語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


ガラスと花、そして . . .

2011年08月15日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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井上美樹、大迫友紀、

二人のガラス作家の作品に

私が花を添える作品展が無事、終了した。

いや、私たち三人の中では、無事というより有事だった。

準備期間のみならず、

会期中も、お互いの感性が作用し合い、

思わぬものが生まれ出たりしたからだ。


そしてある夜、富田祥さんによるチェロの演奏が加わり、

空間、人、ガラス、植物が響き合い、

やがて一つの生命体のようになっていった。


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演奏会の翌日、吊り下げられたガラスに

ユリの花を生けていった。

途端にガラスが艶っぽくなった。

ユリは、最終日までに次々開花していった。




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二人の作家は、ここの空間を下見に来た時に、

吊り下げるガラス器を思いつき、

これらの作品を制作してくれた。

ガラスを支え、表情を与える金具を、

金工作家の今城晶子さんが担ってくださった。





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さまざまな器が、輝き、歌う。

鉄の壁掛けに、有機的なラインの花器と

キャンドルフォルダーを付け替えることができる、井上美樹さんの作品。



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柔硬、和洋の魅力を合わせ持つので、

似合う花のバリエーションも広がっていく。

この日はキキョウを。

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同じく井上さんの小さな壺に

庭で咲いた青い小花を。








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日に日に作品同士が馴染んでいき、

呼吸さえ合わせているように見えてきた。

窓から入る風や光と戯れ、

人も、その楽しげな中に受け入れてもらえた。






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ところで、この作品展には、大事なもう一つの顔があった。

二人のガラス作品で、おいしいかき氷を食べられる、という趣向。

そもそもこのガラス展のきっかけは、

私の個人的な、小さな欲望だった。


時さかのぼること一年前、そう、あの猛暑の夏、

大迫友紀さんのガラスの器が

美しい氷を連想させることから、

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たまたま遊びに来てくれた彼女に、

「この器でおいしいかき氷が食べたいなぁ。」

とつぶやき、そんな かき氷屋をいつかしたいね、という話をしていた。

すると、そこにたまたまやってきた、

おいしいオーガニック料理で人気の

ムシャリラムシャリロ、村田美紀江さんが

「シロップは私が!」と言ってくださったので

夢のような話が一気に現実味をおびてしまった。


それならちゃんとしたガラスの作品展をして、

付随してかき氷屋を、という話に発展していったのだ。

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花のアトリエ こすもす の三階で作品展、

そして一階では通常の花屋を休みにし、おいしいかき氷屋。


ムシャリロさんは、この日のために

4種類ものシロップを作って下さった。


・珈琲モカジャバ ~ ショコラリキュール入り

・国産無農薬レモンと蜂蜜 ~ 自家製完熟梅ジャム入り

・地元産デラウェア ~ エルダーフラワーエッセンス入り

・白花豆 ~ ドライいちじく&ぶどうのリンゴジュース煮添え


どれも絶品、手間ひまかけた、体にやさしい味。




これは、大迫さんの器に、珈琲味のかき氷の図。

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そして、井上美樹さんの器に、白花豆のかき氷。




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二人の器からイメージを広げて考案したというシロップは、

やさしい色合い、やさしい味。

でも奥行きのある豊かな味わい。






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このかき氷をほんとうにたくさんの人に食べていただけた。

男女問わず子供からお年寄りまで、

再度訪れてくれる人も多く、嬉しいかぎりだった。


で、気づいたら最終日を前に、一種類しか残っていない。

その朝、あわてて私は実家に走り、

庭でちょうど熟れたブラックベリーを摘んで来て、

蜂蜜を入れて急いでシロップを煮込んだ。

なんとかぎりぎりの時間で完成し、

ルビー色の美しいかき氷ができあがった。














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そして奇跡的に、最後のお客さんに完食して頂き、

完売御礼。


小さな欲望が出発点で、

遊びの延長線にある作品展だったとはいえ、

最後まで何が起こるかわからない、

緊張の連続の一週間だった。

人との関わり合いで、新しい何かが生まれるのが

コラボレーションの醍醐味だろう。


また作品を見に、味わいに来て下さった人々からも

いろんな刺激をいただけた。


ここからまた、何かがはじまると信じている。


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コメント (2)
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