地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

半東京。農ライフ vol.6 コツコツ

2009年05月09日 | お仕事日記
8ページのノウハウ記事で書かなければならなかった文字数8000字。
野菜たちの新芽を無視して繁殖する、駆除しなければならない雑草に被われた畑368㎡。

道路掃除夫ベッポじいさんは言った。

おそろしく長い道路を受けもつ時、これじゃとてもやりきれないと思ってしまう。
「そこでせかせかと働きだす。
どんどんスピードをあげてゆく。
心配でたまらないんだ。
しまいには息が切れて、動けなくなってしまう。
こういうやりかたは、いかんのだ。」

「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、
つぎの一歩のことだけ、
つぎのひと呼吸のことだけ、
つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。
いつもただつぎのことだけをな。」

「するとたのしくなってくる。
たのしければ、仕事がうまくはかどる。
こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」
「これがだいじなんだ。」

ーーーーーミヒャエル・エンデ著「モモ」より


不世出の大横綱千代の富士が
前人未踏の通算勝ち星1000勝を達成し、
「次の目標は?」と聞かれて答えた言葉

「1001勝です。」


大きな岩を動かそうとするとき、
ただひとつ言えるのは、
自分が動くことでしか、岩は動かないということ。

便利な道具や、ノウハウや、マニュアルや、
まわりの人のサポートがあっても、
0は0のまま。
0を1にするのは自分。
1を積み重ねていくのも自分。
1の次は2、その次は3。

暗闇の中、
出口の見えないトンネルを掘るような気分で
1文字1文字、積み重ね、
最後の1文字を書き終えた時の
まさに"脱稿"という文字どおりの突き抜け感、すがすがしさは、
クセになりそうだ。

ものすごいスピードで雑草におおわれていく
畑で、1株1株、目当てではない草を引き抜き、
目当ての野菜の芽が規則正しく並ぶ美しい畑に
仕上がった時の満足感もまた。

そして、
除草剤を使えば、1の動きが10の成果を生むのかもしれないけれど、
自分の手を動かしたという、1を積み重ねて10になったという、
目に見えない、換金もできない満足感は得られない。

畑は黙って、そんな大事なことも、教えてくれる。