ホルマリンのマンネリ感

札幌出身苫小牧在住、ホルマリンです。怪しいスポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、一人旅、昭和レトロなどなど…。

日本一危険な参拝旅 積丹・西の河原編(前編)

2016-09-19 02:20:48 | ホルマリン漬け北海道 秘境編


神の遊びし入り江、願いはそこに残りつづける
西の河原(北海道古宇郡神恵内村珊内)

積丹半島の西側、神威岬から岩内方面に数キロ下った場所に「西の河原(さいのかわら)」と呼ばれる場所があります。
場所は神恵内村の端ということになるらしい。
日本全国に「賽(西)の河原」と呼ばれる霊場はいくつかありますが、ここ神恵内村の西の河原は「ジュウボウ岬」と呼ばれる小さな半島の付け根部分にあるようです。
私は長らく、この霊場の行き方はおろか正確な場所すらも知りませんでした。ネット検索をしても、ヒットするのは国道沿いの普通の海岸の画像のみ。てっきり「西の河原なんて名ばかりの場所だな…」なんて思いこんでいたのですが、いざ訪問するにあたって改めて調べてみたところ、今回の真の場所が判明したというわけです。

ウワサによると「遊歩道は封鎖され…」「海岸沿いを数十分歩き…」などと訪問は容易ではないとのことですが…果たして?

8月6日(土)

半日以上かけてせたな町の太田山神社の訪問を果たした私は、そのまま車で折り返して寿都町まで戻りました。
午後6時、眠い目をこすりつつ辿り着いたのは、スマホで見つけた日帰り温泉施設「ゆべつの湯」。
入館料500円で山登りの汗を流してサッパリ。ついでに休憩コーナーでヴォリュームたっぷりの天丼を食べて満足満足。

この施設はキャンプ場が併設しており、駐車場には旅人のバイクがたくさん。隣の広場ではライダー達が宴会の真っ最中でした。
この場所が丁度いいや!ということで、そのまま車のシートを倒して車中泊することに。
私が乗っているスズキエリオというマイナー車はトランク容量が大きいのが自慢。後部のシートを倒して身体をナナメにすると、身長168の私なら足を延ばせる事が判明。おかげで朝までグッスリでした(*^_^*)。


翌8月7日、朝6時に気持ちよく起床し、再び積丹半島へ向けて北上。
途中でとまりん館に寄り道したりしつつ…(後日取り上げます)

午前11時、「西の河原」付近に到着!

西の河原トンネル」と「大天狗トンネル」の間に小さな駐車場があり、そこへ車を乗り入れます。
海水浴か釣り目当てと思しき車が2~3台停まっているだけで非常に静か。かつては駐車場に面してレストハウスがあったといいますが、近年解体されてしまったらしく何もありません…。
話によると、この駐車場から海岸沿いをしばらく歩くと「西の河原」に辿り着けるらしいのです。

それにしても、バス停の名前が「西の河原」ってなんかイヤですね…(^_^;)笑

国道より「西の河原」方面を望む

あの尖った先端がジュウボウ岬か?と思いましたが、地図を見ると違いました。
尖った部分を越えた向こう側に、小さく半島状に飛び出した岬と、その付け根に存在する「西の河原」が隠れるように存在しているのです。
…かなりの距離を歩く事になりそうです。


涼しい服装に着替え、駐車場から海へと降ります。
ここはまだ普通の海岸で、かつて私が見た「西の河原」の画像はこの場所を写したものだったと思われます。
さっそく「ジュウボウ岬」方面へ、ひと気のない海岸沿いを歩いていきます。
…転がっているのは大きな石ばかりで、随分と歩きにくく疲れます


15分ほど歩き続けると、しばらく先に年配の男性が歩いているのに気付きました。
岩場を探検するのには適していなさそうなごく普通の服装で、遠目に見ても少し心配になりました…。
この場所、参拝に訪れる人は意外と多いのでしょうか。


来た道を振り返ってみると、さっきまでいた駐車場が小さく見えました。
そして私の後ろからもキャンプ用具?を背負った若者3人組が歩いてきています。

さらに歩いていくと…険しい岩場が。

画像では伝わりにくいですが、起伏がかなり激しく非常に危険。
岩の裂け目は2~3メートルほどありそうな箇所も多く、もはや素人は歩くべき場所じゃありません(笑)。
想像よりも遥かに険しい行程に冷や汗が…(^_^;)。

