沖縄・台湾友の会

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中国がロシアから金購入を48倍にしていた   G7はロシアからの金輸入を禁止した直後からだ

2022-08-27 21:07:45 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)8月28日(日曜日)
        通巻第7442号  <前日発行>
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 中国がロシアから金購入を48倍にしていた
  G7はロシアからの金輸入を禁止した直後からだ
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 ウクライナ戦争で、西側はロシアをSWIFTから排除した。オルガルヒの経営するアルファ銀行などは直撃を喰らった。
ロシアは悲鳴を上げる筈だった。
 ところが中国の為替システムCIPSに便乗した上、プーチンは石油ガスの代金決済をルーブル建てとしたため、本当のところ、SWIFTからの排除は十分な効果を挙げていない。

 西側の対ロ経済制裁はBRICS諸国などが非協力的であり、アジアでも日本、韓国、シンガポール以外は制裁に同調せず、ザル法に近くなった。
ロシア人で制裁された結果、財政的に致命傷を負ったのは米英、スイスなどに資産を隠匿していた新興財閥くらいだった。
4月13日の英文プラウダにおやっ? と思われる記事がでていたことを思い出した。
それは石油ガス代金の支払いをルーブル建てとした背景説明とロシア中央銀行の思惑を分析した記事で、ウクライナ侵攻直後に暴落したルーブルが、すぐに恢復した謎を解く鍵が秘められていた。

 本来なら膨大な戦費、西側の制裁によりロシア経済は悪化が避けられないだろうから通貨ルーブルは暴落するはずである。

ところが暴落せず、元のレートの恢復が早かったのは、ルーブルが金に裏打ちされた通貨に早変わりしていたからではないか、というのである。ロシア中銀はロシアルーブルをいずれ金本位体制へと移行させ、その前哨戦として金1グラムを59ドルに固定し6月30日までを試行期間とした。

 そして驚くべき事態が中露間に進行していた。
中国が前年比で50倍近い金をロシアから輸入していたのである。年初来、中国は1088万ドルを支払って、ロシアから金を購入していた。前年比48倍!
これこそカラクリの謎を解くヒントが含まれている。中国にとってルーブル建ては金の裏打ちがあり、二重のうまみがあるということになる。

 ロシアは南アの産金量をこえて、世界最大の産金国(年間300トン)だ。とはいえ含有率の悪さから再精製の必要があり、需要はそれほどでもなかった。
 あまつさえ6月26日、ドイツで開催されたG7はロシアからの金輸入禁止で合意し、バイデン政権が追加制裁でロシアからの金の輸入を正式に禁止した。制裁に加わらない中国は、このどさくさに大量の金を購入して金備蓄を急増させていたことになる。

これは何を意味するのか?

 中国が堂々とロシアを支援して石油ガスを輸入し続けており、SWIFTの隙間を狙ったCIPS(中国主導の通貨交換送金システム)の拡充が図られている。
大げさではなく中国は欧州がユーロで結束したように、人民元決済ブロックを構築し、その一方で、うまく実現するかどうかは別としても、金本位制度の復活にも備えていることになる。

最高指揮官が持つべき敬意 【阿比留瑠比の極言御免】

2022-08-27 21:05:19 | 日記
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最高指揮官が持つべき敬意
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       【阿比留瑠比の極言御免】 

  防衛大学校を舞台に若者の成長と青春を描いた漫画『あおざくら』4 巻の巻末に、防大1期生だった歴史学者の平間洋一・元防大教授のインタ ビュー記事が掲載されている。その中で平間氏が卒業間近の昭和32年2月 に、防大の創設者である吉田茂元首相邸を訪ねた際の話が紹介されている。

 吉田氏は2時間ほど話し、大阪ずしをふるまった後の平間氏らの帰り 際、おもむろに語ったという。

 「君たちは自衛官在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されること もなく自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗(ひぼう)ばかり の一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。しかし、自衛隊が国民から 歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時と か、災害派遣の時とか、国民が困窮し国家が混乱に直面している時だけな のだ。言葉を変えれば、君たちが日陰者ある時の方が、国民や日本は幸せ なのだ。国家のために忍び堪えてもらいたい」

 長々と引用したのは、今まさに自衛隊が国民から感謝され、歓迎される 事態が、もう目の前に来ていると思うからである。

[ハード整備だけでは]

