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崖の突端に建つ魔女の館?
急斜面の住宅街を突き当りまで進むと家々が途切れ、草むらの中に延びるけもの道が。
いざなわれるように進んでいくと左手に海を見下ろすことができ、本当にこの一角だけが崖に突き出していることが分かる。
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派手なピンク色の割れた看板、年季の入った住居のような建物に身構えてしまうが、ここは堪えて扉を開けてみよう。
御年92歳!(訪問時)の女性店主と、不思議な雰囲気の娘さんが静かに出迎えてくれるはずだ。
私を歓迎するかのように、色とりどりのステンドグラスのランプやオペラのBGMが入れられると、そこはもう異界の飲食店。
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海を望める窓際の席に案内してもらい、看板メニューのオムライスセット(500円)をいただく。
自家製と思われるポテトサラダと、こちらは市販品と思われるコーンポタージュ付き。
おばあちゃん家のオムライス、という表現がぴったりの素朴な味だ。
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食後にお菓子の盛り合わせと大きなデコポンを出してくれ、思わず童話に出てきそうな場面だな、と思ったが、店主はとても気さくで良い人。
時おり口をおさえて高い声で笑うのが可愛らしくもある。
店内は少し年季が入って埃っぽいけれど、世界中の風景写真や不思議なアンティーク雑貨、来訪者が感想を書き記すアルバムのようなノートが置いてあって楽しい。
最近はテレビやネットのおかげで、内地からやってくるお客さんも居るらしい。
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このお店は約60年前、旦那様(故人)が海を見下ろせる立地を気に入り、岩場を削って建てたのだとか。
本物の岩が配置された旦那様こだわりの空間には、かつて使用していたという大広間の跡。
その先にはいびつな形の小さな扉があり、出てみるとぐるりと海が見渡せるベンチが。
昔はもっと賑わっていたのかな。
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普段は店主の使い(?)のネコさんがいるらしいのだが、この日は体調不良とのことで出会えず。
また来てみよう。
(2021年訪問)