「太田山神社のオマケ」的な軽い気持ちで来てしまった自分を責めつつ、慎重に進みます。

大きな岩をよじ登ると、先ほど遠くに見えた年配の方がいらっしゃいました。
私を見つけると「この先ってどうなっているかご存知ですか?」と話しかけてきました。
なんでも、随分と前に西の河原を訪問された事があるらしく、あの場所をもう一度見たくてここまで来たといいます。
遊歩道が無くなっちゃったから、すっかり来るのも大変になっちゃったね。」と残念そうです。


おじいさんと共に、なんとか岩場を攻略。
駐車場から遠目に見えていた岩壁、いったいどうやって越えればいいのか?と心配していましたが、ちょうどよく壁に裂け目があり、斜面を登って行けば難なく越えられそうです。
おじいさんが心配で待っていたら、後から来た若者3人組に抜かれてしまいました…(^_^;)笑。

斜面を登りながら、おじいさんは色々と思い出話を聞かせてくれました。
昔から探検するのが大好きならしく、駒ケ岳が噴火したときは噴火口を覗きこんだらしいです。
しかも、こんな服装でね(笑)」と自信のポロシャツとズボンを指さし、少年のような笑顔を浮かべていました。


さて、予想以上に険しかった「ジュウボウ岬」および「西の河原」までの道のり。
岩壁の間の斜面を登りきると、ようやく努力が報われました。


見えた!!!
半島状に突き出した岩山の向こう側が「ジュウボウ岬」、そしてそこへと通じる細長い陸地部分、小さな小屋があるのがお分かりでしょうか?
あの辺りが、目指す西の河原!!小屋の正体は地蔵尊のようです。

私に続いて登ってきたおじいさんも、目の前に現れた秘境の景色に感動していました。
実は先月、ウチの猫が亡くなってね。10年以上一緒だったから辛いんだ。」とポツリ。
彼がこの地を訪れたのは、そういう理由もあったのかな。



ようやく西の河原を望むことが出来ましたが、まだ油断はできません。
斜面の向こう側にも、険しい岩場が続いていました。
歩ける場所を探しながら、巨大な岩の間を登ったり降りたり。雨の日じゃなくて良かったです。
ようやく平坦な海岸に降り立つと、そこには昔の遊歩道と思しき階段が草に埋もれていました。
私がむかし歩いたのはこれだったんだな。」と、おじいさんは再び感慨深げです。



次回……ついに聖域へ足を踏み入れる。
続く。
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日本一危険な参拝旅 太田山神社編 その3

2016-09-03 01:29:39 | ホルマリン漬け北海道 秘境編
8月6日(土) 13:25

登山開始から45分ほど。木々の間から切り立った岩肌が見えてきました。
これは麓の集落から見えた太田山の山頂部分に違いない。
ということは、本殿はもうすぐか?

相変わらずゴツゴツした斜面を登りきると、年季の入った木製の鳥居が現れました。



…この鳥居に辿り着いたら、太田山神社の最後の難所はもう目前というのをどこかで読んだ気がします。
鳥居の下で岩に座って休憩していると、岩肌の向こう側から悲鳴が(!!)
恐らく、私の前に登って行ったスポーツカーのカップルだと思われます…。


鳥居はなぜか不自然に折れています(^_^;)。これも落石のしわざでしょうか??
そしてその先の参道を覗いてみると、木々がなく視界が開けています…。こりゃもうホントに断崖絶壁のすぐ縁まで来ているようです。

写真撮っていると、道の先からスポーツカーのカップルが戻ってきました。
さっき出会ったカップルも結構若かったが、こちらのカップルも私とそれほど年齢は変わらなさそう。
近年は私のような探検目当ての若者に人気なのでしょうかココは。

話してみると、彼らも本殿まで行ってきたといいます。
橋のほうが滑るんで気を付けてください♪」と高身長の彼氏。

…わかりましたよ。私もそろそろ行きましょうかね。


なんだこりゃ…
目の前に現れたのは、ボロボロの橋の根元と思われる部分。ずいぶんと角度が急ですが…。
幾本ものロープやネットで無茶苦茶に固定されているのに恐怖を感じるというか(^_^;)。

参道はこの橋の向こうに続いているようですが、橋の先を見て絶句。


…コレ大丈夫ですか??



