工藤和彦さんのうつわ展がはじまった。
小ぶりの、日常使いしやすそうな花器や
大小の食の器が約250点ほど、
そのみずみずしい感性で
古い町家の3階に息を吹き込んでくれた。
去年に続いて2回目とあって、
すっかり工藤さんの器のファンになったという人々が
初日から大勢つめかけて下さった。
工藤さんの器は、気負いのないのびやかな形、
植物も食物も、自然に受け入れてくれる器だ。
これまでの粉引、黄粉引に加えて、
出来上がったばかりの「シラカバ」シリーズや
透明感のある森の緑の器が
美しい色どりで並べられた。
そこに 自由に植物を組み合わせていく作業は
この上ない楽しさだ。
2週間の会期中、どんどん植物は生けかえていくが、
準備の日に、能登出身のスタッフのご両親が、
山やお庭からたくさんの花材をとってきて下さった。
花市場でもなかなか手に入れられないような
立派な実付きのアケビのツルを
天井まで上らせて、森の中での姿を再現した。
自然からできた工藤さんのうつわは
こんな野性的なしつらいに違和感なくとけ込んでしまう。
ふっくら熟した果実を思わせる黄粉引の花器にも
アケビのツルと実を。
4日目の今日は、
同じ器に、能登のツワブキを生けてみた。
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貴婦人のような黄粉引の鶴首花入れには
華奢な淡紅色の秋明菊を。
緑グレーの素朴な器には
渋いホトトギスの花を。
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今回の新作、シラカバホワイトの一輪挿しは、
にごりのない美しさ。
そんな器に、今朝ひらいたばかりの芙蓉(ふよう)、
一日限りのはかない命を、
うやうやしく受け入れてくれた。
会期中、様々なうつわの表情を
レポートしていきます。
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