沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル (2022年8月17日号) *2022年、夏の敗戦

2022-08-17 15:36:37 | 日記
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2022年8月17日号)
*2022年、夏の敗戦
 2日、米国のペロシ下院議長が台湾に到着するや、中国は台湾周辺に軍事演習区域を設定した。その一部に日本の排他的経済水域(EEZ)が含まれていたので、日本が懸念を表明したのだが、それに対する中国の返答は驚愕すべき内容である。

 中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道局長は3日「関連海域は未画定で、日本の見解は受け入れられない」つまり日本のEEZを認めない姿勢をあらわにしたのである。そして4日、中国軍は与那国島の海域に5発の弾道ミサイルを撃ち込んだのである。
 与那国島の漁民は漁業活動を中止せざるを得なかった。EEZとは自国民の経済活動が最優先される海域を指す。つまり日本国民の正当な経済活動に中国軍により損害が生じたのである。

 しかも中国は、日本のEEZを認めないとして、そこにミサイルを撃ち込んだわけだから、事故でも過失でもなく確信犯による明白な侵略である。普通の国であれば、その海域に軍艦を派遣し、中国のEEZにミサイルを5発撃ち込んで報復したであろう。
 また同時に尖閣諸島の接続水域に居すわる中国海警の艦艇も軍艦により強制排除されたはずである。だが、それは普通の軍事力を持つ普通の国の話であって、日本は憲法に縛られて普通の軍事力を持っていない。従って普通の国の普通の話は通用しない。

 だが、普通の国ではなくとも安倍政権においては、北朝鮮が日本のEEZにミサイルを撃ち込めば、ただちに国家安全保障会議(NSC)を開催した。ところが今般、岸田内閣は、外務省が電話で抗議をしただけで、NSCすら開催しなかった。
 そして浜田防衛相がオースチン米国防長官と電話会談して、中国のミサイル発射を非難したのは、発射から12日後の昨日である。中国の軍事恫喝の前に、日米同盟はもはや風前の灯火(ともしび)だと言っていいだろう。

 前号で「空母レーガンは一触即発の事態を避けるために、台湾から遠ざかった。96年台湾危機で米国は中国に勝ったというのなら、今般は敗けたとしか言いようがない。」と書いた。敗けたのは米国だけではない。日本も敗けたのである。

北戴河会議が終了したようだ    共青団、勢力を盛り返したのか? 最高幹部等の結論は?

2022-08-17 15:34:29 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月17日(水曜日)弐
          通巻第7433号 
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(休刊のお知らせ)明日(8月18日)から22日まで小誌は休刊です。
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北戴河会議が終了したようだ
   共青団、勢力を盛り返したのか? 最高幹部等の結論は?
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 中国共産党最高幹部とOBらが集まる北戴河会議が16日までに終了したようである。
 というのも、8月16日、中国のシリコンバレーといわれる深センに李克強首相が現れたからだ。
 トウ小平の南巡講話(92年春節)も、広東省の深センで行われた。李克強は、これを意識して、会議後初の訪問地を選んだ筈である。

 深センで李克強首相は党幹部や企業幹部を集め、「中国の技術ハブは、低迷する経済を安定させる上で大きな責任を負う」と呼びかけた。

 この訪問は、経済の冷え込みが懸念される環境にあって、南部工業地帯の現地視察をなし、一方で李は広東の幹部らと面談した。またオンラインで江蘇省、浙江省、山東省、河南省、四川省の幹部と話し合い、「政府の政策を最大限に活用し、経済を安定させ、雇用を確保するために市場の原動力を堅持する」と発破をかけたという。

 ところが、上海と福建省の幹部はオンライン会議には出席しなかった。つまり習近平の影響がつよい地区の党委員会は李克強には非協力という態度を示したことになる。

 李首相は深センの「ギャラクシー ・インダストリアル・ グループ」も訪問し、起業家グループに会った。「広東省は中国の輸出の鍵。深センは半導体製造とデジタル化のハブだ」と李はくり返した。こうした一連の行動に何を読み取るべきか。

ロシア制裁の効き目はまるでなかった?      ペトロ・ロンダリングでインドは「ペトロ・ヘブン」に化けていた

2022-08-17 15:32:26 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月17日(水曜日)
          通巻第7432号 
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 ロシア制裁の効き目はまるでなかった?  
   ペトロ・ロンダリングでインドは「ペトロ・ヘブン」に化けていた
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 ロシアのウクライナ侵攻から半年。西側の制裁はかえって西側の経済を痛めつけた。ドイツは原発再開にむけて走り出した。中国は、制裁に加わらず堂々とロシアから石油とガスの輸入を拡大した。
 制裁規制からはずれた資源は欧州列強、知らぬ顔をしてロシアからの輸入を増やしていた。ちなみに2月24日の侵攻以後、ドイツがロシアから輸入したエネルギーは122億ユーロ、イタリアが79億ユーロ、以下、数字だけ並べるとオランダ78,トルコ68,フランス44,ポーランド43となる。

 留意すべきはインドである。
 侵攻前、インドのロシア石油輸入は微々たる量だったが、前年比8倍に「躍進」していた。報道によれば、グジャラート州の港にはいったタンカーはロシア出資の製油所に運ばれ、ガソリンに精製される。これは「インド産ガソリン」となって、各地に転売が可能。つまりペトロ・ロンダリングだ。

