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鈴木靖民 『倭国史の展開と東アジア』 2012年 岩波書店 その1ー3

2016年07月15日 | 初期国家・古代遊記

                 ▲鈴木靖民 『倭国史の展開と東アジア』 2012年 岩波書店 

 

 

鈴木靖民 『倭国史の展開と東アジア』 2012年 岩波書店 その1ー3

 

今日は、昨日のつづき、

三 互酬性と再分配  から

 

この互酬性と再分配の概念を提出したのはK・ポランニー。

前近代社会では経済が社会体制に組み込まれている。

親族関係・儀礼などの中に経済的機能がある。

社会統合

互酬    二者およびそれ以上の対称的に配置された集団間の財・サービスの動き

再分配   一集団内での財の集中とその分配

交換    利益を目的とする財の相互的移動

    

新進化主義のサーリンズはこれを取り入れる。

経済的互換活動 →(互酬性) 当事者間の可逆的な運動(互酬性)

            →(再分配あるいは共同委託) 財が個人に集中し集団内に分配される運動

再分配は首長などの中心的権威者が、集団から貢納を受け、それを首長の名声あるいは気前よさを示すために再分配する行為。時期をずらした互酬行為。

首長への共同委託は統一と中心性をもたらし、中央集権的な社会秩序と社会活動の組織を規定する。

互酬は、与え・受け取り・返礼する義務をともなう。 社会的関係の維持の機能をもつ。

互酬の3型

① 一般的互酬性  分与、歓待、象徴的贈り物、相互援助、気前のよさ、愛他主義的互換活動、首長の「義務的贈与、高い身分に伴う義務 この答礼は量・質・時期を問わない、財のないものへの贈与もある。


② 均衡的互酬性  正確に均衡のとれた当事者間の直接的な交換である。婚姻互換、友人関係の契約、和平協定、贈与交換、交易、売買など。均衡性の損失により、社会関係が崩壊する危険をもつ。     


③ 否定的互酬性  利益を得ようとする互換活動。値切り、物々交換、投機、窃盗など。

   

互酬性の形態は親族制の距離と関連

近親性が強い → 一般的互酬

関係疎遠    → 均衡的互酬、否定的互酬

これらは経済的関係が道徳的基盤に根ざしていることでおきる。

このようなポランニー、サーリンズが提出したモデルを使い、日本の古代史に適用するとどのような事例が拾い出せるか?


西郷信綱 市と歌垣など・・・・・・


つづく


 

 

 



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