一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

新刊、旧刊とりまぜて
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「開戦法規」(jus ad bellum) における6つの条件

2005-12-21 08:52:36 | Criticism
今回は、私見は一切抜きにして、「倫理的に戦争を制約する」ための「戦争に対する法」=「開戦法規」をご紹介する。

読者各自が、それぞれの知識に基づき、日中戦争でも、太平洋戦争でも、その他の戦争でも、これに照らした場合、どのような判断が得られるかをご判断願いたい。

(1) 開戦の理由が正義に基づいていること (Just Cause)。
(2) 正当な権威が開戦の決定を下すこと (Right Authority)。
(3) 正当な目的をもって開戦を決定すること (Right Intention)。
(4) 戦争が最後の手段であること (Last Ressort)。
(5) 戦争の目標が新たな平和にあること (Emergent Peace)。
(6) 目的と手段の釣合いが取れていること (Proportionality)。

ご参考のために、「戦争における法」=「交戦法規」も挙げておく。

(1) 戦闘員と非戦闘員との区別(Discrimination)
(2) 二重結果(Double Effect)

*「戦闘行為は二つの結果をもたらすことがありうる。第一は、正当な軍事目標の破壊という意図した結果であり、第二は無辜の民の殺傷という意図せざる結果である。戦闘行為が無辜の民の殺傷を意図しない限り、意図せざる、あるいは付随的損失として許容される。」
(3) 目的と手段との釣合い(Propotionality)
*「悪の総量が、得られる善を上回ってはいけない」

参考資料 加藤朗、長尾雄一郎、吉崎知典、道下徳成『戦争―その展開と抑制』(勁草書房)