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ホルマリンのマンネリ感

北海道在住、ホルマリンです。旅行、怪しい珍スポット訪問、廃墟潜入、道内ミステリー情報、昭和レトロなどなど…。

札幌穴場スポット 第9回 中川ライター店

2014-12-25 23:20:25 | 好きです札幌
久々の「穴場スポット」シリーズです!(^-^)
おい!せっかくのクリスマスなのにアレの続編はどうした!?このタイミングで珍スポネタかよ!!」というお叱りの声が聞こえてきそうです(笑)。

聖夜はバイト帰りにココを取材してきましたよ。最近は札幌市民に何かと話題になっている場所です。

~惜別!!中川ライター店~
(中央区南3条西4丁目)







札幌中心部・狸小路4丁目どまんなかにたたずむ「中川ライター店」。
真新しいカラオケ店や飲食店の狭間に「いったいいつから建ってるの!?」と思わずにはいられないその外観。看板なんて今にも崩れてきそうだ。
これまた年季の入ったぺらぺらの木の扉を開けて中へ入ってみると…大量のたばこに見たことも無いような珍グッズ、奥にはプラモの山に鉄道模型。
なんというか、ここだけ時空が歪んでいる…。札幌人には超有名な狸小路の魔境。
男子なら一度はお世話になった事があるかもしれない(最近は分からんけど)。

そんな「中川ライター店」が、ついに来年1月末をもって閉店することが決定してしまった。
創業は1902年(明治35年)とのことで、じつに113年の歴史を持つという事が驚きである。当初は狸小路3丁目に店を構えていたが、1945年に現在の場所へ移転。それ以来、約70年間この場所に建っていることになる。
かつては進駐軍の影響により煙草やパイプを多く扱っていたが、オーナーの趣味でプラモデルなどの模型を扱うようになり、現在の店構えになったようだ。
その年季の入った雰囲気のおかげでテレビ等の取材も多く受け、最近ではアジアの観光客が興味を魅かれて訪れることも多いらしい。「嬉しいけど、外国語への対応が大変」と店員さんがおっしゃっていた覚えがある(笑)。

閉店を前にして、最近は再びメディアで多く取り上げられるようになり、注目が集まっている。
「閉店セール中」の張り紙を横目に久々に足を踏み入れてみると、店内を見学するお客さんで溢れていた。
そしてやはり、時空の歪んだようなあの不思議な空間は健在であった。

※許可をいただき撮影しました。


豊富な品ぞろえのタバコが並ぶメインのカウンター。隣のガラスケースにはこれまた様々な種類のカッコいいパイプ各種。雰囲気があります。


カウンター向かいには、手品グッズやお面といったパーティーグッズが多く並ぶ。個人的に「中川ライター店」といえばこの雰囲気。それにしても扉の年季の入り具合がすごい。




ガラスケースをよく見ると、何やら怪しい品々が…。下ネタ系も多し(笑)
何年も前からここに飾られているような気がする。


ゲテモノ系くじにグロ・ホラー系マスク。こんな素敵なモノを売ってるお店も減りましたね…。


(左)男の天国、プラモコーナー。幼少の頃に家族に連れてきてもらった時には年代物のプラモが大量に積まれていた記憶があったが、ここ数年はだいぶ規模が縮小してしまっていて残念であった…。


存在感抜群の看板は、当時道内一の腕前を誇る職人が制作したという。
狸小路最古の歴史を持つ名物店がもうすぐ消えてしまうとは、これまた何とも悲しい…。みなさん、無くなる前にぜひ訪問を。

(中川ライター店…2014年12月訪問)
コメント (2)
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札幌ミステリー調査局 第8回

2014-11-10 13:12:57 | 好きです札幌
こんにちは~。
このブログ、もうすぐ開設1000日を迎えますよ!
最近はネタもそれほど無く元気のない状態が続いていますが、近いうちに1000日記念として適当~なまとめ企画でも出来たらな~と思っています。

それでは今回のミステリーネタ。短いですけどどうぞ。


西区発寒・「インパクトのある」自転車屋さんとは!?


