語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


「真釦」とは

2014年05月27日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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ところで、「真釦(しんぼたん)」とは?

少しこの画家のことをご紹介します。

真釦さんは、もともと彫刻家で、

「新保 裕(しんぼひろし)」の名で作品を発表してこられました。

私は新保さんの木の彫刻のファンの一人でした。






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2010年に観たこのすばらしい作品展が、

彫刻作品の最後となりました。

しばらくして彼は、倒れてきた木材で利き腕を負傷し、

彫るための道具をにぎることができなくなりました。

しかしながら、新保さんの不屈の精神、病院のベッドの上で、

一本の「筆」が導く新しい道をみつけました。






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ベッドの上で次々浮かぶ妄想、

腕がとどく範囲に たまたまあった道具 と 新しい手法、

唯一無二の墨画が、ここから生まれたのです。

一時はたぶん絶望の淵、そして奇跡の回復と復活。

「新保さん」もじって「真釦」(しんぼたん)として

あらたな一歩を踏み出します。







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「風君(ふうくん)」「雷君(らいくん)」の図



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真釦さんの絵は どこか懐かしいような感覚につつまれます。

伊藤若冲や、ラファエロや、バルテュス、はたまた赤塚不二夫 . . .

思いがけないところから出てくる記憶の断片が

時空を越えてコラージュされて、

異界と現実も行ったり来たりしながら

2次元から4次元まで、奇想の旅に連れて行ってくれます。





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繰り返し登場するモティーフ、

その取り合わせの妙。

キワモノも不思議と気品ただよい、静謐な空気につつまれています。






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壁のひびまでも、絵の一部に引きこまれ、美しく。

普段の生活にすっと入り込み、

ユーモアの味付けをしてくれる絵。




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作品を設置していく 真釦さん。

古い町家のあらゆるところにピタッとはまっていく絵に

終始 笑いがおこり楽しんでいる様子。












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渦(うず)を巻き起こす仏さま「渦子さん」


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絵かきとしての初個展が、つい昨秋のこと。

それからすぐに、スウェーデンのアートフェアに出展が決まり、

年明け早々、絵が海を渡り、

欧米の美術愛好家たちに大好評だったそうです。

3月にはそのままイギリスのギャラリーへ。

かの国のアート雑誌に取り上げられるなど、

無名の画家が、人々の純粋な審美眼に新鮮な驚きを与えます。


そして、この5月、日本のここで、

この場所のために描き下ろされた絵が、

ますます神秘的なオーラを放ちながら、

私たちの心をゆるめたり刺激したりしてくれます。








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「フライイング ベイビー」


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これらの墨画を、昔の人たちがそうしていたように、

ろうそくの光で観たらどんなに面白いだろう、と思い、

他の照明を消して、夜の鑑賞会を考えました。

5月28日(水)と31日(土)の

日没7時ころから 9時ころまで


肝だめしみたいになるかもしれませんが、

きっと新鮮な体験ができます。

興味ある方は、ぜひお越しください。


私はこのバタバタする赤ちゃんが、

ほんとうに動いてみえるんじゃないかと

それを楽しみにしてます。


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