1 20世紀世界紛争事典

2014年05月11日 | 辞典・事典・道具

ウクライナをはじめ世界紛争のニュースが交錯する中、簡単に国家が転覆したり、ウクライナ暫定政府の承認が既成事実となっている状況はいったい何だろう。国家とは何か、民族と何か、国家の正統性はどのようにして確保できるのだろう
転変する世界の理解の補助具 辞典・事典・工具 その1では『新訂増補 世界民族問題事典』 平凡社 2002年 を紹介したのだが、その2では 浦野起央編著 『20世紀世界紛争事典』三省堂 2000年 を紹介

    

 ▲ 浦野起央編著 『20世紀世界紛争事典』 三省堂 2000年 B5 1533頁 発売当時 28000円+税

片手で持つと手首が痛くなるほどの重さ。2.5キログラムくらいはあるだろうか。「世界の20世紀はレジスタンス・紛争・戦争」でもあったことがこれでわかる。とても悲しいことなのだが。また抵抗や・権力の批判なしには希望も生まれないこともたしかなのだろう。21世紀を後続する次の世代に渡すには何をしたらよいのだろうか。

1900年~1997までのレジスタンス・紛争・戦争を扱う事典。先に『新訂増補 世界民族問題事典』 平凡社 2002年を買い、長らく重宝していたのだが、世界の様々な地域の事件や紛争を扱う本に、よく参照文献としてあげられていた。平凡社の『世界民族問題事典』はよくできただ本であったがやはり1冊だけでは心許なく感じていたところだった。

『20世紀世界紛争事典』は価格が高く、未だに、古書価格でも1万円以上するので、自分の関心領域の本を優先すると、購入予定リストには入っていたものの、その都度新しい分野の事典が刊行されてくると、購入予定順位が低迷し、いつも日の目を見ないでいたのだった。

出版されてから、10年以上も経過しているので、そろそろ、古書価格が下がっているのではと思っていたのだが、今度は希少価値が出てきたのか、なかなか値段が下がらない。最近の世界情勢のことも、自分の年も考えれば、これ以上待っていても現役で使える使用期間も限られる。

というわけで、意を決して、『20世紀世界紛争事典』 2000年 三省堂 を購入。送料込みで5000円以内で済む。

早速、『世界民族問題事典』2002年 平凡社と比較するのに、ウクライナに関する項目を探してみようと思う。

その前に、この本の編集の概略と、目次・内容、頁見本などを掲げておく。

この、『20世紀世界紛争事典』は、世界史のすべての時代の紛争を扱っているわけではもちろんなく、20世紀と断っている通り、1900年から1997年12月までを立項目の対象としている。この事典の項目の最後の番号は10809が割り振られているから約1万1千の戦争や、紛争が記述されていることになる。

 ▲ ▼ 浦野起央編著 『20世紀世界紛争事典』 2000年 三省堂 目次

  ▲ 浦野起央 編著 『20世紀世界紛争事典』 2000年 三省堂 目次

 

この本は、序にもあるのだが、「「紛争」という事象から20世紀を俯瞰」 するということばが記されているように、個々の紛争の詳しい解説や評価ではなく、20世紀の紛争に関するインデックス・データベース なのである。

紛争の簡潔な概要・年表・紛争の期間・地域・事件の性格・事件の特性などを記述、比較的大規模な事象には参考文献を掲げる。

紛争の規模・対立の特質・対立局面の変遷・当事者と関係者の関わり、国際環境との接合性

紛争の地域別基本配列

時系列の年表・索引

紛争のテーマ(特性)別リスト を付している。

 

何度かの国 文部省(現在は文部科学省) 科学研究費の助成を受けた研究チームによる、成果を公刊したとある。

 科学研究テーマは

「多極化国際体系の三層連関と信頼醸成のための紛争の制度化」 研究代表 浦野

「重畳的国際関係のアクター相互関係連関構造とその問題システムの認知図の開発及び作成」 研究代表 浦野

「クロノジカルデータの相互引用による国際情勢分析システムの作成」 研究代表 山影進

 であった。

以下は参考まで、本の本文頁の見本

 ▲ 『20世紀世界紛争事典』 三省堂 993頁

  ▲ 『20世紀世界紛争事典』 三省堂 2000年 1049頁

 

『20世紀世界紛争事典』 のおおよその雰囲気はわかったのだが、では、この事典で立項された項目で、ウクライナ問題の起源というか、問題の淵源の理解に役立ちそうな事件や紛争は過去にあったのだろうか。

 

ちょっと脱線

最近日本国民の図書購入経費が毎年度下降が止まらず、一般大人の月図書購入費が2000円位、下宿大学生の図書費は2000円を切っているのに驚愕する。この金額は電子図書の購入も加えた額だというからさらに驚く。日本がまだ貧しかった1970年以前の水準にまで図書購入費は落ちてしまったらしい。出版産業の大崩壊が起きているのも頷ける。

月2000円以下の図書購入費は1970年当時私が学生生活を始めた頃の平均より少ないのではないか。当時の物価は安く、岩波新書は150円位、新書だったら10冊は買える図書代を当時の学生は使っていたことになる。現在の比較でいえば、今新書の価格を800円とすると800円×10冊=8000円程度の金を図書費に注いでいたことになる。

 

この項 続く

 

 

 

 

 



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