今回のネタは、ブログ『ぱるるんの「札幌・発」気まま~な日記』を運営されているぱるるんさんから頂きました。以前に紹介した「謎の鍵屋さん」に続いて2回目の情報提供、本当にありがとうございますm(__)m
前回のミステリー記事にコメントして頂いたのですが、西区発寒・新琴似通り沿いのとある自転車屋さん
インパクトのある店名なのだそう。
いったいどのようなお店なのでしょう?ワクワク♪


11月某日。


え~…、西区に用事があったので、そのついでに地下鉄東西線「発寒南」駅へ。
すっかり時間が遅くなってしまったので真っ暗です(^_^;)
別にホラーテイストを狙ってこんな時間に取材したわけではありませんので(笑)。


駅の周辺にて、問題の自転車屋さんを探します。
すると。道路沿いにすぐサイクルショップを見つけました。


最初に目に飛び込んできたのはコレ!

「自転車操業中」!!

この看板自体もなかなか個性的でインパクトがありますね!(笑)
一瞬、これがお店の名前なのかとも思いましたが、建物を見て二度ビックリ。


準備はいいですか?
暗いので見えづらいんですが、どうぞ。



「サイクルショップ冬眠」。

……。

雪の降り積もる北国では説得力ありすぎな店名ですね(^_^;)。店長に同情します。
やはり、これからの時期は冬期間休業するのでしょうか?

あぁ~、もうすぐ自転車シーズンも終わりかぁ~。
今年は稚内・宗谷岬まで頑張って付き合ってくれた我がママチャリ君も、もうすぐガレージで冬眠してしまいます…。


結論:
VOW」に投稿したくなるような店名ですwww



おまけ。

「発寒南」駅周辺、何気に思い出深い場所です。
僕が幼稚園~小学校低学年ぐらいの頃、この辺には『模型のひろ』なんていう立派な模型店があって、親によく連れてきてもらいました。
簡単なプラモデルを毎回買ってもらって、父に手伝ってもらいながら制作したのが何とも懐かしい。
しばらく経った後、久しぶりに訪れた時はマンションの1階部分に規模が縮小していて、悲しい気分になったと共に「経営大変なのかな…」と子供ながら心配した覚えがある。
現在はお店自体が閉店してしまったようで、どこを探しても存在していなかった(泣)。

たぶん、現在は美容室になってしまっているこの場所だったと思う。

完。

札幌の謎&ミステリー情報を募集しています!
「こんなのを見た!」「こんな場所を知っている!」などありましたらコメント欄に是非!
僕の興味を惹くものがあれば、当コーナーのネタにさせていただきます。

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札幌ミステリー調査局 第7回

2014-11-04 12:06:07 | 好きです札幌
このブログ…最近パワーダウンしてますよね…(笑)。
1週間に1回の更新で何とか生存している感じです(^_^;)

皆さん、どうかこれからもの~んびりと更新をお待ちいただけたらと思います。すいません。
それでは、地味に人気のあるこの企画、7回目をどうぞ。


手稲区星置に、珍しい郵便ポストが出現したらしい…。


今回の情報源は、ついこの前の北海道新聞です。
地域の欄に堂々と紹介されていたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
星置地区の新たな名所にもなりそう?な今回の物件。さっそく見に行ってみましょう♪

10月下旬・某日。


学校が午前で終わったので、昼食を食べてそのまま手稲区・星置地区へ。
このあたりの星置駅前エリアは初めて訪れました。

あのね…。ずいぶん遠いんですよ、ココ。
寄り道をしながら来たので、既に日が暮れかけています。急がなければ。


それにしても手稲区、虫が多すぎて参りました。
数え切れないほどの小~さな虫がそこらじゅうに飛んでいて、あっという間に体中にビッシリ。
何度も立ち止まって服を払い、自転車にとってはまさに地獄でした(^_^;)


…それはともかく。
駅から少し逸れた場所に、目指す「星置駅前郵便局」がありました。



問題のポストは建物の前に堂々と鎮座していたので、すぐに分かりました。
これかー!!


