業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

11時だよ!全員集合!

2007年01月16日 | 業務日誌
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1月9日のブログ「そんなにしてまで」続編です。


1月16日(火)
今日はトシオさんとリリーさん、ナマホCW吉田さんとその上司との4者面談。
トシオさんがリリーさんを区役所に連れてくるのはこれが2回目です。
1度目は、吉田さんに何の相談もなしにいきなり婚姻届を出しに来たらしいのですが、バツイチのリリーさんが前夫との離婚後、半年を経過していなかったため受理されなかったそうです。
そしてその後トシオさんは、ナマホCWの吉田さんに「結婚したい」と電話相談し、吉田さんは話を聞いただけで「経過観察」していました。
リリーさんがオーバーステイのため、在留特別許可狙いの婚姻かもしれないと、しばらく様子見期間を置いたワケです。
しかしそうこうしているうちに、トシオさんはすごい浮腫で入院するわ、出てきたかと思えば透析が必要な身体になっているわ、正月にはリリーさんのプチ家出のせいで低血糖昏睡を引き起こして救急搬送されるわで、ただ傍観している場合ではなくなってしまった。
とにかくこのふたりの気持ちを聞き、もしも本当に結婚するのならどういうことをクリアにしていかなくてはならないのか、どんな生活になるのか、きちんと説明していこうというのでした。トシオさんやリリーさんが考えているスイートな生活と、制度はそんなに甘くはないという現実との摺り合わせ、というかんじでしょうか。

私がその席に「是非同席を」と呼ばれたのには色んな理由がありました。
私がトシオさんの担当ケアマネで、まあ色々とこのふたりの間に起こった出来事やウラを知っており(…事実、私が口を開くと、このふたりはナマホ打ち切りとなります…)、それゆえにトシオさんにこれ以上ウソをつかせないためにも話の突合?をしておいたほうがいいだろうというナマホ側の配慮。
しかし私はこの席では、やっぱりトシオさんの不利になることは決して言うまいと決めていました。
私は、トシオさんにリリーさんという同居家族がいても、いざというとき(リリーさんがトンズラしたとき)には生活援助のヘルパーが入れられるような体制をとっておきたいし、例えば諸事情(トシオさん側でヘルパーをクビにしたり)でそれがかなわなかったときでも、自分というケアマネの責任ではないと理解してもらえるような立場を作っておきたい。そうも考えていたのです。

私はもとデイ職員・ヘルパーからケアマネになった身ですから、ナマホの方の生活というものがどんなものか、少しは知っていましたが、情けないことに制度などにはたいして明るくありません。
(今私が担当してるナマホの方は5人、まあ標準的です)
なので、この席に同席させてもらって、ナマホケースワーカーがトシオさんとリリーさんの今後のことなどを説明されるのを聞けたのはとってもラッキーでした。
まず、トシオさんがリリーさんと結婚すると、緊急のために貸与されていた「あんしん電話(仮称)が撤去されます。
トシオさんが「どうしてなんじゃい!」と言っても、あんしん電話はもともとひとり暮らしの高齢者のための制度ですから、結婚して独居が解消されると不要と見なされるワケですから仕方ない。電話回線は撤去。あとはご自分たちで貯金して携帯を買うなりランドラインに加入するなりして下さいということ。厳しい。
それから、ナマホの方が結婚しても、保証される生活費は倍にはなりません。
トシオさんが「なぜなんじゃい!」と言っても、そもそも人間の生活で、家賃水道光熱費などのライフラインは、ひとりぶんがふたりぶんになってもたいして変化しないはずのものです。あえて増額されるとすれば食費だけで、もしもトシオさんとリリーさんが結婚すれば食費は計算されて受給がほぼ倍になるでしょう。

そしてこれまでトシオさんが利用していたヘルパーも、リリーさんには別段これといって障害もなく、仕事で昼間家を空けるワケでもないので原則派遣不可。
もともとトシオさんのヘルパー利用には問題がありすぎるので、同居しているとわかった時点でヘルパーは止めましたが、トシオさんの訴えである
リリーさんの料理がどうしても口に合わない
は、結婚したふたりが解決していくべき問題であるとして却下されました。
食べたいものを説明しても日本語がわからないとか、そんなことはナマホや介護保険でどうすることも出来ません。
トシオさんの食事療法に関しても、私としては出来るだけのことはしました。
病院の管理栄養士からの指導を翻訳してもらって説明したし、あとはケースワーカーの言うように
「それ(言葉や文化の違い)をわかっていて、それでもいいから結婚したいというのがおふたりの意思でしょうから」
ということです。

このように、トシオさんがこの結婚で(言葉は悪いですが)損することは多いのですが、それでも結婚してリリーさんの国籍を作ってやるのだと言われるのですからどうしようもありませんし、何も言うことはありません。
実は私は、リリーさんが夜の仕事をしている(していたし、今後もするだろうし出来る)ことも知っていますし、もしかしたら結婚して籍だけもらったらリリーさんは…とも考え心配もしています。これまで不自由だったからこそ食事を節制していたトシオさんが、食事療法について知識の乏しいリリーさんのご飯のためにどんどん病状が悪化しているのもすごく不安です。
それでもふたりは結婚するのですから、仕方ないんです。

後味の悪いトピックですが、トシオ+リリーの御両人はこの席で私にはっきり
「これからはふたりでやっていきますので、ヘルパーさんは要りません
とおっしゃいました。
信じてみるしかない。

介護支援の基本は疑うことなのか、信じることなのか。
難しい問題だ。
…つか、このふたりは本当に結婚出来るのだろうか…

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