「鹿島る」鹿島を心底嫌っている方はJ界隈に多数存在します。それは厳然たる事実ですが、その「鹿島る」サッカーでJ1に599個の白星を刻んできたことも、最多優勝回数もまぎれのない事実なのです。ファジはJ1に白星を5つしか刻めていません。新参者がJ1最強チームに戦いを挑んだ構図ですから、簡単にその牙城を突き崩すことはできないと頭では分かっていても、心の底には「どんな相手にも勝つ姿を見たい」という本心が潜んでいます。その葛藤がスポーツ観戦の醍醐味だとも感じます。

昨季はJ2でしたから、試合に勝てないこと、試合に負けることのダメージが計り知れず、勝たないといけないプレッシャーに苛まれる日々を過ごしていましたが、今季はJ1に昇格したこともあり「負けてもともと」の気持ちが少なからずあります。そのことによって、負けたことの悔しさが多少なりとも少なくなっていくとしたら、それは中々によろしくない現象だと思っています。勝負には勝たないといけない。プロはサッカーをするのが仕事ではなく、勝つことが仕事です。それでも、全て勝つことはできないのですが、常に勝利を目指して戦い続けないといけません。
この負けははっきり言って完敗です。鹿島アントラーズというJ1最強のチームが、J1新参のファジアーノ岡山に対して死に物狂いで戦ってきた姿勢にJ1の厳しさを感じ取りながら今後を戦って行きましょう。

この試合はほぼ満席状態の「15,325人」がスタンドを埋め尽くしました。チケットは完売。今季はこの状況が続くことになるでしょう。4月29日の東京ヴェルディ戦もホーム側のチケットは完売しています。ホームゲームには多数のアウェーサポーターが岡山を訪れ、その経済効果は年間で54億円と推定されていますが、J1バブルを岡山の活性化に役立てない手は絶対にありません。「サッカーに興味がない」とか「スポーツが好きではない」などと能書きを垂れている場合ではなくなっているのです。Jリーグの理念が俗人の感情を大きく飛び越えて巨大な果実を実らせようとしているのに、それを見て見ぬふりをして腐らせることはできませんからね。

それでは、試合を振り返ります。

⚽前半から劣勢を強いられた第一の原因はファジのハイプレスを完全に外され、いなされ、鹿島の攻勢を抑えきれなかった守備面の課題が浮き彫りにされたことにあると思います。ブローダーセンがPKを止め、VARにも救われて、佐藤のゴールが生まれた時には、流れを引き寄せたかとも思いましたが、後半は一転して鹿島の鹿島たる所以を突き付けられました。リーグ戦3連敗、公式戦4連敗中であっても、絶対的エースのレオ・セアラが欠場していても、鹿島の底力は凄まじいものがありましたね。
ファジのブロックを崩されてしまえば、ブローダーセン1人で止め切れるほどJ1の攻撃は甘くありません。それを痛感させられたことで、また一歩成長させてもらえたと前向きに捉えて頑張りましょう。
スタッツです。

いつもよりボールを持てた試合だったのですが、それは終盤に鹿島が鹿島ったからです。J1の強豪チームが初昇格の新参クラブになりふり構わず守りに入ることはそのプライドを考えても簡単なことではありません。それをやり切れるところが鹿島なのでしょう。また一つJ1の奥深さを感じさせてもらいました。
ACLの日程の関係で試合消化が早まっているチームがあるので、試合数に差が出ていて暫定順位は混沌としてきました。

ファジは前節の4位から9位に順位を下げました。これがJ1の戦いなのでしょうね。連敗は避けないといけません。次は必ず勝ちましょう。

第12節、ファジは今夜アウェーでアビスパ福岡と戦います。5年ぶりの対戦となるアビスパとはJ2時代に何度も戦ってきましたが、アウェーでは過去に1勝しかできていません。今季、アウェーで1つしか勝てていないことを考えても、かなり厳しい試合になるのは間違いありません。相手も守備の固いチームですが、ゴールを割らない限り勝つことはできませんから、如何にして得点をあげるかを考えながら、必ず勝利を掴みましょう。
これから、博多に向けて出発します。
現地でお会いしましょうね。よろしくお願い申し上げます。