 時代は確実に変わった。岸田文雄首相が10日に発足した第2次改造内閣 について「有事に対応する『政策断行内閣』」と呼んだように、国際情勢 はいつ有事を招くか分からない。自衛隊ばかりに耐え忍ぶことを強いる局 面は既に過ぎた。

 現在、防衛予算がどの程度増額されるかが注目されている。全く足りな い武器・弾薬の補充や老朽化した隊舎、施設の整備も当然必要だが、それ だけでは不十分だろう。自衛隊を政治の道具扱いせず、もっと誇りと名誉 を与えるべきではないかと考えてきた。

 そんな折、昨年3月まで防大校長だった国分良成氏が今月刊行した著書 『防衛大学校 知られざる学び舎の実像』を読んだところ、卒業生の帽子 投げで知られる防大卒業式の興味深いエピソードが記されていた。

 それによると、小泉純一郎首相より前は、目の前で帽子投げは失礼だと いうことで帽子投げの前に首相は帰路につくため、その後の自衛官任命・ 宣誓式には出席していなかった。

 ところが小泉氏が任命・宣誓式にも参列したいとの意向を示したこと で、首相の拘束時間を短くするよう学生たちは卒業式後、学生服のまま任 命・宣誓式に臨むことになった。帽子投げは首相退席後に行った。

 小泉政権後もこの方式での卒業式、任命・宣誓式が続いたが、この手順 に不満を持つ学生も多かった。学生服のまま任命・宣誓式を行うことが、 卒業式の美学に反するからである。

[安倍氏の即決]

 そこで国分氏が安倍晋三政権になって安倍首相に直接、改善を要請し た。卒業式後に学生たちが帽子投げをし、いったん学生舎に戻って新装の 自衛官服に着替えてから会場で整列する。

 この本来のやり方に立ち返ることである。首相の拘束時間は30~40分長 くなるが、安倍氏は即決した。

 「それで結構です。自衛隊最高司令官として最後までいます。帽子投げ も壇上で見たい」

 国分氏は著書に「小さな変化かもしれないが、一生を国家・国民に捧 (ささ)げる覚悟を決めた若き自衛官の大事な門出、彼らにとっては一生の 重みをもつに違いない」と書いている。

 最高指揮官には、こうした自衛官への敬意が必要なのだと改めて感じ た。それと同時に、自衛隊の憲法明記もあだやおろそかにしてはならない。


中国の湖が枯れて湖底がみえた。深刻な水不足、農作物は壊滅の懼れ   番陽湖は35%の湖水に。屈原の洞庭湖も観光地・西湖も景観が激変した

2022-08-27 21:03:08 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)8月27日(土曜日)
        通巻第7441号  
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 中国の湖が枯れて湖底がみえた。深刻な水不足、農作物は壊滅の懼れ
  番陽湖は35%の湖水に。屈原の洞庭湖も観光地・西湖も景観が激変した
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 中国最大の湖は青海湖。淡水湖で世界二位が番陽湖、日本人観光客は必ず訪れるのが杭州西湖、中国史が好きな人は洞庭湖。日本にも北はサロマ湖、支笏湖、洞爺湖、阿寒湖、十和田湖、田沢湖、猪苗代湖と幾多の湖があって、琵琶湖は日本一だが、世界ランキングでは百傑にも入らない(世界一はバイカル湖)。ちなみに番陽湖は琵琶湖の6倍の面積である。

 中国の自然災害は桁違い。豪雨が続くと、ダム決壊、洪水、地盤陥没、台風被害などで、道路は河となり、すさまじい犠牲がでる。
三年前はあまりの豪雨に世界最大の三峡ダムの決壊がさかんに言われた。

 こんどは逆だった。連日の猛暑、摂氏40度超え、干ばつが電力供給に大きな障害をもたらし、各地で計画停電。重慶はショッピングモール営業時間を午後四時~九時に制限。トヨタとホンダの工場は停まった。四川省は電力の八割が水力だからだ。

 四川省は昔の「蜀」。劉備玄徳が治め、杜甫が活躍し、諸葛孔明が戦略を編んだ地。トウ小平の出身地であり、成都、重慶など工業の拠点である。電力需要は6500万キロワット。前年比25%の需要増は、アップルや自動車工場が集中したからだろう。

