(2024年訪問)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/93/788aa68e660c755f858f2ef8a3015161.jpg)
2000年3月31日、洞爺湖の南に位置する有珠山(標高737メートル)が、1977年8月以来23年ぶりに噴火した。
マグマ水蒸気爆発が最初に確認されたのは西山麓で、噴煙の高さは最高で3500メートルに達した。
翌4月1日には北西部の金比羅山にも新たな火口を次々と形成し、洞爺湖温泉街や湖畔を中心に多くの火山灰を降らせた。
一連の噴火により、西山麓の国道230号や町道を分断するかたちで火口列ができ、地殻変動で約70メートル隆起。
周辺の地形を全く違うものに変えてしまい、家屋の倒壊、インフラの損壊など多大な被害をもたらした。
幸い、3月下旬から群発地震が始まっていたこと、また前回の77年噴火の教訓が生かされたこともあり、噴火前に周辺住民の避難は完了しており人命の被害はなかった。
2002年、噴火災害を後世に伝えるべく、西山火口周辺に散策路が整備された。
隆起した旧国道、倒壊した家屋や電信柱などがそのまま残されており、見学者は噴火災害遺構を巡りながら被害の様子を学ぶことができる。
また09年には変動する大地を体感できる場所として、伊達市、豊浦、壮瞥、洞爺湖町の一帯がユネスコの「洞爺湖有珠山ジオパーク」に認定された。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/9f/b6ee81721bde7f538df9cca9183a2d2f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/f8/ab4c60971d3190ef39343c9e2ecf7683.jpg)
洞爺湖温泉街から西山火口散策路の入り口に到着するとまず現れるのが、寸断され沼になった旧国道230号。
もとは向こうに向かって下り坂だったのが、地面の隆起で谷になり、地下水や雪解け水をせき止める形になってしまったという。
地殻変動によるせき止め湖は世界的に見ても極めて稀らしい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/eb/b0717dae21f20680db8780c5afcd4e7f.jpg)
かつては主要な交通路だったとの事で、今も残る道路標識や電線などが生々しい。
そしてポツンと残る白い車(マツダファミリア)は噴火当時、報道関係者が乗り捨てていったレンタカーという。年月の経過によるものか、屋根はすっかり潰れてしまっている。
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沼のわきにあるピンクの建物(※記事最初の写真参照)は旧西胆振消防組合の本部庁舎で、現在、床は4%ほど傾き1階部分は浸水してしまっている。
資料展示室として内部を解放しており、噴火当時の写真パネルや噴出した火山弾などが展示されている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/65/62f782e1f12b5712c2ddc116dda2451d.jpg)
旧国道隣の旧町道沿いに上り勾配の散策路が延びており、まずは断層化したアスファルト路面を間近で見学できる。
地面が隆起し、地表が引っ張られたことで陥没した「グラーベン」と呼ばれる地溝で、世界的に重要な観察ポイントなのだとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/03/02dd7b02d0fc39b8f78aa3705f5cad3d.jpg)
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上り勾配の突き当りに、数個の火口が町道を寸断した「割れ目火口群」が現れる。
東西へ150メートルほどの長さで延びており、覗いてみると底が深く圧巻である。
ここが町道だったとは中々想像しにくいが、よく見ると断崖から折れた水道管が飛び出ているのが分かる。
また付近には折れた電柱が標識の高さまで埋まっており、ここの地形がいかに高く盛り上がったのかが分かる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/2c/011e98dfdee1cecd770eb1ace6bd7b2c.jpg)
火口群のフチに沿って木道が続いているのだが、この辺りは地熱帯らしく注意喚起の看板が立っている。
実はこの場所は小学生時代(2004年ごろ?)にも来たことがあり、当時はあちこちから蒸気が噴出しており地面も温かかったのだが、現在は湯気は見られず。
草木が生え始めているので活動は落ち着いているようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/43/48456afccb1ae04c9089ad95ae4c3eae.jpg)
程なくして、約70メートル隆起した頂上付近の展望台へと到着した。
町道の真上に開いた火口と、その向こうに内浦湾(噴火湾)と海沿いの街並みを見下ろすことができる。
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この展望台からは、昨年2023年に新しく整備された別の遊歩道「旧国道ルート」が延びている。
実は今回の訪問はこの新ルートを歩くのが大きな目的であった。先ほど見下ろした「割れ目火口群」の対岸に向かって急な階段を降りてゆく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/72/6d2edbd29677cd92c891a14d587d72a0.jpg)
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途中、一部を残して埋まってしまった重機を間近に見ることができた。
これは噴火の直前に水道管工事で使われていたが置き去りにされてしまったもので、これまでは対岸の展望場所からしか見られなかった。
火口ガイドなどでは必ず紹介されるポイントなので、近くで見られるようになって嬉しい限りである。
少し進むと、国道沿いに設置してあった電信柱もあった。電線までぶら下がったままだ。
こちらも半分以上が地中に埋まってしまっているようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/8c/fa7f02fa4a3df09f049bcc5a62d22989.jpg)
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地殻変動の影響でこの辺りの地形はアップダウンが激しく、散策していると汗ばんでくる。
