「盆藤(ぼんとう)」という言葉を、初めて知った。
藤の盆栽。
その盆藤ばかりを展示した「盆藤展」を見物に、
奈良へ遠征してきた。
上の写真は、天井まで届く、巨大な藤。
樹齢80年と書いてある。
会場は、旧 興福寺 世尊寺(現在は国際セミナーハウス)
重厚な建物にふさわしい、気品と迫力そなえた花。
館内は甘い香りで満ち、
めくるめく美の世界に、気が遠くなりそうなほど。
出品されている約40鉢もの盆栽は、すべて
奈良で盆栽園を営む生駒泰寛さんの作品なのだとか。
卓越した技術と感性、そして
植物への愛情、根気、
ただもう敬服するばかりです。
.
床の間のしつらい
藤には「ノダフジ」と「ヤマフジ」の2種類があるということ、
これも今まで知らなかった。
藤は、他の木に巻き付いたりして伸びていく「ツル性」の植物だが、
「ノダフジ」が右巻き
「ヤマフジ」が左巻き
なのだそうだ。おもしろい。
花穂が長く華やかな「ノダフジ」
花穂は短いが香りの強い「ヤマフジ」
. . . . . .
これだけ色々な藤の花を見る機会もなかなかないので、
とても勉強になりました。
.
圧巻は、奥の座敷に置かれた
巨大な寄せ植え盆栽。
4種類の藤がからみ合い、絶妙のバランスを保っている。
どこまで自然でどこまで手を加えられたのか
それより一体どういうことなのか
なんだかもう凄すぎて、私は金縛り状態だった。
自然の藤が一番美しいとは思うけど、
この、徹底的に人間の手が加わった盆栽芸術は
また別の感動を覚えてしまう。
自然界から切り離されるというストレスが与えられた一方で
惜しみなく愛情を注がれる。
その矛盾をはらんでいるゆえか、
盆栽の藤は、狂うように美しく咲いていた。
能登の海岸沿いは、やぶ椿が群生する。
潮風にも負けない、たくましい花木。
半島の先端、木の浦の断崖の上に
椿の森が延々つづく。
うっそうとした森に咲く深紅の花は
美しもあり怖くもあり。
.
椿に限らず、森の中で出会う「赤」は、
時々、心臓に悪い . . .
.
輪島から珠洲にかけての海は
多彩な色、表情を見せてくれる。
海とタンポポ。
水仙もまた、寒さや強風に耐えられる花らしい。
海を見つめる水仙。
いたるところに。
なんでもない空き地に、
民家の庭先に、
明るい光をもたらす水仙の花。
.
ツツジの茂みからひよっこり顔を出した水仙。
鮮やかなツツジが咲く前に、
今が私の春、
魅惑のくちびるで、謳っていた。
.