 マネーロンダリングはタックスヘブンで国籍を変えるように、インドは「ペトロ・ヘブン」に変身したというわけだ。

 拠点はグジャラート州の港。西インドは紀元前から中東、アフリカとの交易で栄えた。中東の湾岸諸国や東アフリカの沿岸地帯から南アフリカにかけてインド人の進出が目ざましい。
 グジャラート州はモディ首相の出身地であり、安倍晋三元首相も、習近平主席もわざわざ訪問した土地、しかもガンジーの拠点だったから、かならずガンジー記念館にも立ち寄る。


 州都のアーメダバードは国際色豊かで経済繁栄にまっしぐら。日本は、このアーメダバードから南のムンバイまで新幹線工事を展開している。

 したがって日本企業のグジャラート州への進出は刮目すべき増加ぶりで2013年には84社だったが、2017年に221社、2018年に383社となっている。
スズキを筆頭に豊田通商は工業団地も建てた。

 ことほど左様に国際情勢は複雑怪奇、日本人の善良さや法治主義は、彼等にとっては綺麗事の建前に過ぎないことが分かる。

史上最悪のハイパーインフレの国ジンバブエが「金貨」を発行   100兆Zドルでパンが半斤しか買えないのに?

2022-08-17 15:30:56 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月16日(火曜日)弐
          通巻第7431号 
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 史上最悪のハイパーインフレの国ジンバブエが「金貨」を発行
  100兆Zドルでパンが半斤しか買えないのに?
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 独裁者ムガベの国、中国がその選挙を支え、そろいのシャツやポスター印刷も引き受けた。人民元はジンバブエの「法定通貨」だった。
不正投票も反対派虐殺もなんのその。ロバート・ムガベがジンバブエを破産させ、人民を奈落の底へ突き落とし、欧米はムガベ夫妻の入国を禁止した。

ムガベ夫妻は四回の来日履歴があり、政治家との交流もあったが、ムガベ夫人は浪費癖があって、娘は偽名で香港へ留学(これも中国の斡旋か)。頻繁に香港へ「買い出し」に出かけ、ブランド品を買いあさった。ムガベは法学博士、経済学博士だったのだが。。。。

 2017年、ムガベはクーデターで追われ、最後はシンガポールに入院、そこえ死んだ。それでもジンバブエのインフレは収まらず、年に300%という人類史上まれな猛烈ハイパー。過去に四回も「新札」と切り替えたが、そのたびに通貨単位は増えつづけ、ちなみに現在のジンバブエ・ドルは500億ドル札(50000000000Zドル)で食パン二切れ。

 街には両替、そして闇ドルの世界。平均年収が260ドル(BBC)に達しないのも、鉱山、ダイヤモンド、宝石類しか産業はなく、農業も振るわず、都市は荒廃している。

 ジンバブエ政府は、インフレ対策のため一1ンス金貨の発行を発表した。
最初に4475枚を発行したが、ドルでしか買えず、また金価格は1オンス1800ドル以上だ。つまり庶民とは無縁の通貨である。
誰のため、何のため、庶民が使えない金貨なのかと不満が固まっている。

「複合不況」ではなく「破局前夜」の中国    中国国有企業五社、ウォール街から脱落

2022-08-17 15:28:46 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月16日(火曜日)
          通巻第7430号  <前日発行>
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 「複合不況」ではなく「破局前夜」の中国
   中国国有企業五社、ウォール街から脱落
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 経済紙は中国経済の現状を「複合不況」と命名したが、そうではない。「破局前夜」ではないのか。
 8月12日、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)と中国石油化工集団(シノペック)、中国アルミ、中国人寿(中速最大の生保)など五社は、米株式市場上場を廃止すると発表した。
そもそも会計検査がいい加減で、上場基準をみたしてなかったのだから、「監査強化」を口実に逃げ出すのである。

 中国には米国の会計監査法人が進出しているが、不明瞭な会計を公開せず、また不透明な決算報告も、「企業機密を海外に持ち出さない」という契約上、中国国内で切歯扼腕の業務を続けてきた。
くわえて中国ではインサイダー取引が株式市場の常識だから、ウォール街が、中国企業の上場を認めたこと自体がおかしいのである。

さて新疆ウイグル自治区で 8 月 9 日から 11 日にかけて、降雨と高温の融雪の影響を受け、タリム川と支流のイェルキアン川など 21 の河川で洪水が発生した。
一方で、揚子江流域は干ばつである。中国は広いなぁ。
安徽省、江西省、湖北省、湖南省、重慶、四川省が含む干ばつに見舞われ、およそ百万ムーが被災した。三峡ダムは「下流が乾いているときは水を貯め、下流が洪水被害となると、放流する」と皮肉られる。

 こういう状況下、バルト三国のなかで、リトアニアに続いて、ラトビアとエストニアが中国主導の「17+1」(「中国・中東欧諸国協力」)から離脱する発表した。これでバルト3国は全て脱退するから『14+1』となる。

旧東欧を「一帯一路」に巻き込もうとした中国のもくろみの一角が崩れた。
 ラトビア外務省は「外交・通商政策の優先順位」を考慮し、「ルールに基づく国際秩序や人権」の尊重を礎とするとし、他方で中国との「建設的かつ実用的な関係を築く努力は継続したい」とした。
 外交も破局前夜?