可愛い!
ポストとは思えぬ水色のカラーリングに、たくさんの星の模様。


うしろ側にまわり込んでみても、見事なまでに水色カラーに変更されていて隙が無い。
なお、ラッピングで色を変えているのかと思いきや、しっかりとポスト本体に塗装されていることが判明。近づいてよく見てみると、錆びた部分に上塗りされているのが分かります(後ろ側にネコの自縛霊が写りこんでしまいましたが、気にせぬよう…笑)



まず、ポストのある「星置駅前郵便局」自体も同じカラーリングで、かなり目立ちます♪
星置」の地名から「空」と「星」をイメージしているそうで、建物の方は3年ほど前からこのカラーでしたが、ポストが塗り替えられたのはつい最近の事なんだとか。
実はポストには「赤色でなくてはならない」という決まりは特に無く、カラーが異なっていても問題はないそうです。
道内ではこの色のポストは初めてという事ですが、全国的にはどうなのでしょうか。
京都などには景観に配慮して、茶色のポスト等があるらしいですが…。

結論:
珍しくて可愛い!ぜひ見に行ってみてください♪



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札幌ミステリー調査局 第6回

2014-10-24 18:19:27 | 好きです札幌
皆さんこんにちは。久しぶりの「札幌ミステリー」シリーズです。
前回の「厚別のプレーリードッグ」ネタの更新が6月30日とあるので、なんだかんだ言って約4か月ぶりですよね。
ほとんど忘れ去られた企画のような気がしますが、これからも不定期で更新していこうと思っておりますので。
では、第6回目どうぞ。


標高世界8位「マナスル」の名を持つ山が
南区に存在するらしい…。



マナスルとは、ネパール・ヒマラヤ山脈にそびえ立つ標高8163メートルの山の名前。
同じヒマラヤ山脈のエベレストよりは知名度の低い存在ですが、実は日本人が初めて登頂に成功(1956年)したという記念すべき山なのです。
2013年に「世界の果てまでイッテQ」でイモトが登頂したことで名が知られるようになりました。

…そんな「マナスル」の名が堂々とつけられた山が、なんと札幌市南区にひっそり存在しているというではありませんか。
恐らく、市内のかな~りの山好きにしか知られていないようなマイナー山だと思われます。

その名も「藤野マナスル」。


……なんか「藤野」という地名が付いた途端に一気にショボくなったような気がしますが(笑)、とにかく大層な名前がつけられたもんだ。
「世界第8位の山」を名乗るだけあってかなり標高の高い山なのでしょう。

「藤野マナスル」、果たしてどのような山なのでしょう?さっそく取材にGOだ!


10月下旬・某日。


本日は学校もバイトも休み。気持ちの良い快晴の中、チャリで南区藤野へ。
定山渓へと通じる国道230号線を途中で左折し、「藤野1号線」へと入る。


すぐに「北海道文京大学短大部」へと通じる細道を登っていきます。
こっちの方に登山道があるらしいんだけど…。

自転車を止めて少し歩くと、学校の敷地になっていました。「関係者以外立ち入り禁止」って書いてあります…。
入り口に管理事務所があったのですが、人のいる気配がありません。

ちょっと躊躇しましたがそのまま突破。
何か注意されたら正直に事実を話せばいいんです!(←マネしない事をオススメします…)


う~ん。下手すりゃ通報されそう…。こっち行っていいのか?
落ち着かない気持ちでそそくさ通り抜けます。

すると、校舎の裏にひっそりと森へ通じる入り口が!

