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深喜毛織㈱のことⅢ  CCMI カシミヤ

2007年03月07日 | アパレル放談

カシミヤの紡績から製品までの一貫生産を行なっている深喜毛織㈱の歴史の古さに触れましたが、今日はその技術と環境対策を書きます。

私の昔の経験では、紡織、染色工場の工場視察は余り良い印象はありませんでした。
ワタ埃、湿気、熱気、臭気、騒音の中の工場見学のイメージが残っています。
学生にも講義の時に、紡織、染工の工程を講義し、労働環境は3K的であると話しておりました。

ところが深喜毛織㈱の工場は、私の教室での講義を打ち消してしまう内容でした。
ISO9001はもとより、環境ISO14001まで認証済みの、静かで、綺麗で、合理化された快適な工場でした

紡績から織り、染色、製品までの一貫工場を目指されていますが、ISO9001認証取得の工場内は新鋭機がコンピューター制御され徹底的な品質管理と省力化、ロスの軽減をシステム化して実現されています。

ISO9001は今やそれほど珍しいことではないが、環境に対する姿勢は特筆されると思います。

環境ISO14001を認証取得し太陽採光、ソーラー発電、風力発電、太陽熱温水などのエコロジーへ積極的に取り組んでいます。

説明を聞いていると、関西電力化、文科省か経産省の関連施設を訪問している錯覚を覚えました。

以前の深喜毛織㈱は紡毛を中心にしたメーカーでした。
紡毛のトップ、先染の加工の上手さは定評がありましたが、最近はカシミヤに特化されているようです。

E.ゼニヤ、アニオナ、ロロピアーナ、コロンボ、ドーソンなど欧米の著名メーカー17社が加盟しているCCMI(Cashimere&Camel Hair Manufacturers Insttitute)に東洋紡糸と共に加盟しています。

CCMIの加盟には、製品品質はもとより、企業としての格も重視される17社に限定された国際団体とのことです。

今日の繊研新聞に中国製のカシミヤ製品のリコール問題の続報記事が出ていました。その記事には、「問われる製造責任」と見出しにありましたが、パンフレットに書かれている「品質への徹底したこだわりと誇り、人に、地球に優しい事業体」の深喜毛織㈱には関係の無いことのように感じました。

私は中国始め海外生産については、その重要性を認識し、促進する立場をとっていますが、前々から安易に、闇雲に利用する姿勢は改めるべきと提唱してきました。

過去にもシルク(絹)やハンドプリント、レースなど長い間かけて培った技術や商品が瞬間的に駆逐されてしまった事を見るにつけ、いいようのない寂しさと、ブッツケようの無い憤りを感じます。
「悪価は良貨を駆逐する」という言葉を思い出されます。

今は生産していないようですが、数年前に若い子に大流行したバーバリーチェックのマフラーがこの工場で生産していた事を聞き、学生達は感激していました。
彼等の中学・高校時代の思い出の商品のようでした。

十数年前に購入した深喜毛織(㈱)のカシミヤコートを着て、帰路に着きました。
先のブログにも書きましたが、最近このコートを着ていると、周りの中年、熟年ビジネスマンのカシミヤのコート姿に出会います。
いかにも中国産の価格破壊のカシミヤらしいコートが多く、自分も気恥ずかしく感じてきる事に躊躇していましたが、その日は何故か誇りを持ってカシミヤコートを着ることが出来ました。

「私のこのカシミヤコートはCCMI加盟の歴史ある深喜毛織㈱がこだわりと誇りをもって、人と地球に優しく造ったものだぞ!」と心の中で叫んでいました。

China+・ワンが模索されています。
インド?ベトナム?
+ワンではなく+2にして、1つにJAPANも加えて考える時期に来ているかもしれません。
早くしないと、今まで必死で、頑張って耐えてこられた優秀な工場さんやメーカーさんが耐えられなくなっています。
皆で真剣に考える最後のチャンスではないでしょうか?

深喜毛織株式会社HP: http://www.fukaki.co.jp/
 



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