ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

「子どもを守る委員会」調査の途中集計

2012年09月23日 | 路上の子どもたち
さえ@まにら

アイキャンでは、バランガイ(日本の町役場にあたる役所)と一緒に「子どもを守る委員会」の組織化を行っています。地域の状況を把握するために、世帯調査を行ってきました。(参考「子どもを守る委員会」地域調査の集計

その途中集計のご報告です。
A地域では、799世帯の調査を終えました。調査に選んだ地域は、Aバランガイの中で、もっとも厳しい環境の場所です。

Aバランガイの調査地域




2012年7月に出された国の調査(NSO調査結果)では、フィリピンの失業率は7%。一番高いマニラ首都圏でも10%との統計が出ています。(15歳以上の労働人口)

この地域はどうでしょうか。18歳以上の大人のなかで仕事をしているのは、54%ほどにしか達しませんでした。つまり失業率46%です。世帯主については、56%が定期的な仕事をし、38%が不規則な仕事、6%が仕事に就いていません。さらに、仕事をしている世帯主のなかでの収入を見ると、55%が最低賃金にも満たない収入しか得られていないという結果がでました。

この地域で、18歳未満の子どもが人口比41.24%います。その子どもたちの中で、修学年齢で学校に行っているのは81%、学校に行っていない子どもが19%にも達していることが分かりました。

この数字の元には、人々の日々の暮らしがあります。1人1人の子どもたちがいます。

一軒一軒の家を回り世帯調査のためのインタビューをしてきた地域のボランティアのお母さんが言いました。
「私たちも日々楽な暮らしをしている訳ではないけれど、同じ地域にこんなにも大変な暮らしをしている人たちがこんなにたくさんいることが、地域を歩き、話を聞くなかで分かりました。」


【集計作業をする子どもを守る委員会のメンバー】

「子どもを守る委員会」は、地域のボランティアの人の働きに支えられています。大変な作業をこなす中で、見えてきたものはとても大きなものでした。これが、これからの委員会を支えていきます。

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ミンダナオ子ども議会

2012年09月23日 | 紛争地の子どもたち
こうじ@コタバト

先日ミンダナオ島、ジェネラルサントス市で32名の子どもたちが集まって「第1回ミンダナオ子ども議会」を開催しました。ミンダナオ島に住むさまざまな言語、宗教、民族の子どもたちが一堂に会して、お互いの違いや共通点を分かち合い、理解を深めました。また、異なる宗教、民族が住むミンダナオで、人々がどのように平和に暮らしていけるかについても話し合いました。


最終日に修了証を持ち、おそろいのTシャツで勢ぞろいした参加者たち

参加したのはイスラム教徒であるマラナオ(3人)、イラヌン(3人)、マギンダナオ(7人)、ティドゥライ(3人)、キリスト教徒のイロンゴ(3人)、セブアーノ(3人)、イロカノ族(2人)、そして昔ながらの土着の信仰を持つ小数民族のマノボ(3人)、ブラアン(3人)、チボリ(2人)の10の民族の子どもたちです。

自分たちの住む地域を離れたことのない子どもたちが多く、初めは少し戸惑っている子どももいました。しかし自己紹介やゲーム、ワークショップを通じて、最終日にはすっかり仲良くなり別れを惜しみました。

今回は自分たちの家族や生活について紹介し合った中から、マギンダナオのアリシアちゃん(仮名)の話を紹介します。アリシアちゃん(13歳、イスラム教徒)は、北コタバト州、ピキットから来たマギンダナオの出身です。


グループでの発表をするアリシアちゃん(左から2人目)

アリシア:アリシアといいます。家は小さな雑貨屋をやっています。でも父がいません。父が亡くなったのは私が1歳の時でした。3人姉妹で、長女のジェニファーは高校3年生、次女のアリスが14歳、私は13歳で6月から高校1年生です。うちの問題はお金がないことです。3人が学校へ通うのに十分なお金がないことが時々ありました。でも今はお母さんが何とか工面してくれています。

子ども:お父さんはどうして亡くなったの?
アリシア:撃たれて死んだって聞いたんだけど、私たち家族.にはよく分からないの。同じムスリムの人が撃ったらしいの。お父さんは正直で本当のことを言うから、父を恨んでいた人がいたらしいの。私の住んでいるところでは、土地の争いがあったりして、今でも住んでいる人たちが避難したりすることもあるの。

子ども:どこでそんなことが起きるの?
アリシア:私の隣の村でも最近あったわ。でも今は兵隊が来て守っているから大丈夫だけれど。

子ども:撃ち合いになったりしたの?
アリシア:私の地域では特別なことではなく、普通に起きることなんです。


厳しい内容の自己紹介とは裏腹に、屈託なくほかの参加者とゲームを楽しむアリシアちゃん(右)

アリシアちゃんが語ったのは、地域の中で有力な家同士が土地をめぐる争いなどで撃ち合いになるケース(リドーと呼ばれる)で、ミンダナオ西部ではこのような紛争が起きる地域がいくつかあります。アリシアちゃんの父もそうした争いの中でなくなったのでしょう。

ミンダナオ島では、リドーや独立運動に絡む武力紛争が過去40年間続き、アリシアちゃんと同じような経験をした子どもたちがたくさんいます。今回の参加者の中にも、地域の問題としてリドーを挙げる子どもたちが他にもいました。こうした紛争は子どもたちの心に大きな傷を残すだけでなく、アリシアちゃんが語ったように長期にわたって子どもたちの生活に影響を及ぼしています。

しかし、ミンダナオの子どもたちの生活の苦しさは、地域の紛争だけが原因ではありません。次回は、チボリの子どもジェニーとアリシアちゃんとのやり取りをご紹介します。

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