そこに見たのは安全が保障されているとはとても思えない通路でした(汗)。
今まで歩いてきた参道と、険しい岩壁の僅かな空間に架かるこの橋、数十メートルの高さはありそうな空中を結んでいます。
それにしてはあまりにも頼りない(^_^;)。


岩の上に置かれているようにしか見えないのですが、一応サビサビの鉄の棒や鎖でも固定されているようです。しかしどこに繋がっているのかもよく分からない…。

鉄製の柵は錆びて腐り落ちたのか落石がブチ当たったのか分かりませんが、大部分が消失しておりネットで処置が施されている状況…。立ち入り規制されていないのが不思議なくらいです。
ここ、参道の整備は定期的にされているのでしょうか…。さすがに神社の関係者であっても、あれほど厳しい山道を頻繁に登っている訳にもいくまい。

予想以上の高所と橋のボロさにビビりましたが、意を決して渡ります。




怖すぎィィ!!!!
足元の網はペラッペラで、足を置くとかなり沈みます。
しかも、さっきスポーツカーの彼氏が言ってた通りにスベるスベる。
網の間から下を覗くと、はるか下に生えている草木が小さく見え、果たして自分はこんなフニャフニャな網に全体重をかけていて良いのかどうかと不安になります(^_^;)。
そして橋の上から振り向くと、背後の景色がこれまた恐怖。



皆さん、斜面の下に岩場と道路が見えるでしょ?
あそこ、山に登る前にお参りした拝殿がある場所です。目を凝らして見ると確かに麓の各設備が小さく見えます。
そして白い物体があるなと思ったら、公衆トイレ横に止めた自分の愛車でした(汗)。

さらに皆さん、一面に広がる海の向こうには奥尻島が見えます!!
(注:「その1」の冒頭の写真を参照)


腰が曲がりきったおばあさんのような体制で、何とかヒイコラ橋を渡りきりました。
何度も言いますが私ホルマリン、高所ダメダメなんですよ…。

相変わらずどこに結ばれているのかも分からない橋に戦慄するも、辿り着いた岩壁の光景を見て
戦意喪失。


これは……。

なんと橋の先の岩壁にはジャラジャラと錆びた鎖が垂れ下がっており、その先には岩屋が。
そして皆さん、岩屋の中に木製の屋根が見えるのがお分かりいただけますでしょうか?
あれが太田山神社の本殿!!

つまり、この崖を登りきらなければ本殿へのお参りは不可能だということ。
これが、太田山神社の最後にして最大の難関、垂直崖登り。


崖の高さは7~8メートルといったところでしょうか…。
しかし周りの景色のせいで高所感がハンパないです(^_^;)。

登るための鎖がこれまた恐ろしく、ハシゴのように固定はされておらず左右にブランブラン揺れます。
岩肌はせり出している箇所もあり、もし手を滑らせてしまえば数十メートルの崖下に落下してしまう可能性も有り得る。
もし参道のわずかな空間に落ちて助かったとしても大怪我は免れないでしょう。

私は既に、今いる参道の高さにビビりまくっています。
これからこの数メートルの崖を登りきる自信はない。
登りきったとしても、今度は降りる時が余計に怖い。というか想像もしたくない。
そもそも、私は公園の鎖を登る遊具が苦手でした。近づいたこともほとんど無い(怖いから)。

こんな私がチャレンジできるわけないよね。
うん。みんな、許してね。


ホルマリン、
無念の 撤 退!!!


最初の鳥居の部分で既に諦めかけていたのですが、いざ実物を目の前にしてみると想像以上でした。
いつも無謀なホルマリン君なら辿り着けるでしょ~!」なんて思ってくれていた読者の皆さん、ご期待に添えず申し訳ありませんm(__)m。実は私、ヘタレなんで。

しかし、それ以前に
高い所は
ガチで、無理。




午後3時、無事に麓まで戻ってきました。
言い訳がましくてアレなんですが、この神社、参拝者の半数が本殿の手前で諦めてしまうようです。クライミングに自信のある選ばれた者のみが、あの崖の上の岩屋に辿り着けるというわけ。

私はムリでした。
やはり「日本一危険な神社」は只者ではありませんでした。


…ちなみに乃木坂46のメンバーは、ハーネス装備で4人とも崖の上まで登りきっていました。

結局、年下の少女たちに
負けた。



険しい登山のせいで汗ビショビショ、そして何と言っても両足首を10か所以上虫に刺されたので腫れてきました…(^_^;)。
ボロボロの身体で辿り着いたのは、せたな町はずれの小さな海水浴場。音割れまくりのスピーカーから桑田圭祐の曲が大音量で流れ続ける素敵な場所です(笑)。

明日も行きたい場所がいくつかあるので、ここを折り返し地点としましょうかね。
次はいつ見られるか分からないせたな町の海を眺め、再び車に乗り込みました。


2日目、海岸の向こうの「忘れられた霊場」を目指す。
しかし、こちらの危険度も想像以上だった…!


「日本一危険な参拝旅
積丹 西の河原編」へ続く。

コメント (13)
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