ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

2022 日本最東端・根室納沙布岬へ(後編)

2023-04-20 23:57:49 | 北海道内の旅行・風景

午後6時半。
根室名物「エスカロップ」を堪能して飲食店を出ると、日没とともに霧が立ち込めはじめ、だいぶ薄暗くなっていた。
少し市内を走るも見通しは悪くなる一方で、霧がさほど珍しくない苫小牧市民の私でも体験したことの無いほどの濃霧だ。さすが最果ての町。


漁業などでロシア船舶の出入りが頻繁にある根室の町。
至る所にロシア語表記の看板がある。

本日も車中泊の予定であるため、閑静かつ迷惑にならなさそうな駐車場を探して市内を徘徊。
郊外の公園に目星をつけて向かうも、街灯が無く真っ暗。濃霧も相まって不気味な事この上ない。
ひとまず花咲港方面へ行ってみることにした。




ひと気が全く無く、しんと静まり返った港にもロシア語表記の看板があちこちに。
国境を飛び越えてしまったかのような光景が広がっていた。

いまいち良い車中泊スポットが見つからないまま、結局、この日は港近くのコンビニ駐車場の隅で力尽き、そのまま眠りに落ちてしまった。


2022年5月23日


さて、最終日である。
午前7時ごろ起床し、場所をお借りしたコンビニで朝食を買い込んだ後、根室市役所を軽く見物に向かう。
建物の上部に掲げられた「北方領土は日本の領土」(ロシア語付き)という看板が楽しみだったのだが、残念ながら撤去されていた。


さて、いよいよ日本最東端の納沙布岬を目指す。
起床した時はうっすら晴れ間が見えていたのだが、海沿いの根室半島線(道道35号)へ入るとやはり濃霧が。今回の旅は常に暗闇と濃霧に悩まされている気がする。

わずかな集落と岬へ向かう一本道であるため、車通りはほとんどない。
だだっ広い草原で草をはむエゾシカの群れが霧に浮かび上がり、幻想的な光景だった。


そして、午前8時50分ごろ、ついに納沙布岬の駐車場へと到着した。


こちらは北方領土返還祈念の碑「四島の架け橋」。
北方領土を表す4つのブロックが繋がって架け橋になっているデザインなのだそうだ。
中央部には、日本最南端の沖縄県・波照間島から運ばれた「祈りの火」がともされている。
なお、近年は度重なる落書きのいたずらがニュースにもなった。


午前9時、ついに納沙布岬の展望台に到着した。
せっかくなので、持参した北方領土のキャラクター・エトピリカの「エリオくん」と記念撮影する。
前の愛車と同じ名前で縁を感じ、ツイッターの抽選プレゼントに応募したところ見事当選した非売品だ。
里帰りさせてあげられて良かったと思う。


北緯43度23分07秒、東経145度49分01秒。
日本で一番早く朝日が見られる場所だ。
天気の良い日は北方四島の国後島、歯舞群島が見えるらしいが、残念ながら見えず。


左は岬にあった「カニトイレ」。根室特産の花咲ガニをイメージしていると説明書きがあり、確かによく見ると脚やツメ、目などが再現されている。右はみやげ物店にあった花咲ガニのオブジェ。
また、道路を挟んだ向こうには地上96メートルの円形展望台「オーロラタワー」が建っているが、廃墟状態?で荒れており、無人。
展望台部分は低い雲で霞んでいた。


岬にある「根室市北方領土資料館」を見物(入館無料)。
戦前の北方四島の暮らしが写真、パネル等で解説されている。
島民が使っていた食器類など日用品の実物展示や、ドキュメンタリー映像なども。
なお、こちらの施設では「(日本本土四極)最東端証明書」の交付を受けることができ、私もしっかり頂いた。


隣接して北方領土問題啓発が目的の「北方館」があり、こちらも見物(入館無料)。
年季の入ったガランとした建物内には展望室や資料展示のほか、著名運動を呼びかけるコーナーなどもあり、やや緊張感が漂っていた。
なお、こちらの施設では、カード状の「北方領土視察証明書」がもらえる。


岬周辺の観光後、根室半島を時計回りに戻る形で海沿いを走る。
珸瑤瑁(ごようまい)、歯舞、沖根婦と独特な地名の集落(本州民は読めない?)を通り過ぎ、根室市街地に戻る直前。
浜辺に建つトーチカをポツンと見つけて急停車した。




今まで走ってきた歯舞からの約30キロ区間は、戦時中はソ連軍の格好の上陸場所として危惧され、多数のトーチカが建てられたという。
現在も9か所に現存しており、こちらは友知(ともしり)海岸に残る「友知トーチカ」。
根室半島は地形の関係からか防衛には不向きとされ、ここ友知トーチカがいざという時の防衛ラインとされていたらしい。




午後6時。


根室から来た道を延々と戻り、豪雨の天馬街道を越えてようやく浦河へ。
「うらかわ優駿ビレッジAERU」で休憩とする。
日帰り温泉は思ったより小ぶりで、少し残念。そして浦河のソウルフードという「かつめし」を初体験。
卵やソースを使わず、刻みのり、青のり、醤油ベースのタレが特徴のあっさり系カツ丼で新鮮な味わい。これは知らなかった。


終始どんよりした空模様の旅だったが、今回については逆に旅情を掻き立てられたので良しとするか。
……とは言っても、まだ浦河なんだよな。ここから苫小牧までが延々に長いのである……。

2022 日本最東端・根室納沙布岬へ
完。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tada)
2023-04-24 12:48:13
根室~納沙布岬の旅、車ならではのトーチカの写真が興味を引きました。ソ連の侵略に備えた施設がロシアのウクライナ侵略を想起させますね。曇天の広大な草原の中に立つ廃墟は映画のシーンのようです。
私には北海道観光はいつも憧れです、回れるだけ回ります(笑)この後、屈斜路湖、摩周湖、阿寒湖、オンネトーと周りバスで釧路空港に戻りました。
ホルマリン君の「ここから苫小牧までが延々に長いのである……。」をうらやましく思います(^^)
返信する
>tadaさん (ホルマリン)
2023-04-26 20:05:48
トーチカの風景はいかにも最果てといった光景で感動しました。この情勢もあって色々と考えさせるものがありますよね。
本州からだと北海道は訪れるだけでも大変ですものね(^^;)
面積が広いぶん、tadaさんのプラン中々の強行軍…(笑)。
私は横浜の清潔感ある美しい街並みが憧れです……また行きたいm(__)m
返信する

コメントを投稿