沖縄・台湾友の会

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いま、ウクライナ戦争の「どさくさ」を狙うアルメニア、セルビア     戦火はカフカスからバルカンにかけて拡大の懼れ

2022-08-10 14:49:59 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
      令和四年(2022)8月10日(水曜日)
          通巻第7428号
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 いま、ウクライナ戦争の「どさくさ」を狙うアルメニア、セルビア
    戦火はカフカスからバルカンにかけて拡大の懼れ
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コソボは米・英、ドイツ、フランス、日本など93か国から外交承認を受けている。岐阜県にも満たない面積、人口も180万人ていど。米国は厳重な警戒態勢で大使館を開設した。日本大使館はウィーンで代行業務をしてきたが、このほど大使館を開設した。

他方、セルビアはもちろん、ロシア、中国、スペイン、キプロス、ギリシャ、ルーマニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロバキア、ジョージア、ウクライナ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、インド、インドネシア、南アフリカ等はコソボ独立を認めていない。
 セルビアにとってコソボはあくまでも自治州のひとつ、恢復するチャンスを狙っている。

 雨が降ってきて軒下をかりていた賊が、主人の不在につけ込んで母屋を占領し、おまえが出て行け、ここはもともと我が家だったのだと開き直った。セルビアがNATO軍の空爆で手も足もだせなくなり、それまでにコソボに這入り込んでいたアルバニア人が「独立」を言い出した。セルビアにとってコソボはNATOの支援をうけたアルバニアに盗まれたという認識となる。
 米国はクリントン政権、空爆介入で、コソボを強引に独立させ、通貨も資格審査なしでユーロとした。コソボの警備はNATO軍が行っている。世界遺産が二つあるが、いずれもセルビア正教会の古色蒼然たる教会である。アルバニアはイスラムである。

 ウクライナ戦争のどさくさ紛れに中国は大量の武器をセルビアへ輸出した。4月12日に中国の大型輸送機六機がベオグラード空港に到着した。
セルビアでも兵器産業は弾薬、銃器、爆薬を生産している。ユーゴスラビア時代から受け継いだ軍需工場がある。したがって弾薬や鉄砲は充足している。不足しているはロケット、ミサイル、夜間グーグルライフル、ドローンなどと推測される。

▲ナゴルノカラバフ紛争も再燃の気配濃厚

カフカスではアルメニアの飛び地ナゴルノカラバフをめぐってアゼルバイジャンとの戦争がまた火を噴きそうである。同地は標高が1000メートルから2000メートルの高知に位置する。

1991年、ソ連からの独立後、二回の戦闘を繰り返した。前回はトルコがアゼルバイジャンに供与したドローンが大いに貢献し、アゼルバイジャンの勝利となった。

ナゴルノカラバフはアルメニアの飛び地で面積は山梨県ほど。難民が百万を超えているため、住民はすくない。またアルメニアの南方にはアゼルバイジャンの飛び地のナヒチバンがある。住民は大半がアゼル人だ。
第二次紛争は2020年にロシアが仲介して停戦となったが、アゼルバイジャンが大幅に土地を獲得したため、アルメニアは失地回復を狙う。

石油リッチのアゼルバイジャンは高性能武器をイスラエル、トルコなどから輸入した。アルメニアを軍事支援するのはロシアくらいである。現在、停戦監視としてロシア軍が駐留しているが、ウクライナにおける戦争の泥沼化でロシア軍の戦力不足が伝えられ、引き上げる算段をしているという。

 アルメニアは三世紀に世界で最初にキリスト教を取り入れ、首都エレバンの東方正教会の壮麗な教会は世界中からアルメニア人が集まって祈る。
 またアルメニアはキリル文字の源流となったアルメニア文字を誇る。

 アルメニア人で有名なのは音楽家ハチャトリアン(「剣の舞」)。演奏家のカラヤン、スターリンとならぶ革命家のミコヤン(弟はミグ戦争の発明者)、作家のサローヤンと最後に「ン」がつく人が多い。ちなみに1991年にソ連から独立後の歴代トップはコチャリャン大統領。サルグシャン大統領。サルキシャン大統領。パシニャン首相。現在の大統領はハチャトゥリャン。

 アルメニア本国には人口が少ないが、世界に出稼ぎにでた若者が多い。そればかりか、ユダヤ人のように世界に流浪するアルメニア人が多い。アララット山の領有をめぐり、トルコとは犬猿の仲である。
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