ここか…。

そしてやっぱり↓コレがあった…。

本日のマナスル登頂、最も怖いのはクレバスでも雪崩でも高山病でもなくヒグマである。
この時期の南区はとにかくヒグマの出没件数が多いのである。
周辺の山々から下りてきているので、これから彼らの生息域に立ち入っていくと思われます。
個人で山へと分け入るのはさすがに怖いんですが…。


11:40 登頂開始。
ヒグマにおびえながらマナスル登頂プロジェクト(笑)。ついにスタートです!


この辺はまだ学校の敷地内らしく、道も開けていて「小鳥の広場」なんていう可愛らしい名前が付けられています。
道沿いに建つ木々には、小学校の生徒によって書かれた川柳の札がくくりつけられていて、微笑ましいような少し気味悪いような…(笑)。



足元が悪くなってきて、次第に急な斜面になってきたところで、分岐点が現れました!
立て看板があったので見てみると…。

「藤野マナスル」の表示が!!
堂々と書かれていますね!♪

すぐ近くの木の根元にも、古臭い看板がひっそりとありました。

「さくらカラー」!!いったいいつの看板だよ!
僕は平成生まれなんでさっぱり分かりませんが、読者の中にはご存知の方もいらっしゃると思います。
思いがけず、こんな山中で貴重な遺物を発見です。時が止まっていますね。

小さなプレートが落ちていました…。

落ち葉をよけて見ると、やはり「藤野マナスル」の文字。「岡田の山」というのはこの山の別称かな?


分岐点をさらに進むと…。
登山道が無い!!

いきなり踏み跡は深い笹藪の中。道っぽい部分を探しながら強行突破します。

この登山道、あんまり人も訪れていないようですね(^_^;)
…藤野マナスル、なんだか忘れ去られた山のような気がします…。

ひたすら深~い森



見晴台」だってさ…。何も無いし、何も見晴らせません。


いちおう案内のプレートは健在。
うっすらと残る踏み跡をたどって、緩やかな斜面を歩いていきます。


所々に小さなクモが巣を作っていて、地味に顔や足に絡まるので大変です。
ふぅ。7月のオタモイ海岸が思い出されます。海の次は山か…。


10数分ほど森の中を歩くと、こんもりとした部分が見えてきました!

まちがいない!あれが頂上だ!
ホルマリン、ついにマナスルの頂上を捉えましたぞぉ~!


12:00、山頂アタック開始。

頭の中で、あの中島みゆきのテーマ曲が流れ出します(笑)。
ついに目指す山頂が…。
まぁあっという間でしたけど。(^_^;)

12:05 登頂成功!

登山開始から約20分。もう山頂!?


藤野の街並みがちょこっと見えます…。


それなりに高いですが、木々が邪魔なので見晴らしは微妙~。

…下山しますか。



標高316メートル。登山時間20分。

なんか地味~な山ですね~(笑)。


最後に。

「藤野マナスル」の名前の由来について調べました。
最初に述べたように、ヒマラヤ山脈の本家マナスルは日本の登山隊が初めて登頂に成功した山。
この出来事に感銘を受けた小沢広記氏という人物が、麓にある藤の沢小学校の生徒たちに夢と希望を与えたいと考え、「岡田の山」と呼ばれていたこの山に「マナスル」の名を付けたとのことでした。

山は小さいけれど名前は大きく。子供たちに願いを込めて。
何とも温かい話ではありませんか!

結論:
誰もが気軽に親しめる小さな山でした♪
(でも忘れ去られている…。)

みなさん、ハイキングコースに是非!
…ただひとつ言っておくと、下山の際に登山道があまりにも不明瞭すぎて遭難しかけたので気を付けてくださいね(笑)。
あとヒグマに注意。

