業務日誌

許せないヤツがいる 許せないことがある
だから倒れても倒れても立ち上がる立ち上がる
あいつの名はケアマネージャー

通院受診の介助マニュアル その2

2006年07月08日 | 重要事項説明書
院内で行う介助 2

さて、病院スタッフから「ウチでは利用者の院内介助に対応出来ないのでヘルパーさんでなんとかして下さい」というお墨付きを入手したら、あとは利用者の診察・検査・治療・処置すべてに付き添います。
診察室の中まで入って来なくてよろしい、と言われる病院関係者もおられますが、ちょっと待って下さい。
ヘルパーは診察室に入室禁止と言われるドクターやナースにお聞きします。
その利用者はこれから受ける説明や指示を、完全に記憶していられると思いますか?
大丈夫ですちゃんと覚えさせて帰しますと言われたらムリに入室はしません。そこで業務は一旦停止です。サービス提供時間を切ります。ですが必ず院内の方は、診察後には利用者に行った説明や出した指示をヘルパーにも同様に伝えて下さい。
プロのヘルパーはそれをメモしたり記憶したり、ときには質問したりもして、当日の診察の内容やドクターの所見を、家族やケアマネに伝えるという重要な仕事をします。そして支援者全員がその方の情報を共有することによって、その後の在宅生活に繋げていきます。
そのため、私は通院受診の介助の際には、必ず診察室の中までヘルパーを同行させて下さいとお願いすることにしています(もちろん居宅契約の際も、医療の情報を支援者に提供することに関して同意をとっていますのでガタガタ言わないで下さい)。
プロのヘルパーの持ち帰る情報は、主治医連絡票の数倍役に立つからです。

自宅に戻ってから
利用者を自宅まで連れ戻ったら、ヘルパーは再び利用者の体調を確認し、必要なら水分補給や着替えの介助を行い、利用者を休ませます。
所持品や所持金、受け取った薬剤の量や飲み方や保管方法、次回受診日を確認し必要なら利用者宅のカレンダーに記入します。
それから今日の診察や検査の結果、治療の内容などをすべて記録に残します。
特別必要な配慮など家族に伝えるべきことがあれば忘れずにメモを貼り、メモを残したことも記録します。
そこまで済んだら、利用者宅を辞去します。

事業所に戻ったら
当日の記録を事業所スタッフに伝え、次回その利用者宅へ派遣されるヘルパーに確実に伝わるようにします。気がかりな点があればすぐにケアマネや家族に連絡し、さらに必要なら帰社後電話などで利用者の安否を確認します。
これでやっと、今日の通院受診の介助は終了です。
あとはサ責に、派遣にかかった時間を計算して報告すれば、事業所は自信を持ってケアマネや家族と、この日の報酬を身体にするか自費にするか、妥協して一部生活援助にするかを強気で交渉してくれます。
お疲れ様でした。


これが訪問介護による通院受診の介助です。
ここにあげたマニュアルには、往復路の危険箇所の確認や事前に病院の内部構造を知ること(待合室⇒診察室⇒検査室の順路、エレベーターや車椅子の有無など)、院内での移動距離やトイレ内部の構造確認などはあげていませんが、プロのヘルパーなら当然これらを把握しているものとしてお話ししました。
ケアマネージャーはこの一連の業務を報告徴収までひとつも余さず、最低限のサービスとして、ヘルパーに要求することが出来るんです。
そこであらためてケアマネさんにお聞きします。

この例のようなプロのヘルパーが行う通院受診の介助の一連の業務を
身体介護として認めますか、認めませんか?





通院受診の介助マニュアル その1

2006年07月08日 | 重要事項説明書
なんだかこのブログが、だんだん介護保険について考えるマジメなブログになってしまいそうな気がしてこれではいかん!と猛反省すること小一時間なハリケンです。
ここは初心に立ち返り、あくまでもケアマネの、ケアマネによる、ケアマネのための介護保険を考えていきましょう。

かなり以前から、なくなる・なくならないでモメている感のある訪問介護による通院受診の介助ですが、そもそも通院受診介助とはなんで、なにを行うものなのでしょうか。
以前ヘルパーとして働いていた私が考える、ホントの通院介助について書いてみました。
※ここに登場するプロのヘルパーは私のもとの職場の主任がモデルです。残念ながらウチの系列のヘルパーじゃありません。
利用者宅で行う準備・支度の介助
利用者宅に到着したら、まずその日の利用者の体調や気分をチェックします。
問題がなければ、天候や気温に見合った服装をしているか、その日の診察や処置の内容にそぐう衣服(脱着しやすいものかどうか、点滴などがあるなら袖のまくり易いものかどうかまで)を着ているかどうか確認します。

次に利用者の所持品をチェックします。
診察券・各保険証は当然のこと、所持金(移動に必要な交通費や診察処置料)、杖なども確認します。
もしかしたらその利用者は糖尿病では?
ならば低血糖のことも考えて、角砂糖やアメも準備したほうがいいですね。
(プロのヘルパーは自分で常備しています)
必ず最後に排泄を促し、利用者と一緒に戸締りをし、歩き易く転倒しにくいちゃんとした靴を履いて、出発します。利用者が自宅のカギをどこにしまうかを確認します(よく失くす方がいますのでちゃんと見ます)。必要なら預かります。

タクシーなど車中での介助
トランスファーが必要なら行います。お散歩カートなどがあるならその積み込みも確認します。
利用者がきちんと着座するまで見守り、ヘルパーはあとから車に乗り込みます。
車中でヘルパーは、利用者の座位が安定しているか、乗り物酔いなどをしていないか、急ブレーキの際に利用者の身体を支えられるかどうかを常に意識して横に座っています。
タクシーなどの料金を利用者が自分で払うのか、それともヘルパーがお金の受け渡しをするのかどうかを話し合っておき、決めたとおりにします。領収書は必ずもらい、金額を記録に残します。
病院に到着したらもう一度利用者の状態を確認し、忘れ物がないかを確かめて安全に降車します。

院内で行う介助
院内では、利用者自身で受付が可能ならしてもらいます。診察券や予約票などは利用者の持ち物ですから、出来る限り利用者自身で管理してもらい、ヘルパーは極力預からないようにするのが自立支援だと思います。
しかし利用者がそれらを失くしたり置き忘れたりしないように、必ず確認だけはします。
受付を済ませたら、診察までの待ち時間(受付の方に大体の予想を聞きます)や利用者が待たされている場所などから、利用者がひとりで待っていられるかどうか(途中でトイレに行く可能性も含め)、また病院のスタッフにお任せできるかどうかを判断します。病院スタッフが「置いていってよし」と言えばそこで利用者を託し、業務を一旦停止します。報酬の対象となるサービス提供時間(前半)はそこまでです。あとは利用者の診察が終わるまでそこで待機するか、それとも一旦事業所へ帰るかどうかなどは事業所と話し合って決めます。利用者や家族に「傍にいてくれ」と言われたとしても、そこはきちんと説明出来るようにしておきます。プロなら、利用者に不満や不安を与えることなくそれが出来るはずです。
ただし、ここで病院サイドに「出来れば患者さんに付き添ってくれ」と言われたらそれを言質にして、ヘルパーの身体介護は続行出来ます。記録にも必ず『利用者の体調や能力を勘案し、病院スタッフとも相談の上院内でのサービスを続行す』と残します。


その2へつづく