地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

半東京。農ライフ vol.5 稼ぐということ

2009年05月08日 | お仕事日記
ちょっと前、ピースボートに勤める先輩が教えてくれた。

「ピースボートに乗ると、みんな、ぐわっと視野が広がる。
でも、船旅は永遠ではなく、みんな、日本に帰ってくる。
そして、みんな、日本社会の閉塞感にがっかりする。
広がった視野を現実に生かす術を見つけられず、
だいたいみんな、WWOOFかワーホリに行くんだよね。」

WWOOFとは、お金を介在させずに
労働力と生きる糧(3度の食事と寝泊まり場所)を交換するシステム。
その舞台が、地球環境に高い意識を持つ
有機農場や飲食店・宿泊施設であるということが
特徴のワーキングエクスチェンジだ。

ブラウンズフィールドも、このホストに登録していて、
だいたい1日1人くらいのペースで
「滞在して働きたい」という申し込みが来る。

本当にありがたいことで、
一度に3人まで、2週間以上いられる人に限る
という条件の下、受け入れさせていただいたり
お断りしたりを
こちらの都合で、している。

メールや電話でのバーチャルで事務的なやりとりが、
顔を合わせた瞬間にリアルな出会いに化けて、
同じ釜の飯を食ってひとつ屋根の下に眠った
明くる日には、もう日常に溶けている。

そのスピード感っていうか、
魂が常に新しい出会いにさらされている独特の感覚が気持ちいいし、
たまに「将来、一緒になんかできたらいいな」って
本気で思うような出会いもある。

それに、一緒に種が芽吹いたことを喜んだり、
風に揺れる田んぼの水面を眺めたりするだけで、
会って間もない人との間に一体感が生まれるっていう
かなりハッピーな体験もさせてもらってる。

でも、
だいたいみんな、「自分探し中」。
ここに来れば何か見つかるかも、っていう
淡い期待だけをぎゅっとにぎりしめて、
漠然とした不安を見ないようにして、やってくる。

その人を好きになればなるほど、ついつい思ってしまう。

ここに来て、どこにいくんだろう?
何でも経験するって大事なことだけど、
興味や感性だけで選んだバラバラのピースを
ひとつの形に結んでいくにはやっぱり、
世の中の評価を受けて影響力を持つための、
我慢とか、忍耐とか、徹夜とか、激務とか、
避けて通れないんじゃないかな。

そして、世の中の評価の一番一般的でわかりやすい形がお金だから、
お金を稼ぐことは、とてもとても大切なことなんじゃないかな。





なんかこのまま行くと、
ある程度稼いでる自分が正しいっていう
自己正当化の話にしかならない気がしてきた。。。うー、かっこわるい。でも続ける。





稼ける方法を、自分が納得のいく形で得るっていうことが、
居心地のいい居場所を、本当の自分を、
見つけるっていうことなんじゃないかな。

書けば3行だけど、
現実にはいばらの道。

「アポ取り電話をしつづけろ」って
手と電話の受話器をガムテープで縛り付けられたり、
契約社員だからって軽く扱われたり、
役員の前で支離滅裂なプレゼンをしたあげくに緊張の
あまりぶっ倒れたりもする。(これは全部私の話)

輝いている人に嫉妬したり、
うまくいかないことを親や育った環境や
生まれ持った才能を恨んだりもする。(これも全部私の話)

でも、それで、己を、身の丈を知る。
まわりからの評価を、濾過して受け入れる
度量が育まれる。

だから、「これから会社やめようと思ってて」という段階で
見学に来た子にはあえて、今いる場所の価値と、
ここで得られることの限界を語ることにしている。

ここではお給料は出ないから。

お給料が出ないから、ここの仕事に価値がないと
言っているわけでは、もちろん、ない。
だったら私はここにいない。
今の社会でのお金のまわり方はゆがんでて、
目に見えない価値が正当に評価されるようにはなってないとは思う。

だけど、ここでどんなに価値があることを学んでも、
稼げなければ続けていけない。
物見遊山や単なる癒しで終わるなら、
元々持っていたフィールドで、自分を高めた方が
よっぽどその人のためになる。
人生の一休みをするには、みんな若すぎる。

お給料が出ないことを補ってあまりある価値を
自分で見つけて、稼げる方法につなげていける人に
来てほしい。。。。。。。。

そして、ここが、
スタッフにお給料を出せる場所になるために、
がんばりたい。

WWOOF担当として、色々な人を見ていて、
心からそう思う今日このごろ。

半東京。農ライフ vol.4 軸と輪郭

2009年05月08日 | お仕事日記
ここブラウンズフィールドには、
実に色々な、たくさんの人たちがやってきて、
そして、去っていく。

だから、
人間の魅力というものについて、考えさせられることが多い。

働いている側は基本的に無給で、
ほとんど一人になる時間がない共同生活という
特殊な職場環境なので、
「ちょっと興味があったのでアルバイトに来ました」
みたいな感覚で来ている子はいない。

何かを覚悟して、そして期待して、ここにいる。

そこは同じはずなのだけど、
魅力的な人と、そうじゃない人が、
やっぱり、いる。

何が違うんだろう?
そう考えて、ひとつの答えに辿り着いた。

惹きつけられるのは、
ぶれない軸と、くっきりした輪郭を持つ人。

曇った日の水平線よりも、
晴れた日の水平線が魅力的なように。

それは顔に、瞳に、オーラに、
出る。
隠しようがない。

人生って、何度もデッサンを引き直しながら、
少しずつ「私の輪郭」を太く、
濃くしていく作業なのかもしれない。

用意された下書きに色を塗るのではなく、
自分でゼロから描き始めること。

時には、
下書きを消すところから始めること。

その作業をさぼらずに、
人生に真っ正面から向き合っている人は、
瞳の奥に光を宿している。
謙虚で、前向きで、開いている。
そして、目の前にある問題にも、
向き合う。

人から与えられるのを待っている人は、
文句が多くて、いつも色々なことを
他人や世の中や政府のせいにする。

私は未熟で、ついつい待っている人を
じゃまに感じてしまうことがあるけれど、
待っている人を、向き合う人に変えるられる人になりたい。

向き合う人ばかりになったら、
環境問題も貧困問題も格差問題も、
するするっと解決するんじゃないかと思うから。