業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

ケアプラン料 3

2007年08月26日 | 事例検討
「わしゃ頭に来たんじゃい!我慢出来ないのじゃい!
次回からみなとクリニック透析センターに病院を替わるんじゃい!!」

意地になってる高齢者(に限らず)を説得したりなだめたりするのって根気がいりますし、だんだんものすごくハラが立ってきますよね。
私もそうです。
なので、私の気持ちの中には確かに
「もう、どぎゃんでんよか!トシオさんなんか!」
という気持ちがありました。
しかし、今回のみならずトシオさんの件は、ケアマネが口出ししたりクビを突っ込むべき問題ではないと思いました。なので、いくら私がトシオさんのケアマネだからといって、クリニックがわざわざ私にトシオさんの巻き起こすトラブルのすべてを教えてくれるこたないんです。
それでも私は、トシオさんのような人が維持透析を継続するためには、ケアマネが状況を把握できるところ、つまり自分とこのクリニックで透析を受けてくれることを歓迎してました。
何かトラブルがあれば解決のために力が貸せると思ってたんですね。
力を貸す⇒クビを突っ込む、なんですけどね。

もういい、トシオさんの好きなようにさせたれ。
そう思って透析センターを去ろうとした私を呼び止めた江古田Nsと秩父山Drは、私に
江古田Ns「森師長は紹介状を書けとおっしゃったけど、本当にいいの?」
と聞かれました。
私は、
「はあ、ケアマネとしては、トシオさんのためを思えばここで透析を続けていただきたいですが、トシオさんも意地になってますし、私にはなんとも。」
と答えました。すると
秩父山Dr「私たち医者もね、紹介状を書いてしまうともう後に退けないからねえ。もしまだ説得できそうなら…」
うーむ。
うーむ。
そう言われても。

秩父山Dr「じゃ、こうしようか。トシオさんが次に行く透析施設の、主治医の先生の名前が欲しいとして、自分で調べてきてもらう、ということに。」
つまりそれは、トシオさんが本当に病院を変わる意志があるかどうかを確認してみる、ということです。
次に行く透析施設の主治医を知るためには、トシオさん自身がその病院に問い合わせるとか行ってみるとか、何らかの行動を起こさなくてはならない。
それだと、ひがしクリニックがトシオさんを放り出した、つまり患者が感情的になってかわるかわると言うがままにこっちが紹介状を書いた、ということにはならない。
ハリケン「なるほどわかりました。では、私からトシオさんに話してみます。それでトシオさんが、みなとクリニックで、主治医になる先生の名前を頂戴してくれば、確かな転院の意志ありとして紹介状を書くということですね。」
秩父山Drと江古田Ns、頷く。
それならよし、と思い、私は再びトシオさんのベッドに。
そして
ハリケン「トシオさん、今主治医の秩父山先生からお聞きしたのですが、やはりこちらとしては『転院します』『はいそうですか』とはいかないので、お手数ですがトシオさん自身がみなとクリニックで面談なりされて、次の主治医の先生のお名前をいただいて来てもらえませんか。そうすればこちらから紹介状が書けるそうですので」
と言いました。
トシオさんはむっつりしながらも
「わかったんじゃい」
と。
それが先週の土曜日のことだったんです。
※ トシオさんの透析日は火木土ですから。



さて、それから週がかわり、火曜日になりました。
私がいつものように出勤するやいなや、主任のカニちゃんが
「ハリケンさん、HD(透析)でトシオさんが呼んでる」
と教えてくれました。
さては何か進展したかと思い、私が急いで透析センターに駆け込むと、ナースに
「トシオさんが昨日みなとクリニックに行くか電話するかして、そちらの病院に移りたいと言ってきた、と言われています。」
と言われました。
そしてみなとクリニックからは、受け入れしますと言ってもらった、と。
ああぁやっぱりやっちゃったか、と思いつつ、私はすぐに
「じゃトシオさんに話を聞いてみます」
とトシオさんのもとへ。
トシオさんは透析を受けながら、平静を装いながらも堅い表情を隠せず
「ああハリケンさんか、言われたとおりに行ってきたんじゃい。みなとクリニックでは、紹介状があればすぐ引き受けてくれるそうじゃい。」
と。
私はもう何も言う気になれず、
「-----------わかりました、で、主治医になる先生は誰ですか?」
と聞きました。秩父山先生に伝えなくてはならないからです。
するとトシオさんがわからないというので、みなとクリニックでトシオさんはこれまで通り火木土で透析してくれると言われたか聞き(返事はOKだったとのこと)、そのサイクルで担当される先生の名前を聞くためにみなとクリニックに電話してもました。
みなとクリニックに電話し、トシオさんの応対をして下さったナースを見つけてもらい、これこれこういう方がそちらに来たと思うが、紹介状を準備するので主治医の先生のお名前を頂戴したいとお願いしてみました。
するとすぐに話が通じたので、確かにトシオさんがみなとクリニックに行って面談してきたことがわかりましたし、
「主治医はまだ決定しないので、紹介状は院長のみなと(仮名)宛てにお願いします」
と教えてもらい、紹介状の宛て先もわかりました。
みなとクリニックへの確認も済んだので、トシオさんとこに戻り、
「トシオさん、紹介状の宛て先もわかりましたので、あとはトシオさん自身が秩父山先生に紹介状をお願いするだけなのですが、本当にいいんですか?
と最終意思確認。
トシオさんはフン!とゆー態度で
「いいんじゃい」
と。
私は
「そうですか、トシオさんがここを移ってしまうのは残念ですけど、私からはその旨ナースに伝えておきます。では失礼しますね」
と言いました。

もーここまでやれば私の仕事はないだろうと思ったので、ここまでの経緯を透析センターのナースと森師長に報告。あとの作業(紹介状を依頼する)は師長にお願いして、やれやれと本来の仕事に戻っていきました。

これが事実で、すべてです。
なのに-----
午後にはそれが全く別の方向にひっくり返っていようとは思いもしませんでした。