 一ヶ月、雨がまったく降らなかった。摂氏40度(華氏百度)、農作物は枯れ、となりの湖北省と合わせて数千ヘクタールに被害が出た。成都市民のおよそ82万人は飲料水がない。水道がとまったからだ。
 くわえて山火事である。8月25日のApに拠れば、540世帯、1500名が非難し、消防隊5000名が動員されているが、未曾有の山火事は一帯をはげ山にしてしまうから、保水力が失われる。

 番陽湖は江西省の北西部、九江から南昌へ南下すると左手に広がる。淡水湖で中国一(世界一はキルギスのイシク湖)、湖面面積は3976平方キロだが、洪水期には5050平方キロに湖面が広がったことがある(ちなみに琵琶湖は670平方キロ)。

8月25日現在、水位は五分の一となって、湖中にある展望楼には歩いてけることとなった。番陽湖の中州に北欧企業がリゾートホテルを計画していると九江で政府関係者から聞いたことを思い出した。
 九江は洪水でも有名だが、付近は工業団地など開発がブームに沸いたことがあった。番陽湖の水量を調整し、農地へ配水する機能があることから「腎臓の湖」とも言われる。(番陽湖の「番」には、「こざと」)。

 歴史好き文学好きの人なら洞庭湖だろう。屈原は政治の腐敗に絶望し、汨羅で入水自殺した。詩人の杜甫は、「岳陽楼」を謳った。この洞庭湖は淡水湖では中国第二位。2820平方キロで関東平野より湖面が広いのだから桁が違う。

 杭州観光ではおなじみの西湖、ほかに九寨溝のエメラルド色などが観光客を引き寄せていたが、猛暑、干ばつで景観が激変した。


 ▲中国一の青海湖は周囲が360キロ、一周したことがある

 中国最大の青海湖は青海省の省都、西寧に宿を取って、中国人ツアーに紛れ、一周したことがある。
早朝八時だったかに出発し、帰ってきたのが午後八時、青海湖は周囲360キロの凸凹道だから12時間(途中、昼飯休憩などあり)かかった。
青海湖は塩湖、モンゴル語でココノールという。4635キロ平方キロ。108の河川から流れ込んだが、2022年8月には85%も水位が下がった。

 あれは小泉政権のときだった、ツアーで日本人と分かると、まだ日本へのあこがれがつよく残っている時代で、「小泉首相の靖国参拝をどう思うか」と聞かれた。
デジタルカメラを珍しそうに眺め、なかでも親子連れの父親がかなりのインテリで流ちょうな英語を喋った。
 「日本にもこのような湖はあるかい?」「琵琶湖(ピーパーフゥ)って東京からどういくのか?」

 内蒙古省のホロンバイル草原は有名だが、かつて日本軍の要塞があったハイラル(海拉爾)からバスで三時間。拠点となるのは「満州里」である。典型の炭鉱街。
満州里は、ロシアとの国境でもあり、鉄道がまたいでいる。そこからやや西へ開けるのがホロン湖(呼倫湖)で2335平方キロ。湖畔のレストランで湖魚を酒の肴にしたことがあるが、夏でも革ジャンを着込むほど寒かった。

 また思い出した。中国人作家で台湾に亡命した朴内夫(筆名=無名氏)が日本に来たとき、箱根の芦ノ湖を案内した。湖畔のレストランで、氏は松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」は、この池(芦ノ湖)か?」と聞かれて驚いた。
中国人の感覚では、小規模な湖は「池」なのである。


 ▲じつは中国最大の湖は興凱湖だが、北京条約で75%がロシアに帰属する

 ついでにもうひとつ。
日本人が殆ど行かない最大級の湖がある。
黒竜江にある興凱湖で、4403キロと、番陽湖よりも湖面面積は広いが、じつは北京条約によって四分の三がロシア領に編入されている。十数年前に、高山正之氏等と行ったことがあるが、真夏なのに、日本の初冬の寒さだった。

したがって中国側の湖面は1000平方キロでランキングに入らない。
この興凱湖の真南が沿海州のウラジオストクだから、中国人にとってロシアは「癪の種」になる。ロシアがウクライナでへとへとになったら、中国は北京条約の廃棄をせまり、ウラジオストックを回収する挙にでるかもしれない。(詳しくは来月五日発売の拙著『ウクライナ危機後に、中国とロシアは破局を迎える』(宝島社)をご参照されたい)。

8月24日から降雨(慈雨)があって、四川省では25日あたりからようやく工場が再開されている模様である。