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横山秀夫さんの警察小説の大ファンとしては、ちょっと複雑な作品かも。
これまでの作品では、どちらかと言うと主人公の警部や調査官の洞察力や読みの深さなどが、カッコ良すぎるきらいがあったものが、この小説では、その洞察力や読みの深さがそのまま組織内の保身と腹の探り合い、足の引っ張り合いに使われているのが滑稽で、とにかく堕落しきった警察組織を表現しているのはわかるものの、それだけならこんなに長い話(長編)は必要ないのではって思えます。
そして阪神・淡路大震災という日本中がその未曾有の大惨事に憂慮している最中にも堕落した組織が同じことを繰り返しているということで堕落具合を最大限に強調されているのかも知れませんが、それにしてもこの小説の背景にこの震災を重ねなければならない必然は感じないですね。
ラストのくだりは、著者らしさもありましたが、それを考えても得意の短編で十分表現できたのではないかと思える乏しさが残念ではありました。
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