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▲鈴木靖民 『倭国史の展開と東アジア』 2012年 岩波書店
鈴木靖民 『倭国史の展開と東アジア』 2012年 岩波書店 その1ー3
今日は、昨日のつづき、
三 互酬性と再分配 から
この互酬性と再分配の概念を提出したのはK・ポランニー。
前近代社会では経済が社会体制に組み込まれている。
親族関係・儀礼などの中に経済的機能がある。
社会統合は
互酬 二者およびそれ以上の対称的に配置された集団間の財・サービスの動き
再分配 一集団内での財の集中とその分配
交換 利益を目的とする財の相互的移動
新進化主義のサーリンズはこれを取り入れる。
経済的互換活動 →(互酬性) 当事者間の可逆的な運動(互酬性)
→(再分配あるいは共同委託) 財が個人に集中し集団内に分配される運動
再分配は首長などの中心的権威者が、集団から貢納を受け、それを首長の名声あるいは気前よさを示すために再分配する行為。時期をずらした互酬行為。
首長への共同委託は統一と中心性をもたらし、中央集権的な社会秩序と社会活動の組織を規定する。
互酬は、与え・受け取り・返礼する義務をともなう。 社会的関係の維持の機能をもつ。
互酬の3型
① 一般的互酬性 分与、歓待、象徴的贈り物、相互援助、気前のよさ、愛他主義的互換活動、首長の「義務的贈与、高い身分に伴う義務 この答礼は量・質・時期を問わない、財のないものへの贈与もある。
② 均衡的互酬性 正確に均衡のとれた当事者間の直接的な交換である。婚姻互換、友人関係の契約、和平協定、贈与交換、交易、売買など。均衡性の損失により、社会関係が崩壊する危険をもつ。
③ 否定的互酬性 利益を得ようとする互換活動。値切り、物々交換、投機、窃盗など。
互酬性の形態は親族制の距離と関連
近親性が強い → 一般的互酬
関係疎遠 → 均衡的互酬、否定的互酬
これらは経済的関係が道徳的基盤に根ざしていることでおきる。
このようなポランニー、サーリンズが提出したモデルを使い、日本の古代史に適用するとどのような事例が拾い出せるか?
西郷信綱 市と歌垣など・・・・・・
つづく