完。

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るびあ

2014-08-12 22:31:15 | 好きです札幌

珍しく朝早くに目が覚めた。

もしかしたら自分一人?と怖くなって横を向くと、隣のベッドに母がいた。

窓から差し込む朝日のおかげで逆光になっていたが、こちらをやさしい笑顔で見ているのがわかった。

すべてが無事に済んで、ほっとしたような満足げな笑顔だった。

「あぁ、ついにこの時がきたのか…!」と、僕はベッドの中でワクワクした。


残念ながら、この後の肝心の場面は全く覚えていない。
かれこれ15年以上も前の記憶である。

あれ以来、久しぶりにこの場所を訪れた。
残念ながら建物はとっくの昔に解体されてしまったようで、資材置き場になってしまっていた。

しかし、目の前に広大な児童公園が広がっているのは相変わらずであった。





目を閉じると、かつての記憶がボンヤリと、途切れ途切れに浮かび上がってくる。

当時4歳であった僕は、親に付き合わされてずっとこの場所に滞在していた。
ここに居なければいけない理由があったからだ。
しかし、僕はずっと退屈だった。


「●●クンにこれあげるよ!」
ある日、従業員のおばさんが僕にプレゼントを渡してくれた。

見たことも無いくらいに古い、ボロボロのセドリックのトミカ。
ベッドの隙間に落ちていたものだそうだ。
おそらく以前に滞在していた子供が忘れていったものだろう。

変な赤い模様が入っていたそのトミカは、天井部分に小さな穴が開いていた。
「あぁ、タクシーのミニカーだ。上の部分が取れちゃったんだ…」
と少し後になってから分かった。

当時から古いものが大好きだった僕は、この思わぬプレゼントが非常に嬉しかった。

お気に入りのミニカーだったはずだが、現在はどこかに行ってしまった。





ある日、父に連れられて近所に買い物に出かけた。
父もずっと退屈していた。
家族がみんな、「その時」を待っていたのだ。

近所と言っても、まだ幼い僕にとっては長い長い道のりであった。
こうして久々にその距離を歩いてみても、それなりの距離がある。
よくこの距離を歩いたものだと我ながら感心する。

雨上がりの、じりじりとした日差しがとても不快だ。
すれ違う人々が、みな暑さに顔を歪めている。

目を閉じると、再び過去の記憶が浮かび上がる。


どんよりと厚く雲がかかった空の下に、青い大きな看板が見えた。
長い道のりを歩き、ようやく辿り着いたスーパーマーケット。
手前の横断歩道がやけに大きく感じられた。

この時もミニカーをもらった。
退屈しているだろうと思った父が、僕に買い与えてくれたプレゼントである。

あまり売っていないような、少し古い形をしたものであった。
古いもの好きの僕は、やはり喜んだ。

このミニカーは、恐らくまだ部屋の奥に眠っているだろう。





この周辺の記憶はほとんどないが、近くの道路沿いに小さな喫茶店があったのは覚えている。

ひらがな三文字。

屋根に掲げられた3枚のパネルに一字ずつ、巨大な白文字で書かれていた。
丸っこく書かれたその三文字が、子供の目には面白く映った。

やはり空は厚い雲に覆われ、どんよりとしていた。


その三文字の店名がどうしても思い出せない。

親に何度か聞いてもすぐに忘れてしまう。
聞いたことも無い単語である。


あの喫茶店はまだあるのだろうか、と探してみたが、どこにも残っていなかった。
残念ながら、あの可愛らしい3つのひらがなを再び見ることは出来なかった。

あの三文字を見るために、僕はまた目を閉じる。
そして遠い過去へと戻る。


珍しく朝早くに目が覚めた。

もしかしたら自分一人?と怖くなって横を向くと、隣のベッドに母がいた。

窓から差し込む朝日のおかげで逆光になっていたが、こちらをやさしい笑顔で見ているのがわかった。

すべてが無事に済んで、ほっとしたような満足げな笑顔だった。

「あぁ、ついにこの時がきたのか…!」と、僕はベッドの中でワクワクした。


家族みんなが待ち望んでいた、記念すべき日がやっと来た。
その日から、僕は「おにいちゃん」になった。
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