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視覚障害ある夫妻、公認心理師ともに合格(河北新報)

2021年12月06日 | 視覚障害・聴覚障害支援
「河北新報」令和3年12月6日(月)付け記事より引用)
 視覚障害のある夫妻が国家資格の公認心理師の試験を点字で受験し、合格した。仙台市出身で東京都八王子盲学校教員の鈴木可奈子さん(43)と夫の福祉施設職員英征さん(53)=岡山県出身=。同じ教材を使い、支え合いながら勉強した。公認心理師試験は2018年に始まったばかりで、点字受験で合格した事例は非常に少ないとみられる。

 先天性の目の病気があった可奈子さんは、3歳の時の手術がうまくいかずに全盲に近い状態になった。今は右目で光を感じることができる程度だ。宮城県盲学校(現県視覚支援学校)の鍼灸(しんきゅう)術などを学ぶ理療科を1999年に卒業し、筑波大理療科教員養成施設を経て、2002年に教員になった。心理学に興味があり、14~16年、教員を続けながら放送大学の心理・教育コースで学んだ。

 英征さんは先天性の強度の弱視で15歳ごろまでに全盲となった。岡山県の盲学校、筑波大理療科教員養成施設などを経て、現在は視覚障害者らを支援する東京都の社会福祉法人「東京光の家」に勤務。精神保健福祉士の資格も持つ。

点字や音声データで勉強、互いに質問「周囲の支えに感謝」
 2人は互いの最初の職場だった山梨県盲学校で出会い、04年に結婚した。昨年秋ごろ、心理学の知識でスキルアップし、職場などで貢献しようと公認心理師試験を共に受けると決めた。

 福祉、医療、教育など多岐に及ぶ試験に向け、過去問題集をボランティアに点字にしてもらった。点字では1ページに盛り込める情報量が少なく、1冊480ページの問題集が約2000ページにもなった。紙も厚くなるため取り扱いがしやすいよう24冊に分割した。夫妻は甲府市の自宅から片道1時間半の電車通勤中に音声データを聞いたり、点字を読んだりした。

 9月に受験し、合格発表は10月だった。可奈子さんは「法律関係などが覚えにくかった。互いに質問したり、質問されたりしながら復習した」と振り返り、英征さんは「一緒に合格できてよかった」と笑顔を見せた。2人は「点訳ボランティアら周囲の支えに感謝したい」と口をそろえた。

 視覚障害のある関係者も夫妻の合格を歓迎する。

 民間資格の臨床心理士で、スクールカウンセラーなどをしている全盲の小寺洋一さん(50)=京都市=は「自分以外に、全盲で心理職の活動をしている人は聞いたことがない」と後続の誕生を喜ぶ。「相談に乗る際、見えないことで苦労した経験が強みになることもある」と活躍に期待した。

[公認心理師]医療・保健、福祉、教育、司法、産業などの現場で、心理的な支援を専門的に行うための初の国家資格。2017年施行の公認心理師法で、制度化された。21年実施の第4回試験までに計約5万6000人が合格した。点字受験の合格者数は非公表。
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