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▲ 菱田哲郎 『諸文明の起源14 古代日本国家形成の考古学』 2007 京都大学学術出版会
菱田哲郎 『諸文明の起源14 古代日本国家形成の考古学』
このシリーズは全15巻が予定されているが、まだ全巻は刊行されていないようだ。京都大学学術出版会の本は単著の研究書や雑誌 あっと驚くため息のでてくる本の価格が多かった。図書館で読む本というイメージが抜けきれないのだが。象牙の塔の価格だった。
その中でこのシリーズは定価1800円+税という値段、興趣をそそるタイトルなら、シリーズを買う気持ちにもなる。
タイトルに惹かれ、都出比呂志の向こうを張って、「初期国家形成論」の論戦を期待したのだが、そのような本ではなかった。しかし、菱田哲郎の須恵器研究・窯業研究の専門性はここでも発揮しているので、
「手工業生産から見た日本列島の国家形成」という趣のあるものだった。
倭の五王と古墳についての部分は、須恵器編年を菱田流に対応させているので、文献史家の倭の五王解釈とも、埴輪編年とも微妙に違う見解なのだが。・・・・・・・
▼ 菱田哲郎 『諸文明の起源14 古代日本国家形成の考古学』 目次
▲▼目次
▲目次
▼ 5世紀における技術獲得経路と地域間関係 菱田哲郎 『諸文明の起源』」 69頁
上の図は、菱田の言うように、「手工業生産から見た日本列島の国家形成」という視点でみるとなかなか含蓄深い。吉備の反乱伝承も、筑紫君磐井の乱も、古代産業技術入手の独自ルートを持つ地域の有力権力を押さえる一撃であったことが見えてくる。葛城氏の没落経緯ももだ。
つづく