火口付近では国道の形跡は全く無くなっているが、盛り上がった断層の上から旧国道を見下ろせる場所があった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/94/a67369cf8775902a94fc404afc809775.jpg)
数十メートル下に広がる旧国道は階段状になってしまっている。
そしてここにも道路標識やゲート上の構造物などが多く残る。これまでの既存ルートからは見えなかった光景で中々迫力がある。
また、不自然に折れ曲がった木があったが、これは火山灰が降って変形してしまったものであろうか。
続く。
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2000年3月31日、洞爺湖の南に位置する有珠山(標高737メートル)が、1977年8月以来23年ぶりに噴火した。
マグマ水蒸気爆発が最初に確認されたのは西山麓で、噴煙の高さは最高で3500メートルに達した。
翌4月1日には北西部の金比羅山にも新たな火口を次々と形成し、洞爺湖温泉街や湖畔を中心に多くの火山灰を降らせた。
一連の噴火により、西山麓の国道230号や町道を分断するかたちで火口列ができ、地殻変動で約70メートル隆起。
周辺の地形を全く違うものに変えてしまい、家屋の倒壊、インフラの損壊など多大な被害をもたらした。
幸い、3月下旬から群発地震が始まっていたこと、また前回の77年噴火の教訓が生かされたこともあり、噴火前に周辺住民の避難は完了しており人命の被害はなかった。
2002年、噴火災害を後世に伝えるべく、西山火口周辺に散策路が整備された。
隆起した旧国道、倒壊した家屋や電信柱などがそのまま残されており、見学者は噴火災害遺構を巡りながら被害の様子を学ぶことができる。
また09年には変動する大地を体感できる場所として、伊達市、豊浦、壮瞥、洞爺湖町の一帯がユネスコの「洞爺湖有珠山ジオパーク」に認定された。
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洞爺湖温泉街から西山火口散策路の入り口に到着するとまず現れるのが、寸断され沼になった旧国道230号。
もとは向こうに向かって下り坂だったのが、地面の隆起で谷になり、地下水や雪解け水をせき止める形になってしまったという。
地殻変動によるせき止め湖は世界的に見ても極めて稀らしい。
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かつては主要な交通路だったとの事で、今も残る道路標識や電線などが生々しい。
そしてポツンと残る白い車(マツダファミリア)は噴火当時、報道関係者が乗り捨てていったレンタカーという。年月の経過によるものか、屋根はすっかり潰れてしまっている。
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沼のわきにあるピンクの建物(※記事最初の写真参照)は旧西胆振消防組合の本部庁舎で、現在、床は4%ほど傾き1階部分は浸水してしまっている。
資料展示室として内部を解放しており、噴火当時の写真パネルや噴出した火山弾などが展示されている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/65/62f782e1f12b5712c2ddc116dda2451d.jpg)
旧国道隣の旧町道沿いに上り勾配の散策路が延びており、まずは断層化したアスファルト路面を間近で見学できる。
地面が隆起し、地表が引っ張られたことで陥没した「グラーベン」と呼ばれる地溝で、世界的に重要な観察ポイントなのだとか。
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上り勾配の突き当りに、数個の火口が町道を寸断した「割れ目火口群」が現れる。
東西へ150メートルほどの長さで延びており、覗いてみると底が深く圧巻である。
ここが町道だったとは中々想像しにくいが、よく見ると断崖から折れた水道管が飛び出ているのが分かる。
また付近には折れた電柱が標識の高さまで埋まっており、ここの地形がいかに高く盛り上がったのかが分かる。
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火口群のフチに沿って木道が続いているのだが、この辺りは地熱帯らしく注意喚起の看板が立っている。
実はこの場所は小学生時代(2004年ごろ?)にも来たことがあり、当時はあちこちから蒸気が噴出しており地面も温かかったのだが、現在は湯気は見られず。
草木が生え始めているので活動は落ち着いているようだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/43/48456afccb1ae04c9089ad95ae4c3eae.jpg)
程なくして、約70メートル隆起した頂上付近の展望台へと到着した。
町道の真上に開いた火口と、その向こうに内浦湾(噴火湾)と海沿いの街並みを見下ろすことができる。
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この展望台からは、昨年2023年に新しく整備された別の遊歩道「旧国道ルート」が延びている。
実は今回の訪問はこの新ルートを歩くのが大きな目的であった。先ほど見下ろした「割れ目火口群」の対岸に向かって急な階段を降りてゆく。
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途中、一部を残して埋まってしまった重機を間近に見ることができた。
これは噴火の直前に水道管工事で使われていたが置き去りにされてしまったもので、これまでは対岸の展望場所からしか見られなかった。
火口ガイドなどでは必ず紹介されるポイントなので、近くで見られるようになって嬉しい限りである。
少し進むと、国道沿いに設置してあった電信柱もあった。電線までぶら下がったままだ。
こちらも半分以上が地中に埋まってしまっているようだ。
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地殻変動の影響でこの辺りの地形はアップダウンが激しく、散策していると汗ばんでくる。
火口付近では国道の形跡は全く無くなっているが、盛り上がった断層の上から旧国道を見下ろせる場所があった。
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数十メートル下に広がる旧国道は階段状になってしまっている。
そしてここにも道路標識やゲート上の構造物などが多く残る。これまでの既存ルートからは見えなかった光景で中々迫力がある。
また、不自然に折れ曲がった木があったが、これは火山灰が降って変形してしまったものであろうか。
続く。
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